――原水爆禁止兵庫県協議会事務局長 梶本修史
兵庫県原水協は、韓国ソウル市内で行われた「非核・平和の東アジアのための日韓国際フォーラム」の報告会を六月十四日、神戸市内で行いました。
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このフォーラムは五月三十、三十一両日、日本原水協をはじめ日韓の市民団体や労働組合などの共催で開かれたもので、日本からの七十二人を含め全体で三百人が参加しました。兵庫県からは九人の代表が参加し、全体テーマ「非核・平和の北東アジアに向けて 韓国・日本市民社会の役割」のフォーラムの成功に貢献しました。
津川氏の総括的な報告
報告会では、冒頭に津川知久・兵庫県原水協筆頭代表理事が次のように総括的な報告を行いました。
―開会総会のオープニングスピーチで、全日本民医連につづいて韓国女性団体連合常任代表が、「朝鮮半島の平和への旅程が東北アジアの平和に向けた道につながるように韓日市民社会の固い連帯と努力が必要な時期です」「被爆者たちの癒しや経験を私たちの知恵と羅針盤にするために……フォーラムが有意義な討論の場になることを期待しています」と述べました。
―韓国原爆被害者協会の李圭烈(イ・ギョユル)会長と日本被団協の藤森俊希事務局次長、非核フィリピン連合のコラソン・ファブロス事務局長が連帯の挨拶を行いました。
―フォーラム分科会で非核「神戸方式」紹介のチラシ(一部ハングル)を配布、発言したこともあって、釜山市で「非核釜山港」を実現しようと闘っている朴錫紛(パク・セオプン)さんから、「来年二月にぜひ神戸を訪問して非核『神戸方式』のことを学びたい。今年九月の釜山市の公聴会にできれば神戸市会議員を送ってほしい」などと声をかけられました。
フォーラム参加者の報告
津川氏の報告に続き、同フォーラムに兵庫県から参加した人々からフォーラムの様子、韓国の平和団体との交流、六月一日に行った軍事境界線(板門店)近くまで訪れたツアーの様子などについて感想、意見が述べられました。
フォーラムでは四つの分科会(①核兵器のない世界へ――日本と朝鮮半島の非核・平和の確立を②激動の北東アジア――日韓市民社会の課題・連帯③北東アジアの非核・平和とジェンダー平等実現へ――日韓の女性運動の連帯④核による人間と環境への非人道的影響――日韓被爆者交流)が開かれ、熱心な議論が交わされました。これについて参加者から共通して、運動の中での女性の役割の大きさ、在韓被爆者の苦闘について感想が語られました。
また、フォーラムが採択した共同文書発表の記者会見の場で、済州島で海軍基地建設反対を闘う団体から、「非核『神戸方式』を実現して米軍艦の寄港を阻止したい。ぜひ代表を済州に送ってほしい」と要請を受けるなど韓国の諸団体との連帯が強められた様子が語られました。
軍事境界線に最も近い都羅山(ドラサン)駅やドラサン展望台の見学で南北の鉄道が通じている「希望の道」の存在とともに、武装監視員によるチェックなど依然として緊張状態がつづく複雑な状況を実感した様子も語られました。
報告会での議論
報告会には、日本ベトナム友好協会、日本中国友好協会、AALA連帯委員会の役員など約三十人が出席。韓国国民の闘いが前進している理由、安倍政権をどう見ているか、韓国の被爆者の現状などについて質問が出され、熱心に討論されました。
最後に被爆七十五年・二〇二〇年五月にニューヨークで開催される原水爆禁止世界大会inニューヨークの意義が強調され、今年の国民平和大行進と原水爆禁止世界大会(長崎)の成功、参院選で核兵器禁止条約に調印する政府の実現に全力をあげるように訴えられました。
(兵庫民報2019年6月23日付)