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2018年10月7日日曜日

神戸市都市空間向上計画:撤回求める市民の声よそに「修正案」


神戸市は「都市空間向上計画」の考え方修正案を発表し、市民意見募集も始まりました(十月二日から十一月一日まで)。
今春に行われた市民意見募集では四百九件の意見が出され、そのうち「計画」に賛成の意見は、わずか十二件で、圧倒的多数は「計画」の撤回を求めるものでした。市民の意思がこれだけ明確にもかかわらず、久元喜造市長は、反対意見は「一定の政党や団体が非常に組織的な呼びかけをされている」など事実をゆがめる発言をしています。この市長の傲慢な姿勢そのままに、「修正案」は、市民に否定された「計画」をより一層鮮明にするものになっています。

鉄道駅から遠い地域をバッサリ切り捨て

「修正案」は、駅周辺(徒歩圏=約八百メートル~約千六百メートルの範囲)から離れた地域は「人口減少のリスクが大きい地域(居住誘導区域外)」として決めつけ、「人口を減らさない」対策を放棄し、駅周辺に転居を誘導しようとしています。
これによって垂水区では人口の四割、西区は五割が、この地域になると想定されます。神戸市は「引き続き住み続けられる」地域といいますが、行政からリスクが高い地域と上から決めつければ、スーパーの撤退や、バス路線の減便など、住み続けるうえで悪影響をおよぼすことは明白です。
日本共産党神戸市議団は、どこに住んでいても、等しく「将来も心地よく健やかに住み続けられる」ための努力こそ行うべきだと批判しています。

駅周辺は高層ビル化で過密が深刻に

「修正案」では、駅周辺を「居住誘導区域」に設定し、六甲山南側の市街地を中心に人口を集中・誘導するものとなっています。東灘区、灘区、中央区などでは、学校・保育所、介護施設が不足。地価上昇で固定資産税や家賃も上がり住みづらくなっています。久元市長は、「人口増対策は駅前マンション開発だ」と再開発促進を狙っており、過密の弊害を解消するどころか、「適切な人口密度」への調整すらできる保証はありません。
日本共産党神戸市議団は、十月の「市民意見募集」で、前回を大きく上回る市民からの意見を神戸市に集中し、「神戸市破壊計画」といえる「都市空間向上計画」を撤回させようと呼びかけ、行政区ごとの緊急報告会を開きます。

修正案にパブリックコメントを

市民意見の提出方法:11月1日締め切り
住所・氏名と、都市空間向上計画に対する意見であることを記載し、以下の方法で提出してください。
(a)郵送・持参 〒650‐8570 神戸市役所2号館4階 住宅都市局計画部都市計画課あて(11月1日〈木〉の消印有効)
(b)ファックス 078‐322‐6095
(c)電子メール toshikukan@office.city.kobe.lg.jp
詳しくは神戸市のホームページをご覧ください。

日本共産党神戸市議団による緊急報告会

【全体報告会】
10月10日(水)18時30分:神戸市勤労会館2階多目的ホール

【垂水区】
9日(火)18時30分:レバンテ多目的ホール

【北区】
①13日(土)10時:ひよどり台小学校多目的室
②13日(土)14時:すずらんホール多目的室
③20日(土)10時:有野台会館多目的室

【西区】
①20日(土)10時:岩岡連絡所2階
②20日(土)18時30分:西区民センター会議室1
③27日(土)14時:栄市営住宅集会室

(兵庫民報2018年10月7日付)

川西・加東両市議選14日告示・21日投票

川西:現有議席確保へ黒田・北野・吉岡氏奮闘

黒田みち議員
北野のり子議員
吉岡けんじ氏

川西市議選(定数二十六)で日本共産党は、黒田みち氏(60)、北野のり子氏(55)の二現職と、新人の吉岡けんじ氏(49)の三人を立て、現有議席確保をめざします。
三氏は、くらし・福祉を支える市政へと①川西病院存続②中学校給食を自校調理方式で早期実現③長寿応援④防災対策拡充・被災者支援―などの政策を掲げ、「憲法を大切に、何より市民要求第一、とことんがんばる日本共産党の役割を訴えています。

加東:空白克服へこせき和夫氏が全力

こせき和夫氏

加東市議選(定数十六)では、日本共産党の新人のこせき和夫氏(69)が空白克服をめざし、国保税・介護保険料の引き下げ、農業後継者確保・育成、子育て支援策拡充などの政策を掲げるとともに市民の暮らし第一の政治をめざす党議席の値打ちを訴えています。

