「九条の会.ひがしなだ」が、シリーズで取り組んでいる戦争体験を語る集いの十三回目「戦災を生き延び、平和を求めて~『住吉』駅前の空襲で死に直面~」が一日、東灘区民センターで行われました。
今回の語り部は増川宏一さん(遊戯史研究家)。一九三〇年(昭和五年)長崎市生まれの増川さんが、戦時中の学生生活や空襲体験などを通じて、「戦争からの教訓」を明らかにしました。
増川さんの実家は当時、大阪で医院を開業していましたが、奈良県へ疎開し、中高一貫七年制の旧制甲南高等学校(現甲南大学)尋常科(中学)三年に在学中だった増川さんは、「男手がなくて不安」という学友の誘いで、今のJR住吉駅南側の東灘区宮町六丁目に「半ば用心棒代わりに下宿」していました。
終戦直前の八月一日の大空襲で死に直面、住吉川辺りまで必死に逃げて気を失い、焼け跡に戻った後は狭い防空壕暮らし、という苦い経験をもとに、「幾多の犠牲の上に、今の憲法ができ、九条がある。断じて過ちを繰り返してはならない」と強調しました。
また、「戦争は思想統制を生み、組織統制へ進む」として、「当時は、なんであれほどあほなことが行われて、何とも思わなかったのか」と省み、「なぜ小学校で教育勅語を暗誦、奉安殿に最敬礼させ、十軒一組の〝隣組〟に監視と配給体制を担わせたのか」を解明。「特にスポーツ、文化面がひどかった」として、芸能人の強制改名、野球用語での英語禁止などの実例をあげ、苦笑をも誘いました。
さらには、神戸には華僑や中国人労働者が多かったことから、麻雀屋も多く、そこに特高刑事が張り込んで監視体制を強め、事実上、「敵性遊戯」をつぶしていったエピソードも披露しました。
◇
東灘区では連続的に学習会が予定されています。
市民アクション東灘特別学習企画:水面下で進む「戦時徴用」の現実を学ぶ
7月21日(土)14時、東灘区民センター9階多目的ホール/①ドキュメンタリー映像「防衛フェリー~民間船と戦争~」上映(昨年度文化庁芸術祭テレビ・ドキュメンタリー部門大賞受賞作品)/②お話:依田恵美子さん(名古屋テレビ・ディレクター)折衝中/主催:安倍改憲NO!! 市民アクション東灘/参加協力費500円/☎080‐6120‐6012(藤丸)
じっくり学ぶ:自民党改憲案の問題点と危険性
東灘憲法共同センター第4回総会記念講演:憲法改定を許さない運動はこれから
7月29日(日)14時、東灘区民センター第1・2会議室/講師:二宮厚美(神戸大学名誉教授)/参加協力費:カンパ制(1口500円以上)/問い合わせ☎078‐851‐9381
◇
増川宏一さんには『日本遊戯史』(二〇一二年、平凡社)など遊戯の歴史に関する著書が多数あります。
また、「支配階級と遊び」を「兵庫民報」二〇一七年十月十五日付・二十二日付に寄稿し、明治以来の日本政府、戦後のGHQが遊びを国民支配にいかに利用してきたかを紹介しています(掲載号は少し残っています。一部八十円+送料。編集部へお問い合わせください。国会図書館でも閲覧できます)。
(兵庫民報2018年7月8日付)