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2018年10月21日日曜日

統一地方選へわたしの決意:大野さん(中央区

子育て・介護―安心できる県政に

神戸市中央区 大野さとみ

政府に要請する大野さん

私は今回の選挙が二回目になります。初めての選挙は一年前の市会議員補欠選挙です。一カ月少ししか時間がない中、何とかやり遂げた感じでした。七千人以上の方が票を入れてくださり、本当にありがたく感じました。
今回、県会のお話をいただいた際、正直かなり迷いもありました。〝前回は期間が短かったから何とかできたのではないか。自分にたたかいぬくことができるのか〟と。しかし、今回頑張ろうと思えたのは、前回初めて選挙に出たにもかかわらず、私に票を入れて下さった方、支えてくれた方がたくさんいたこと。この方たちの想いを今度は必ず県議会議員になって実現したいと思い、挑戦を決意しました。
前回の選挙では、子育てに関することと介護に関することを挙げました。私には現在四歳の子どもがいるのですが、子どもがいるからこそ直面させられる壁があるんだと実感しています。子どもの医療費の問題、認可保育所が足りず待機児童がうまれる問題、中学校給食の問題等々。子どもを産み、育てて行くなかでこんなにたくさんの問題がある現状を少しでも改善したいです。
そして介護の問題では、介護や医療の現場で働いている方たちの処遇改善、また介護を必要としている方たちが安心して介護を受けられる社会にしたいです。
私は神戸で産まれ神戸で育ちました。神戸が大好きです。大好きな神戸で、赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせるように、県政から政治を変えていきたいと思います。
皆さん、ご支援をよろしくお願いいたします‼

推薦します!

主婦 槙原友紀さん

同じ目線でがんばって

ママ友の大野さん。子育てなど苦労を共有し、いっしょにいると癒されます。女性や子ども、弱者の思いをくみとり、同じ目線でがんばってくれます。私の夫は在日コリアン三世ですが地方自治体では同じ住民です。民族差別もなくしてほしいと願います。

(兵庫民報2018年10月21日付)

借り上げ住宅「被災者追い出し裁判」

力あわせて継続入居を勝ち取ろう


神戸市と西宮市が借り上げ復興市営住宅について、URと市との契約期間の終了を理由に、入居者に明け渡しを迫り、継続入居を願う入居者を訴えている裁判で判決や結審が相次いでいます。

大阪高裁・神戸地裁が相次ぎ神戸市の明け渡し請求を容認

大阪高裁:Nさん裁判

神戸市兵庫区にある借り上げ復興市営住宅キャナルタウンウェストに住むNさん(80歳女性)に対して神戸市が住宅の明け渡しを求めた裁判について、大阪高裁第八民事部(山田陽三裁判長)は十月十二日、一審の神戸地裁判決に続いて、市の請求をすべて認め、Nさんに、退去と借り上げ期間経過後の賃料などの支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判では、Nさんが入居十日前に交付された入居許可書に借り上げ期間経過後の明け渡し義務が記載されており、これが公営住宅法第二十五条二項で義務づけられている「事前通知」にあたるかどうかが問われました。
神戸市は、もともと明け渡しは同法三十二条一項六号だけで請求できるとし、「事前通知」は不要だと主張していましたが、Nさんの裁判では入居許可書による「事前通知」も行っていると主張しました。
これに対し、Nさんの代理人の借上復興住宅弁護団(佐伯雄三団長)は、同項は「入居者を決定したとき」(抽選で入居が決定した時点)で「通知」をしなければならないと定めていると指摘。当時の神戸市が「事前通知」を怠っていたことから、明け渡しは請求できないと主張しました。
今回の判決は、「通知は入居者決定と同時に行われることが望ましい」としながら、法令用語として「とき」とは「時点」ではなく「場合」を意味し同項が「同時に通知をしなければならないことまで定めたとは解することはできない」として、「入居許可書」での記載が「事前通知」にあたると判断しました。しかし、三十二条の行使にあたり二十五条の「事前通知」が必要かどうかについての判断はしないまま、明け渡し請求を認めました。
また、弁護団は、高齢の入居者の転居は健康を損なうリスク(危険性)をともなうこと、現在、室内でも歩行器を使うなどNさんの生活の実情を示し、転居を迫ることは憲法が保障する人権と国連人権規約の「健康権」を侵害することも主張しました。
判決は、至近距離のバリアフリー住宅など住み替えに配慮されていたと、「完全予約制」(希望住宅に必ずしも入居できない)制度について誤解した判断を行っています。
Nさんと弁護団は最高裁に上告することを表明しています。