こせき和夫氏略歴

県立社高校卒。神戸中央郵便局勤務を経て、農業に従事。兵庫労連労働相談センター相談員、加東年金者組合役員。

(兵庫民報2018年10月7日付)

神戸市災害対策補正予算・17年度決算:日本共産党が質疑

九月十八日から開催されている神戸市議会において、災害対策に関する補正予算について日本共産党の森本真議員が、二〇一七年度決算について日本共産党の赤田かつのり議員と大前まさひろ議員が質疑をしました。

「国にさらなる拡充求める」と市長約束

森本真議員
七月以降の台風や大雨で神戸市も大きな被害を受けました。日本共産党神戸市議団は、神戸市に緊急要望を行い、現行法で取りうる被災者支援を最大限に行うとともに、国県への支援の拡大、市独自の支援制度の創設を求めてきました。
神戸市は、今議会に、被災者生活再建支援法(以下支援法)の対象とならない被災世帯に、自治体独自の支援金制度(兵庫県との協調事業)を提案。九月十八日の本会議で森本議員が、すべての被災者を救える支援に拡充すべきと質問したことに対し、寺崎秀俊副市長は「支援法は、私的財産に公的補助をすべきではないという議論を乗り越え創られた制度」「(国の制度では半壊・一部損壊、床上浸水など対象とならない)被災世帯にも支援を行うべきとの観点から自治体単独の支援を決めた」と表明しました。
赤田かつのり議員
九月二十五日の本会議で、赤田議員は、支援法は、阪神・淡路大震災以後、神戸市と被災者・市民が勝ち取ってきた宝だと指摘。繰り返される大規模な災害に対し、災害状況と被災者の現状に見合った支援に拡充すべきと求めました。
久元喜造市長は「支援法による支援金対象要件の拡大を国に求めていく必要がある」「国家予算要望で半壊世帯や住宅以外の生活基盤への拡充を求めてきたが、加えて災害規模要件の緩和も求めていきたい」と答えました。その他に都市空間向上計画、兵庫県が策定した「地域医療構想」、垂水区の中学生自死事案「いじめメモ隠蔽問題」について質疑しました。

小学校の過密化解消を早く

神戸市の九区中で生徒数の増加にともない三十校の小中学校で仮設校舎が建てられています。これらの学校では校庭で伸び伸びと遊べず、仮設校舎は夏が暑いなど、教育環境が悪化しています。
大前まさひろ議員
大前議員は、中央区の学校ではグラウンドが狭くなったり、教室が足りなく廊下をつぶして職員室を作っている実態を告発し、過密化を解消するためには「土地を購入し、新たな学校を新設するか校舎を建てることと合わせ、これ以上のマンション建設そのものを規制すべき」と質しました。
長田淳教育長は、教室不足の解消と対応が大前提。老朽化した教育環境、施設などの改善については、全市を見て優先順位を付けて行っていきたいと答えました。
大前議員は、文化ホールや生田文化会館など三宮再整備地区に移転させられたり、都心部では保育所用地が確保されず、待機児が増加し、ビルの中につくられる園庭のない小規模保育が増え、保育環境が悪化していることを指摘。三宮一極集中の開発によって、おなじ中央区で、なぜ地域から文化施設がうばわれ、劣悪な教育・子育て環境を押し付けられなければならないのか、優先順位を変えるべきだと批判しました。

(兵庫民報2018年10月7日付)

統一地方選へわたしの決意:庄本県議(尼崎)

