ゼロこねっと 橋本銀河
十一月六日、毎週金曜日の関西電力神戸支社前で集まるメンバーで、神戸市の再生可能エネルギー見学ツアーに取り組みました。当日は天気にも恵まれ、十六名で「原発ゼロをめざす神戸の会」として神戸市西区にある三つの施設(水素発電、超小型マイクロ水力発電、バイオガス発電)を見学しました。
水素発電
はじめに見学したのは西区見津が丘にある「こうべ再エネ水素ステーション」。太陽光や風力などを利用して水素を作り、その水素から電気を作り出しています。
利点は、製造や使用の際に二酸化炭素を出さないこと、水素の状態であれば保存の期間が長く確保できること、欠点は自然エネルギー→水素→電気と変換するので効率が悪いこと―との説明でした。また、国からの助成金もあるがそれでも導入のコストは非常に高いとのことでした。
参考:
http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/environment/kankyomoderutoshi/hydrogen.html
超小型マイクロ水力発電
次は西区櫨谷町の福谷中層配水池の「超小型マイクロ水力発電システム」。一般家庭に適切な水圧で送水するための配水池からの水流を利用して、一般家庭約七十軒分に相当する電力を発電しています。地下に設置されている発電機も見せてもらうことができました。
説明では、①導入してもコストが回収できるか微妙なところであり、十~二十年の人口の動きなどを考えて設置しなければ無駄な投資になってしまう②現在は企業(ダイキン工業)との共同研究だが、水道局の立場としては市民に必ず安定した水を提供しなければならず、発電によるリスクを引き受けることが難しい―などの課題が語られました。
参考:
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2016/05/20160526611001.html
バイオガス発電
最後は西区森友の玉津処理場の「こうべバイオガス発電」。市街地にあります。
神鋼環境ソリューションとOGCTS(大阪ガスの子会社)によるものです。下水処理の過程で発生するメタンガスを神戸市から買い取り、それを燃焼させて発電と熱利用を行っていました。
最終的に二酸化炭素を放出してしまうものの、私たちが排出する汚水が有効に活用されているということで、参加者からももっと広く知らせたいと感想が出されていました。
神戸市のすべての処理場で「こうべバイオガス」として有効活用しているとのことで、東灘区では温水プールや市バスの燃料としても使用されているそうです。
しかし、この発電は台風や地震などの災害では装置が止まってしまいます。その都度、神鋼環境ソリューションの担当者が対応していることや、トラブル発生時のために枕元に携帯を置いて備えているとのことでした。
なお、この事業は二十年間と決まっています。その後も続けないのか尋ねたところ、二十年後には新しい技術が生まれているだろうから違う方法になるのではないかとのことでした。
電力会社が原発に四十年もの耐用年数を設定し、更に二十年も延長して使おうとしてるのと全く対照的です。
参考:
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2017/04/20170413301501.html
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今回見学した取り組みを振り返ってみると、それぞれに課題もありますが、例えば水素発電は揚水力発電のように蓄電池のような役割も考えられたり、原発に頼らない社会をつくる上で今後、普及したり活用される可能性や展望があるものだったと思います。
神戸市は「環境貢献都市KOBE」を掲げ、国の温室効果ガス排出量の削減量(二〇三〇年度までに二六%)を上回る三四%削減を目標にしています。その中で今回のような取り組みが行われています。
しかし、その一方で、二酸化炭素を大量に出している神戸製鋼所の石炭火力発電所のさらなる増設を認めるなど矛盾したことも行われています。
神戸市の担当者も、市民の意見をもとに進めていきたいと述べており、再生可能エネルギーを進めるためには、市民がしっかり声を出して後押しをすることが重要だと感じました。
こういう見学はなかなかない、と神戸市の担当者も言っていました。引き続きこのような見学や申し入れなどを行っていければと思います。
また、超小型マイクロ水力発電やこうべバイオガス発電は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を使用しており、神戸市に限らず国の政策も大きく影響もします。
今回の見学ツアーを受けて、関西電力前で原発に反対するとともに、再生エネルギーの可能性についてさらに発信をしていきたいと考えています。
(原発ゼロ!核兵器ゼロ!ゼロこねっと事務局長)
(兵庫民報2018年11月18日付)