神戸地裁:Yy裁判

神戸地裁では十月十七日に同じくキャナルタウンウェストに住むYyさんに対し、住宅の明け渡しと賃料の支払いを命じる判決を下しました。判決は、
(1)(公営住宅)法25条2項の(事前)通知は、入居決定時に行われる入居者保護規定ではあるが、
(2)URと神戸市との借地借家法上(の)賃貸借契約が消滅していることから、
(3)公営住宅法上、25条2項の通知は、借り上げ期間満了時に転居するという心づもりを持ってもらう機能しかないと判断し、
(4)(公営住宅)法32条1項6号の請求には25条2項の「事前通知」は必要ない
として神戸市の明け渡し請求を認めました。
Yyさんと弁護団は高裁に控訴することを表明しています。

神戸地裁Tさんら4人結審

「落ち度がないのになぜ差別」Tさんが陳述
神戸地裁第四民事部(和久田斉裁判長)で行われていた、キャナルタウンウェストに住むTさん、Nmさん、Ynさん、Kさん四人についての裁判は十月十五日に結審し、来年二月七日に判決が言い渡されることになりました。
Tさんたちの場合は、入居許可書に借り上げ期間についての記述はありませんでした。
十五日にはTさんが意見陳述に立ち、当時の職員から期限についての説明がなかったこと、期限が迫ってきてからの高圧的な職員の態度なども述べ、「自分に落ち度がないのに、ようやく安定した在宅生活をあきらめ、転居先で転倒したりするかもしれず、コミュニティもない中で生活しなければならないのでしょうか。他の被災者とくらべこれほどまでに差別されなくてはならないのでしょうか」「今後、いつ、どこで、住宅を失うような災害が起こるか分かりません。この国で二度と、落ち度のない被災者が自治体から訴えられ、追い出されるようなことがあってはならない」と訴えました。

新しい支援はじめよう借上弁護団がシンポジウム

借上復興公営住宅弁護団は十月十四日、神戸市内で「被災者追い出し裁判の〝これから〟を考える」シンポジウムを開催しました。
▽吉田維一事務局長が裁判の全体像と現状、今後の予定について報告▽西宮の広川恵一医師は借り上げ住宅入居者の健康・フレイルの状況が「退去」どころでないことを指摘▽神戸大学の井口克郎准教授は、国連社会権規約が日本国憲法同様、国内法に優先することを指摘し、同規約の「健康権」からも「退去」強要は不当だと主張しました▽復興県民会議の岩田伸彦事務局長は、二〇〇一年の国連人権委員会に阪神・淡路大震災被災者の状況について報告し、日本政府に対する勧告を実現した経験について報告しました。
最後に「裁判とともに新たな支援の取り組みをはじめ、力を合わせて継続入居を勝ち取りましょう」のアピールを採択しました。

(兵庫民報2018年10月21付)