いのち・くらし守る兵庫県に

県議会議員(尼崎) 庄本えつこ

私の政治家としての原点は「誰もが平和の裡に生きる」です。小さい時から母や祖母に戦争や戦後の「たけのこ生活」などの話を聞かされました。父は戦争についてほとんど語りませんでした。 しかし「人肉は酸っぱいらしい」と言ったこともあり、子どもたちには言えない体験をしていたのではないでしょうか。
母は「九条ができて日本はもう戦争しない。本当に良かった」とよく言いました。私は憲法を知る前から「九条」とともに成長しました。
その九条を安倍首相が変えようとしています。絶対に許されません。「核兵器禁止条約」の署名国が六十七か国、批准が十九か国になりました。米朝首脳会談、南北首脳会談により「核戦争の恐怖から抜け出す」平和のプロセスが始まっている今こそ、九条を生かす外交で平和のイニシアチブをとることが日本政府に求められています。
昨年十二月十四日、県議会で「非核平和兵庫県宣言」が決議されました。これは一九八〇年代から党議員団が繰り返し議会で取り上げてきたものであり、私の公約の一つでした。昨年二月に私の所属していた総務常任委員会に平和団体から請願が出され、これまでだったら即否決されていたのに継続審査となり、議員提案により全会派一致で採択されたのです。被爆者をはじめとする県民の運動が実ったものです。
私は友人から「平和のえつこ」と言われます。誇りに感じています。未来に生きる子どもたちに、このままの九条と戦争のない平和な社会を手渡したい。平和を原点に、「いのち・くらし」を守る兵庫県にするために全力でがんばります。

推薦します!

尼崎九条ネット代表委員の一人
大道秀子さん(80)

リズミカルさが魅力
平和運動の先頭に立ち、政治では大局的視野をもち、文学に精通する彼女は、県民と痛みを共有し、怒り、しなかやな対応のできる人です。街の声をひろい、世直しにこれからもリズミカルに羽ばたいていただきましょう。

(兵庫民報2018年10月7日付)

金田峰生「病院統廃合問題を考える」〈上〉

今、神戸市北区にある済生会兵庫県病院と三田市民病院を統廃合しようという動きが大問題になっています。兵庫県内ではこれまでにも、病院統廃合、それも公立病院と民間病院の統廃合がありました。

背景に新自由主義

一連の病院統廃合の背景には、安倍自民党政権の「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざすという「新自由主義」の考え方があります。
「新自由主義」経済というのは、ご存知の通り「大企業をもっと強くすれば、国の経済は潤う」というもので、自民党政権はアメリカから言われるまま新自由主義経済政策を取り続けています。従って「社会保障に財源を回したくはない。医療にかかる公的支出を削って予算を大企業がもうかる事に使いたい」「大企業が負担している社会保険料等税金負担を軽くしたい、その分は国民に負担させたい」というのが本音でしょう。
医療費を削るために政府は、「医療費が膨れ上がって国家財政を圧迫し、大変な事になっている」という「医療費亡国論」を振りまき、例えば医療保険への国庫負担を二分の一から三分の一に減らす、それまではなかった窓口負担という制度をつくるなど、国民の負担を重くし、病院に行き難くしました。医療を受ける側、医療需要の抑制策です。もう一方の医者を減らし、病床を減らす、医療の供給も抑制しました。
その具体化が、地方自治体に「医療費適正化計画」と、その目標を達成できる「地域医療構想による病床削減」計画を作らせるというもので、安倍政権が強権的に進めています。

「地域医療構想」

「地域医療構想」というのは、安倍・自公政権が二〇一四年に「医療・介護総合法」を強行して導入した、新たなベッド数削減の仕組みです。
厚労省は「地域医療構想ガイドライン」で、医師や看護師を手厚く配置する病床を「高度急性期」に限定し、それ以外の一般病床は、二〇二五年度までに再編・淘汰していくよう都道府県に指示しています。長期入院型の療養病床については、ベッド数が少ない県にあわせて大幅削減し、患者を「在宅化」していくとしています。こうした「構想」を県に持たせて、二〇二五年までにベッド数を、本来必要とされる百五十二万床から百十九万床に、三十三万床削減していくというのが、安倍政権の狙いです。
そして計画を着実にやらせようと、消費税を財源につくった「地域医療介護総合確保基金」の配分を、病床削減につながる計画に優先配分する。病棟の解体撤去にも使えるようにするなど、露骨な誘導を行っています。また、「公的病院の増床に中止命令が出せる」「民間病院にも要請・勧告できる」などの知事権限を強化し、勧告に従わない病院名の公表や地域医療支援病院の承認取り消しができるなどとしました。地域医療支援病院に承認されると、診療報酬上に加算がつきます。取り消されると、収入が減らされることになります。

自治体の態度が問われる

しかし全国では、再編・病床削減に合意した医療機関は二百八十施設で、計画全体の二%です。病床を減らすということ、病院を統廃合するということは、命の砦を減らすこと、なくすことで、人々の暮らしに耐え難い苦痛をもたらし、人々の権利を損ないかねない重大な問題です。県や市・町が安倍政権のいいなりになるのか、地域医療確保のために政権と対峙できるか、問わなければなりません。住民の命と福祉を守る地方自治体が、医療切り捨ての先兵役を担うなど許す訳にはいきません。(続く・三回連載)
(日本共産党国会議員団兵庫事務所長)

