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2019年11月3日日曜日

観感楽学

「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子悲しむ」(藤村)、「あれが安達太良山、あの白く光っているのが阿武隈川」(光太郎)などと詩人に詠まれ、日本人の心の故郷でもある美しい大河が暴れ川となって氾濫した。台風15号、19号と立て続けに襲われた関東や東北地方にまた大雨が降り目を覆うばかりの大災害になっている。千曲川、阿武隈川、多摩川など名だたる大河がかくも脆く決壊するなど信じられない災害である▼自然と共生するのが人間社会とはいえ、「百年に一度」といわれる台風や大雨が、毎週のように襲来して被害をもたらす、住民はたまったものではない▼私も一九六七年、神戸の宇治川が氾濫した時、土手下の川沿いの道を歩いていて、突然、噴出した濁流に飲み込まれそうになった体験があり、今も恐怖の記憶として残っている▼ところで、なぜ大河川の氾濫が続くのか、地球温暖化などの気候変動といわれるが、田んぼや耕地面積が減少し、大地の保水力が失われたのもその原因の一つかもしれない▼宮沢賢治は、「グスコーブドリの伝記」で、身を挺して自然災害(干ばつ被害)に立ち向かう感動的な男の話を書いたが、かつてない大災害がなぜ発生するのか? 被害をもたらす原因を政府が科学的に分析して対策を講じないと住民は安心して暮らせない。イージスアショアだのステルス戦闘機などに莫大な金を使っている時ではない。軍事費よりも災害対策に財源を!(D)

(兵庫民報2019年11月3日付)

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