金田峰生「国会・地方党議員と連携して災害対策」

連載エッセイ4

災害対策の話が続きますが、ご容赦下さい。
なにせ、西日本豪雨対策で予備費が底をついたのに、安倍内閣は「補正予算を組まず、臨時国会も開かず」でしたので、話がなかなか進まないのです。
今回は被害を免れましたが、裏山がいつ崩れるか心配だという場所が少なくありません。
そんな中ご相談をいただいたのが、家のすぐ裏が昔は棚田で、所有者が耕作しなくなり、高木が繁っていたのですが、地目は「原野」。さらに頂上には村の鎮守が祭られており、お参りのための道が舗装されている…これは一部を除いて「山」とはみなされないので、治山事業が適用されません。だからといって、ずいぶん昔に放棄田となっていて、被災農地対策にも入りません。そもそも、防災対策メニューはありません。
さて、どうするか。
一番良いのは耕作を再開することでしょうけれど、今の農政では困難でしょう。行政も含め知恵を出しあって、何とかしたいと思っています。
21号台風で高潮被害が出ましたが、被災事業者は災害ゴミ処理も、床下の消毒も自己責任でやれというのが神戸市の態度です。
さらに、被災者生活再建支援金は「見舞金」だと言い出しました。
借り上げ復興住宅からの追い出しといい、これが阪神・淡路大震災を体験した行政の態度かとあきれます。奮闘している県議団、市・町議団と連携し、国会議員の力を借りて、粘り強く、被災者支援と防災対策の促進に取り組まなければならないと考えています。
同時に、地域医療を守るための取り組みや、労働災害をなくす取り組みも進めたいと思います。
そうそう。みなさんから寄せていただいた、被災者支援募金ですが、党本部を通じて届けた他、一部、支援物資を購入し、お隣の岡山県真備町に設置された災対連の支援センターへ届けます。
(参院兵庫選挙区予定候補・日本共産党国会議員団兵庫事務所長)

(兵庫民報2018年10月21付)

芦屋非核平和祈念のつどい

9条もつ日本こそ北東アジア平和構築に努力を


非核平和都市宣言三十三周年、被爆七十三周年を記念した「非核平和祈念のつどい」が十三日に芦屋市内で開かれました。
毎年、宣言が市議会の全会一致で決議された十月十五日前後に実行委員会で開催しているもので、芦屋市原爆被害者の会が共催、原水爆禁止兵庫県協議会、非核の政府を求める兵庫の会、平和と民主主義をすすめる芦屋西宮の会が協賛、芦屋市、芦屋市教育委員会、芦屋市PTA協議会が後援しています。
今回のつどいの前半では、三歳の時に広島で被爆した柳生研太郎さんが、絵本『青い空』として出版された自作の紙芝居をもとに、被爆体験や各国で被爆証言を行った経験を妻の加代子さんといっしょに語りました。
後半では、「日本国憲法から見る北東アジアの非核化」と題して、和田進神戸大学名誉教授が講演。和田氏は、憲法草案検討期間中に首相の地位にあった幣原喜重郎の言葉を紹介し、「そのような戦争放棄国の出現もまたほとんど空想に近いが、幸か不幸か、日本は今その役割を果たし得る位置にある。歴史の偶然はたまたま日本に世界史的任務を受け持つ機会を与えたのである」と語ったことに触れ、憲法九条を有する日本こそが北東アジアの平和構築に向けた努力を果たすべき時であると強調しました。
つどいでは、核兵器禁止条約の早期発効を願うアピールを参加者全員で採択。また山中健芦屋市長から「皆さまの日ごろの活動が、核兵器も戦争もない平和な世界の実現に向け、大きな原動力となる」とのメッセージが寄せられました。
―平野貞雄(芦屋市議)

(兵庫民報2018年10月21日付)

2019年県議選で日本共産党が灘区:わだ氏/北区:金沢氏

日本共産党兵庫県委員会は10月10日、2019年統一地方選挙の兵庫県議候補2氏を発表しました。

〇神戸市灘区(定数二)
わだ利男(65)新
三菱重工神戸造船所勤務、学校管理員を経て現在、新日本スポーツ連盟兵庫理事長、党灘区県政くらし相談所長。

〇神戸市北区(定数三)
金沢はるみ(60)新
大阪かわち市民生協、日生協健康保険組合勤務を経て現在、神戸市議(五期)、党兵庫・長田・北地区委員。

(兵庫民報2018年10月21日付)

治安維持法国賠同盟県本部結成35周年記念集会

内田氏が講演:治安維持法の論理―〝共謀罪〟


治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部の結成三十五周年記念集会が十月十四日、兵庫県民会館で開かれ、百三十人が参加しました。
岡正信県本部会長と増本一彦中央本部会長が、それぞれ現情勢と関連して〝同盟の役割がいま大事になっている〟と強調しました。
記念講演では内田博文九州大学名誉教授が「治安維持法と現代の国民統制」と題して講演。大日本帝国憲法にも違反した治安維持法を制定し、国民を敵視、〝犯罪者〟として処罰し、戦争批判を許さなかったその論理が、日本国憲法無視の安倍政権の共謀罪法に持ち込んでいること、それが国民監視社会・密告社会を生むものであることを実証的に語りました。
池辺幸恵さんが、弾圧犠牲者への追悼の思いを込め、ピアノ曲七曲を弾きました。
参加者の一人は「有権者は、能力と勇気、知識を持ち」、「戦前の治安維持法」の現代版「共謀罪法」の危険性を見抜き、いまたたかうことが大事だとの内田先生の言葉に励ましと勇気をいただいたと感想をよせました。
終了後、ラッセホールで記念パーティが催され、国賠同盟の今後の活躍を期待する声が寄せられました。