(兵庫民報2018年10月7日付)

消費税廃止兵庫県各界連が総会


消費税廃止兵庫県各界連絡会は九月二十一日に神戸市内で総会を開催し、五十七人が参加しました。記念講演では日本共産党の大門実紀史参議院議員が「安倍内閣を退陣に!ストップ消費税増税!」をテーマに講演しました。
大門氏は、アベノミクスは株価を引き上げることが中心の政策であり、国民の暮らしに寄り添うものではないと批判。自民党総裁選で石破氏が多数の地域票を得たことに触れ、党内にも地域経済の衰退を危惧する声など多様な意見が内在しており、余裕に見える「安倍一強」も実は追い詰められていると紹介しました。
アベノミクスの「異次元の金融緩和」は大企業に空前の利益をもたらしましたが、円安による輸入物価の上昇によって、国民の実質賃金は低下しており、社会保障の充実で景気回復という「好循環政策」に切り替えなければならないとしました。
安倍首相は消費税八%増税時に「増税分はすべて社会保障にまわす」としていましたが、実際は約七五%が財政再建に充てられており、一方、患者の窓口負担増や介護保険制度の改悪など、社会保障の充実とは逆行していると指摘しました。
さらに消費税は、格差を拡大させ、中小業者をいじめる税であり、税金を集める方法としてなじまないとし、安倍政権を退陣させてこそ、消費税増税中止が実現する、と呼びかけました。
日本共産党の金田峰生参院兵庫選挙区予定候補から「一〇%への引き上げ、インボイス制度導入を阻止し、消費税に頼らない財政構造への転換を図りたいと思っています」とメッセージが寄せられました。
総会では大嶋誠事務局長が活動報告し、来年九月の一〇%への増税を中止させるため草の根の運動を広げることが提案されました。
地域の各界連では宣伝行動の報告や、「台風21号の被害で修理費用の捻出が困難な業者もあり、そこに増税がのしかかれば廃業に追い込まれてしまう」などの発言がありました。
―有本花野子(兵庫県保険医協会)

(兵庫民報2018年10月7日付)

優生保護法による強制手術:兵庫県在住2夫妻が提訴

小林寳二さん・喜美子さん夫妻

兵庫県内在住の七十代の聴覚障害者である高尾辰夫さん・奈美恵さん夫妻(ともに仮名)と小林寳二さん・喜美子さん夫妻が、優生保護法による不妊・中絶手術に対する国家賠償を求め、九月二十八日、神戸地裁に提訴しました。
高尾辰夫さんは結婚直前、不妊手術を受けさせられました。小林喜美子さんは結婚し、妊娠がわかった時、中絶手術と不妊手術を受けさせられました。手術について両夫妻とも家族や医師から何の説明も受けず、役所や病院にも記録が残されていません。
記者会見で二夫妻とも子どもをもつという望みを絶たれた悔しさや寂しさ、障害を理由に行われた差別に対する憤りを語りました。
優生保護法により本人の同意なく行われた手術は全国で一万六千五百件以上とされています。
原告と弁護団はこの裁判で、①原告の権利侵害を救済する②声をあげられない他の被害者が救済を訴える力になる③救済のための法律を制定するきっかけをつくり、他の被害者の救済が行われるようはたらきかける④社会のなかから、〝優生思想〟(障害があることを「不良」と考える思想)をなくす―をめざすとして、傍聴、報告集会への参加など継続的な支援を呼びかけています。

(兵庫民報2018年10月7日付)