(兵庫民報2018年10月21日付)

奨学金の会が高等教育無償化で講演会

〝大学教育は社会を豊かに〟:矢野東京工大名誉教授が力説


奨学金問題と学費を考える兵庫の会は十月十三日、あすてっぷKOBEで「高等教育の無償化を根底から問い直す」を主題に講演会を開催。矢野眞和東京工業大学名誉教授(写真)が、調査・計測にもとづいて講演しました。
大学教育を受けることよる所得の増加は、家計では授業料など費用負担と在学中も働かなかったことによる所得の喪失の合計を上回り、政府支出でも補助金をはるかに上回る税収増をもたらす、との計算をしめし、高等教育が社会全体を豊かにしていると強調。
また、十八歳入学・四年で卒業が日本の特異性であり、欧米のように様々な年齢の人が学べる大学をと提唱しました。
負担については、親負担主義を脱却し、税の使い方を国民全体で議論することが必要だと指摘しました。
課程の一環としての研究で奨学金問題にとりくんでいる高校生らも参加し、「(学費返済についての)所得連動制が日本ですすまないのはなぜですか」と質問しました。

(兵庫民報2018年10月21日付)

国民救援会兵庫県本部第55回総会

言論・表現の自由守ろう


日本国民救援会兵庫県本部は十月六日、生田文化会館で第五十五回県本部大会を開催し、県下十九支部、団体、事件関係者ら百名が参加。安倍改憲阻止のたたかいをはじめ激動の情勢のもと、ひとりひとりの人権を守って活動する救援会の役割、重要性を再確認。活発に議論して、すべての事件の勝利、組織強化にむけて決意を固め合いました。
茅野涼一会長の開会挨拶のあと、兵庫労連、治安維持法国賠同盟、兵商連、自由法曹団、そして日本共産党県委員会から来賓挨拶がありました。
近藤正博事務局長が報告と方針提案を行い、国民救援会中央本部の岸田郁事務局長が「救援会創立九十年の歴史」と題して特別報告を行いました。
これらを受けての討論では、沖縄県知事選挙勝利や日野町事件の再審開始決定などうれしい報告や、不当決定を跳ね返そうと裁判所包囲大集会を行った名張事件についての発言、「救援会の支援で不当捜査を跳ね返した」との元福崎町長の嶋田正義さんの発言などがありました。
また、県内の冤罪事件である神戸質店事件当事者の母からの「息子は無実、助けてください」との訴えもあり、姫路花田事件、レッド・パージ、生存権、過労死事件など様々な裁判・たたかいが報告され、支援の訴えが続きました。
各地の救援会支部の役割、組織を強く大きくしようとの発言もあいつぎ、活発に議論しました。
最後に方針と新役員を満場一致で採択。憲法改悪阻止、公正判決を求める決議など十六の決議と会員へのアピールを確認して大会を終えました。

デモ申請、行き過ぎた記載強要

なお、活動報告・討論で、最近、憲法守れの運動が広がるなか、警察や行政による街頭宣伝への干渉に加え、デモ申請の警察署への届けの際に担当官から主催団体以外に「参加団体名」の記載を求めてきた問題に対し、救援会として行き過ぎた記載強要をやめるよう申し入れたことも報告されました。
国民救援会は、街頭宣伝、集会をはじめ言論・表現の自由のために活動しており、今後、このような干渉事例があればすぐに連絡するよう呼びかけています。
―近藤正博(国民救援会県本部事務局長)

(兵庫民報2018年10月21日付)

金田峰生「病院統廃合問題を考える」〈下〉

医師不足は失政によるもの

医師不足は「医者が増えると医療費が膨張する」といって医師の養成数を抑制し、日本を世界でも異常な「医師不足の国」にしてきた歴代政権の失政です。
医師不足と「医療崩壊」が社会問題化し、打開を求める国民世論が高まり、政府は〇八年から医学部定員を増員しました。それから十年、ようやく医師不足が多少とも解消されるかと思った矢先、安倍政権はまた「医師は総数で足りている」「問題は、地域や診療科の偏在だ」と言い出しています。
そんな安倍政権の言うままに道理のない病院統廃合を進めれば、さらに地域医療体制を確保することはできなくなります。
また豊岡病院の実態が示している通り、病院を統廃合し、病床数を増やし、高度医療を担い、医師を集中させても、事態は何も良くなりません。患者にとっては病院が遠くなり、救急患者のリスクが高くなる。患者が集中するので、待ち時間は長くなり、医師の過重労働は解消されません。
一昨年、新潟の公立病院で医師の過労自殺がありました。事態はそこまできています。
大学が独立行政法人化され、予算を削られ、教育ニーズにこたえられなくなり、事態打開のために関係病院等に圧力をかけるということはあり得ることでしょう。
しかし、医師を養成する国立大学が、地域医療破壊に加担し患者住民に犠牲を押し付けるというのは認められるものではありません。
日本は国民皆保険制度になっています。国民皆保険制度は、保険証さえあれば、いつでも、どこでも、誰でも、良質の医療が受けられるというものです。
高すぎる保険料と、それを払えなければ保険証を取り上げるという行為は、政府・行政による国民の医療を受ける権利の侵害です。また、保険証があっても医師がいなければ、医療機関が近くになければ、医療を受けることができません。
適切に医師がいて、適切に医療機関が配置されていることも、私たちの医療を受ける権利を確保する大切な条件です。
どの地域でも「病院守れ」の運動がとりくまれています。本来、地域医療体制は、何より患者、住民のニーズから出発するべきものだと思います。

安倍政権の退場で決着を

安倍首相は、「病床削減は今年度が非常に重要な年になる」としています。日本の国民十万人に対する医師数はヨーロッパに比べて極めて少なく、医学部定員を一・五倍に増やしてようやく追いつくレベルです。それを安倍政権は「多すぎる」と言ってまた削ろうとしています。一日も早く安倍政権を退場させ、政治を変えることが、問題を解決し、決着をつける道です。
安倍政権を倒さなければ、地域医療は崩壊します。これを食い止め、転換できるのは、新自由主義の誤りを当初から指摘し、アメリカいいなり、財界いいなりの政治と対峙してきた日本共産党しかありません。

社会保障拡充を綱領で約束しがんばりぬく日本共産党

日本共産党は党の基本方針である「党綱領」で、社会保障について――
「国民各層の生活を支える基本的制度として、社会保障制度の総合的な充実と確立をはかる。子どもの健康と福祉、子育ての援助のための社会施設と措置の確立を重視する。日本社会として、少子化傾向の克服に力をそそぐ」
「国の予算で、無駄な大型公共事業をはじめ、大企業・大銀行本位の支出や軍事費を優先させている現状をあらため、国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営をめざす。大企業・大資産家優遇の税制をあらため、負担能力に応じた負担という原則にたった税制と社会保障制度の確立をめざす」―と約束しています。
この羅針盤があるからこそ、「病院守れ」の闘いも、社会保障制度の拡充を求める闘いも、ブレずにがんばりぬくことができます。
(終わり)
(日本共産党国会議員団兵庫事務所長)

(兵庫民報2018年10月21日付)

“関西電力の大停電事故”―今後どうすべきか、私たちの見解[2]

2018年9月21日 第44回電力問題研究会

2,復旧体制、応援などは?