西宮母親大会:歴史の真実に目を向けよう


第四十八回西宮母親大会を九月二十三日、西宮市役所東館で開催しました。
午前中は、二つの分科会で、道徳が特別の教科になり子どもたちの内面が評価されたり、五年生から英語活動が入るなど、先生も子どもも大変な教育現場の実態や、制度が変わった介護や医療費の負担はどうなるのかなどを学び、話し合い、共通理解を深めました。
午後は「寺田ちはるのアコーディオン演奏」の文化行事で始まりました。素敵なアコーディオンの音色で世界を旅し、寺田さんの伴奏で、女声コーラスこぶしとさくらんぼ合唱団の人たちによる「ヒロシマの有る国で」の演奏を聴きました。最後に参加者全員で「青い空は」と「翼をください」を歌い、心がのびのびと穏やかになりました。
続いてアーサービナードさんの講演です。
「僕らの日本語はいつまで続くのか?―アメリカ生まれの詩人がこの国の未来を語る―」と題して、原発や戦争について生活者の立場から平和を訴えられました。福島の原発事故からの復興が進まない中での東京オリンピックの開催の是非についても、ユーモアのある語り口調の中に鋭い真実を見る目を感じさせられました。
先の戦争で、私たちが教科書で教えられなかった歴史の真実を、経験者の話や残されている詩や手紙から掘り起した深い洞察に驚かされるとともに、歴史の真実に目を向けることの大切さを学びました。子どもから読める絵本を通して伝わってくる平和への願いを感じられるお話でした。
大会アピールを採択して大会は終了しました。参加者は二百名。初参加の若いお母さんは「今まで知らなかったことを今日一日でたくさん知ることができた。私にもできることを!」等、多くの感想が寄せられています。
―加藤良江(西宮母親大会連絡会)

(兵庫民報2018年10月7日付)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2018-09-27

「被爆の実相」に立った最終弁論

副島圀義

九月二十七日の大阪地裁第七民事部。諸富健弁護士と濱本由弁護士が、苑田朔爾さんとKさんについての最終弁論を展開しました。
法廷にはスクリーンが用意され、原爆投下後の広島、長崎の惨状を伝える写真や絵、あるいは広島・長崎とネバダ核実験場の「きのこ雲」を対比した図表等々を映しながらの意見陳述です。
この間、弁護団が一貫して努力してきたのは「裁判所に、被爆の実相をしっかり知ってもらうこと」でした。幾度も退けられた後、最終弁論での映写には、弁護団の熱意が込められていました。
濱本弁護士は「国は『広島・長崎市内への放射性降下物は極めて少なかった』と主張するが、広島、長崎のきのこ雲とネバダ砂漠でのそれとは、大きさや厚み、構造がまったく異なる。海や川があり湿度の高い夏の日本の都市と、人の住まない砂漠地帯での放射性降下物の態様を同列に論じてはならない」ときびしく批判しました。
また、いままでの法廷でも繰り返し明らかにしてきた「内部被ばくの機序」を重ねて解明。内部被ばくの影響を認めようとしない国の誤りを断じました。
このように、原告代理人の弁護団が映像と肉声で意見陳述しているにも関わらず、この日も国側代理人は口を閉ざしたまま。「傍聴者がいる公開の場ではモノも言えないのか?そんなに後ろめたいのか?」と言いたくなります。

この日で弁論終結となったお二人についての判決は、来年二月二十八日と決まりました。奇しくも「ビキニデー」の前日です。

次回、次々回の十月十七日も、三十一日も、原告本人や医師の証言が行われます。
とかく、双方の書面や証拠の確認だけが法廷の前の方でやりとりされ、せっかく傍聴に行っても、あとの報告集会で説明を聞くまでは何のための公開法廷か分からないようなことが少なくない。そんな裁判のあり方でいいのかと常々思いますが、このあとの期日では傍聴席を埋め尽くして、被爆者や医師の証言をしっかり聞きたいと思います。
*
この「傍聴記」を読み、裁判所に足を運んでくださった方がありました。ありがとうございます。

(兵庫民報2018年10月7日付)

山下よしき「これが昼休みかぁ」

連載エッセイ9

生協労連五十周年記念レセプションであいさつしました(九月二十日)。
八〇年代の初め、私は大阪かわち市民生協(現おおさかパルコープ)の職員として、毎日トラックのハンドルを握り、地域の組合員にコープ商品を届けていました。
当時、生協の職場の労働条件はきつかった。午前と午後の配送の間には、昼食を一気にかきこむ時間しかないという状況でした。
そんな職場で若い仲間たちと取り組んだのが経済学の自主勉強会。毎週、文化住宅(木造二階建て長屋)の一室でチューターを交代しながら学習を続けました。しばらくすると、昼休みもとれずトラックに積み込み作業をする労働者の中から「これが搾取かぁ」と声が上がるようになりました。
そこで、労組分会として「働き方改革」に取り組むことに。ストップウォッチ片手に午前の配送から帰ってきた労働者一人一人の作業を分刻みで記録、全員分をまとめて問題点と改善方法を議論しました。
結論は、午前の配送から帰ったらすぐ休憩に入ること。午後の分の積み込みは午後一時から全員で協力しながらやること。そのために組合員さんに午後の配達時間が少しずれることへの理解を求めること。
やってみると、見事に全員三十分の昼休みが取れるではありませんか。うれしくて、もったいなくて、並んだトラックの前でテニスに興じ、一球打つごとに「これが昼休みかぁ」と噛みしめたことを覚えています。
レセプション会場に共感の拍手がひろがりました。
(日本共産党参院議員・党副委員長)

(兵庫民報2018年10月7日付)

書評『続暴圧に抗して』戸崎曽太郎・田中隆夫共著

草の根の人々の闘い地道な史料研究で描く

平野喜一郎(三重大学名誉教授)


期待されていた『続 暴圧に抗して』が刊行された。正編に続く、兵庫県下の弾圧犠牲者の物語である。今回とりあげられた人々は、著名人が正編ほど多くない。評者も読者も初めて知る名前が多いだろう。しかし、それだけに、社会の目立たぬ場所で闘ってきた、いわば、「地の塩」のような人々である。社会の草の根のところで、社会の腐敗を防ぐ塩の役目を果たす人々である。
労働運動家が多いのは、神戸で最初に大規模な歴史的労働争議があったからであろう。一九一八年の自然発生的な米騒動の三年後の、組織的な三菱・川崎の労働争議である。敗れたとはいえ、その影響力の大きさが理解できる。また、その後の海員組合の闘いが多いのも、港町神戸の闘いだとおもわせる。他府県に比べて、これが本書の特徴だろう。
もちろん労働運動の活動家ばかりでなく、農民運動、学生運動、文化運動、宗教運動で闘った人々もとりあげられている。
本書は、第一部 労働運動の弾圧犠牲者、第二部 学生・文化運動の弾圧犠牲者の二部から成る。
*
第一部は「不屈」兵庫県版に連載されたものであり、字数制限により、一人について二ページである。必要なことがぎりぎりの字数で書かれるため、一見、「人物事典」のようにみえる。しかし、それ故に必要な事項が選ばれた言葉で書かれており、冗長さや無駄がない。史料がよく分析され、基本的な事実が鮮明に記述されている。また、読者の想像力によって運動の全体を展望することができる。
たとえば、戦後、豊岡市長になった橋本省三である。三・一五の弾圧で再検挙され、服役していた。「郷里の区長などがよびかけた減刑嘆願書が提出され、区長らが身元引受人となり、一燈園に入る名目で仮釈放となる」。これだけの叙述で、橋本の人柄、彼を支えた人々の熱い思いがつたわってくる。
*
第二部は、第一部とちがって、西村欣治郎と須藤五郎が、それぞれ十ページ以上にわたって語られ、読み物として充実している。
西村は関西学院学生で、学生・文化運動で活躍したが、二十九歳で獄死した。彼は著名な脚本家・久板栄二郎の影響でマルクス理論に近づいた。久板は「戦旗」をひろめるため、関西に長期滞在していた。西村は哲学者・戸坂潤や梯明秀からも高く評価された、優れた哲学学徒であった。彼の志は友人草野昌彦らに受けつがれた。
須藤五郎は宝塚歌劇場指揮者として活躍し、戦後、日本共産党参議院議員に選ばれた。
彼は、小林一三の「劇を一部の階級の人々の手から放して、国民のものにしたい」という主張に共鳴し、二十七年間宝塚の音楽担当者として活躍した。
軍国主義が宝塚にも及んでくるなかで、彼は仲間とともに社会科学を学ぼうということになった。ここで、西村欣治郎を講師にして科学的社会主義を学ぶ。西村を通じて、共産党へ毎月給料の四分の一以上を提供する。西村の依頼で共産党幹部三名を自宅に長期に匿い、このため特高警察に検挙された。一時宝塚を解雇されたが、須藤をたかく評価する小林の要請で復職した。
一見嘘のようなエピソードがある。須藤検挙の後、須藤の自宅の張り込みをしていた警官が、仕事に嫌気がさして辞表をだした、ということが須藤の「自伝」に叙述されていた。叙述が真実であることを、著者は新史料によって確認している。一九三二年の毎日新聞の記事、「共産党狩りの殊勲警官が無産運動へ飛び込む」である。警官が須藤およびその夫人に感化された、という感動的な話である。
ここに見られるように、著者たちの地道な史料研究が本書の叙述の前提になっている。そのことにも評者は感動した。