『復旧体制』

被害は和歌山県・奈良県・大阪府南部・兵庫県阪神間が甚大でした。関電、「きんでん」、関係会社総動員8000人体制を、9月8日以降は12000人に増強し、復旧に当たりました。多くは4~5日間泊まり込みの作業が続き、人員不足の中、50歳代の人も電柱にのぼる過酷な作業でした。実際の惨状を復旧する「きんでん」作業員の過重労働は「死ぬかも知れない」の声が上がる位でした。関電の車が現場へ着くと停電で困った人たちに取り囲まれて作業ができない場面もあったようです。
和歌山県知事が、市町村道の樹木倒壊による復旧遅れ打開のため、県が率先し倒木の除去作業をしながら「関電復旧の後押しをする指示」を出す状況もありました。
尼崎市に所在する阪神配電営業所は、近所からトタンの飛来で電線が切れ、営業所自体が全て停電という初めての事態でした。全社的にどこの事業所でも非常電源を常置すべきだったとの声が出ています。

発電機車など機動力は

9月5日、関電送配電カンパニーの高市和明担当の記者会見では、中国・四国・九州電力から高圧発電機車40台とともにその要員240人の応援が本日中に来ると表明。事故の規模は平成最大で阪神・淡路大震災並みだと述べました。長時間停電に対する臨時的な発電機車を使っての緊急対策は、異常気象等との関係からも見直す必要があると思います。

3,市民からの問い合わせは大混乱

すべてコールセンターの対応

「近所で関電の人と聞いたので」とか「何回電話してもかからないので古い名刺で関電の人に電話した」などのケースが結構多く、関電OBの皆さんも対応されたケースもありました。関電のサービスはHPでわかるように「停電の問い合わせは(0800-777-3081)」1本のみ。関西全域からの問い合わせが殺到し「全くかからない」事態となりました。かからないのであちこち関電営業所を探してもHPでは、関電配電営業所欄にはすべて電話番号なしで困惑は増大しました。停電下の営業所には人が並んで「いつ電気がつくのか」の問い合わせで対応が大変な事態になりました。
配電営業所の「配電自動化操作盤(オペコン=配電線の供給・遮断のコントロールシステム)」は、大量の情報が集積され解読できない状態となりました。コールセンターからは「各種申込書」で数千枚の「処理表」が送られて来るので、現場に応じて出動する手配もてんやわんやでした。
関電配電営業所は個別のPHSで通常業務が行われています。コールセンターを作ったとき、多重事故発生時の緊急時には「営業所で対応する取り決め」だった筈ができていないことが明白となりました。
「家の前で電線が切れている」「垂れ下がった電線がこわい」「近所数軒だけ停電している」等々を連絡をする事業所が無いというのは電気事業の根幹の崩壊ではないでしょうか。
関電のCSR行動原則には「事故の未然防止や、万一の事故が発生した場合でも迅速な復旧をめざし、新技術や新工法の開発・導入および、設備の高経年化への計画的な対応を進めます」と書いていますが、今回の事態は散々な状況となりました。

4,関電の配電設備「電柱270万本、電線路40万㎞」の管理は?

電柱倒壊の徹底分析を求める

今回「老朽化による事故」は表面的には見られません。しかし1000本の倒壊原因の深い分析は絶対に行い情報公開すべきです。どこの道を歩いても電柱があり頭上は電線だらけです。電柱は強風にも耐えるよう技術基準に基づいて建てています。ところが昔に比べ電線は太くなり、電話・有線放送・光ファイバーのケーブルも載り、難しい言葉ですが「風圧荷重」はぐんと増えています。「軟弱地盤に建てたのではないか」「強度が弱い電柱だったのではないか」「限界を超えて電線・ケーブルを乗せたのではないか」「倒れないようにする土中工事に問題はないか」などで、関電の事故検討委員会は詳細に公表すべきです。

関電設備への投資、改良工事・修繕工事の改善を求める

関電有価証券報告書から電力設備の改良工事や修繕工事を調べました。配電関係の「設備投資+修繕費」では、福島原発事故後再稼働のため原発関係を増額させたため一時大きく落ち込みました。2009年度の1117億円に対し2017年度では1138億円にやや増加しています。これは、市民の方々が道路沿いで見かけるように、老朽電線が落下しないよう3本線をつなぐ景色だらけです。歪んだ電柱、傾いた電柱、茶色く錆びた変圧器の取り替えなど、取りあえずの修理があるのだと考えられます。

5,我々が指摘すべき幾つかのポイントは?

4項までの文中でも、幾つか今後の課題を指摘しました。それらを含め何よりも重要なのは、関電自身がありのままに事故を検討することです。特に必要な点は下記の通りです。
(1)倒壊柱の詳細な分析の公表。4項でも指摘しました。倒壊柱は1000本あまりですから、倒壊状況、土壌状況、建設時点や電線・ケーブル類の添架状況等々、すべてを調査し公表することを求めます。
(2)停電問い合わせ番号が関西全域でコールセンターの1本だけと言うのは許されない。今後電力システム改革となるが、需要家が新電力に移行しても電力供給責任は関電グループが継続します。真の需要家サービス体制は強化すべきです。
(3)今国会で安倍政権の水道事業民営化が物議を醸しています。しかし、「水の利用は基本的人権」で一時民営化したパリもベルリンも再び公営へ戻します。電気も21世紀の今日の日常を見るとまさに命綱です。だから今回の事故の検討はこの「基本的人権尊重」の立場を明確にすることを求めます。(終わり)

(兵庫民報2018年10月21日付)

ひなたぽっころりん〈628〉


(兵庫民報2018年10月21日付)

神戸演劇鑑賞会11月例会:こまつ座『マンザナ、わが町』


一九四二年三月。アメリカ・カリフォルニアの東に連なるシエラネバダ山脈。その最高峰、ホイットニー山を背に、美しい屋根が波のように輝く棟があった。それが「マンザナ強制収容所」。第二次大戦中、ここに日系日本人が収容された。鉄条網を張りめぐらし、監視搭からは、サーチライトの光が棟に射し込んできた。
ある日、所長が「マンザナ強制収容所は日本人の自治によって運営されるひとつの町」との内容の〝朗読劇〟を上演する命令を下した。
集められたのは五人の女性たち。ジャーナリスト、浪曲師、手品師、歌手、映画女優。出身も経歴をもバラバラな五人だったが、命令に従い稽古を始めた。稽古はなかなか順調には進まなかった。その過程で五人、ひとり、一人の辿ってきた道が鮮明になってくる。その道は単純なものではなかった。偏見や差別に耐えながらの日々。経済のこと等々。でも、彼女たちは苦労を背負いながら、日々明るく、逞しく生き抜いてきた。
今回の舞台では、楽器の独奏ではなく、懐かしい唱歌やアメリカの歌が、舞台で歌われる。そして終幕、五人は歌う。赤、黄、白、黒、色は何だって美しい。その歌声の中から、井上ひさしの声が聞こえる。人間は、やはり強くて、大した生き物だ、ひとり、一人は違う、それでいいのだ。
この舞台は、強制収容所のなかで、自分たちの手で何を作って行くのか。人間讃歌と共に、観客に問い掛けて来るようです。
―小谷博子

こまつ座公演『マンザナ、わが町』

作=井上ひさし、演出=鵜山仁、出演=土居裕子、熊谷真実ほか/①11月1日(木)18時30分②11月2日(金)13時30分③11月3日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,0000円)/☎078‐222‐8651、Fax078‐222‐8653

(兵庫民報2018年10月21日付)

観感楽学

朝鮮半島情勢の動きがめまぐるしい。戦争間際の危機が南北会談、米朝会談などで回避され、平和体制づくりの可能性も生まれている。韓国の文在寅大統領が、北朝鮮の金正恩委員長は完全な非核化のためにすべての核兵器や施設を廃棄する意向だと語り、二度目の米朝会談も予定されている▼この平和の流れの背景に、平和解決を迫った世界の人々の闘いがあったことを見逃さないようにしたい。とりわけ韓国の「ろうそく革命」と言われた闘いが、腐敗し民意にそわない政権は市民の力で変えることができることを示した意味は大きい▼韓国映画『弁護人』『タクシー運転手』『1987、ある闘いの真実』『共犯者たち』などが、若者・学生、庶民、マスコミが一体で独裁政権と闘う姿を紹介し話題になった▼原水爆禁止世界大会に参加した韓国代表は、「市民の闘いで二人の大統領(李明博、朴槿恵)を牢獄に送り新しい政権をつくった。日本では?」と問いかけた▼日本政府は朝鮮半島の平和の流れに背をむけ、沖縄県民の基地ノーの民意にも背を向ける。日本でも民意にそう新しい政治をつくり、被爆者を抱える日本と朝鮮半島で非核・平和の地域を築こう。(K)

(兵庫民報2018年10月21日付)