治安維持法犠牲者追悼・顕彰と国家賠償要求同盟兵庫県本部結成35周年記念集会

10月14日(日)14時、兵庫県民会館11階パルテホール/記念講演「治安維持法と現代の国民統制」内田博文(九州大学名誉教授、近著:『治安維持法と共謀罪』岩波新書)/ピアノ演奏:池辺幸恵/参加費500円/記念パーティ(集会後、ラッセホール、4,000円)/☎078‐351‐0677

(兵庫民報2018年10月7日付)

神戸映サ10月例会『ロープ/戦場の生命線』

フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督作品

停戦直後のバルカン半島 そこで何が起こったのか

一九九五年、停戦直後のバルカン半島で何が起こったのか? 衝撃と感動のヒューマン・ドラマ『ロープ/戦場の生命線』を十月例会で上映します。
紛争地帯で人々を救うため奔走する国際援助活動家たちの奮闘を『トラフィック』のベニチオ・デル・トロ、『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンス、『オブリビオン』のオルガ・キュリレンコ、『ゼロの未来』のメラニー・ティエリーら実力派キャストの共演で描いたスペイン製のドラマです。監督はフェルナンド・レオン・デ・アラノア。『カット』でスペインのアカデミー賞であるゴヤ賞の最優秀監督賞を受賞した監督です。
この映画はボスニア内戦という激しい戦いの後、停戦になった地域の話です。外部の力ではどうにもならない戦争の本質を鋭く突いています。紛争直後の山岳地帯の実情を、どうしようもない閉塞感をもって映し出すのではなく、一人ひとりの人間に焦点を当てたドラマになっています。国に家族や恋人を待たせていても、給料が少なくても、どれだけ悲惨な状況や人間の汚い部分を目にし、命の危険にあっても、現地で困っている人を助けに行く。こんな人たちがいることに感動を覚えます。
また死ぬか生きるかの緊迫した状況にあってもジョークやユーモアが次々に飛び出し、観ている私たちの心を和ませます。
世界にはこの人達のように無欲で献身的な活動家たちがいるということを教えてくれます。たった一日の話です。映画は百六分。この世界に入り込んでください。
―飯川徹(神戸映画サークル協議会)

映画『ロープ/戦場の生命線』

10月19日(金)①11時30分②14時30分③19時、20日(土)①11時30分②14時30分③18時、神戸アートビレッジセンターKAVCホール/2015年、スペイン、106分/一般当日:1,700円(前売:1,300円)、シニア・障がい者・大学生以下:1,300円/☎078-371-8550、URL http://kobe-eisa.com/

(兵庫民報2018年10月7日付)

ひなたぽっころりん〈627〉


(兵庫民報2018年10月7日付)

観感楽学

各国の首脳が一堂に会する国連総会での演説に世界が注目している。アメリカのトランプ大統領は、自身のアメリカ第一主義の政治姿勢を「世界のだれよりもよくやっている」と自賛して会場から失笑を買い、「まあいいさ」と自嘲。フランスのマクロン大統領は、アメリカの保護貿易政策を痛烈に批判して満場の喝さいを浴びた▼この総会では、貿易問題と共に米朝関係や米国とイランの関係など核・平和問題に関心が寄せられたが、この中で、マレーシアのマハティール首相と韓国の文在寅大統領の発言は主体性を貫く素晴らしい演説で感動した▼マハティール首相は「マレーシアが何の問題がなくてもイランと貿易できない」と米国を批判。「自国の憲法改正にあたって、日本の憲法九条を取り入れ、侵略戦争を認めない日本の憲法にならうことを検討している」と表明した▼文大統領は、「北朝鮮は長年の孤立から抜け出し再び世界の前に立った。北朝鮮の新しい選択と努力に応え、金委員長の決断が正しい判断だったと確信できるようにしてあげるのが国連の役割だ」と述べて非核化と朝鮮戦争終結への熱意を示した▼一方、安倍首相は、「対話による問題解決は無に帰した。必要なのは対話ではなく圧力だ」と叫んだ昨年の発言から一転して「金委員長と対話する用意がある」と述べたものの、対米従属の姿勢は変わらず、ガラガラの総会議場の空席が演説の空疎さを象徴していた。(D)

(兵庫民報2018年10月7日付)

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