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2018年5月13日日曜日

5・3兵庫憲法集会:9千人声あげる


戦争をさせない1000人委員会・ひょうご、憲法改悪ストップ兵庫県共同センター、9条の心ネットワークの呼びかけで「戦争させない、9条壊すな! 5・3兵庫憲法集会」が憲法記念日の五月三日、神戸・東遊園地で開かれ、九千人が参加しました。

高石ともやさん
神田香織さん

高石ともやさんが、自分が受けた『あたらしい憲法のはなし』の授業も紹介しながら「あの日の授業」(作・笠木透)などのフォークソングで日本国憲法の大切さを訴え、講談師の神田香織さんが、福島原発事故による避難指示のため津波生存者を救出できなかった消防団員の無念さを描く講談を語り、原発再稼働をすすめる安倍政権への怒りを表しました。
兵庫出身の衆議院議員として立憲民主党の桜井周氏が挨拶したほか、借り上げ復興住宅、核兵器禁止条約、障害者などの問題についての訴えもありました。
集会は、当たり前のように過ごしている平和がある日突然、戦争によって奪われることのないよう、自衛隊を書き込むことによって憲法九条を壊そうとする安倍内閣の退陣を要求するとのアピールを確認し、三コースに分かれてのデモで広く市民に訴えました。

(兵庫民報2018年5月13日付)

憲法フェスタ:阪神間の幅広い結集で

5・4憲法集会実行委員会主催の「憲法フェスタ」がいたみホールで開催され、七百五十人が参加しました。
安倍政権はボロボロになりながらも憲法九条改憲を執念深く狙っています。そういう中で「憲法を守りたい」という思いを幅広く結集しようと計画された集会でした。
午前中は映画「米軍が最も恐れた男、その名はカメジロー」を上映し午後は集会でした。
国会報告は六区から野党統一候補としてたたかった桜井周衆院議員、記念講演とトークセッションは山尾志桜里衆院議員、司会はミナセン尼崎の弘川欣絵弁護士でした。
憲法九条を守ることはそのほかの憲法条文も守ることになる。憲法を変えるのではなく憲法を実現することこそ必要だ、ということが山尾議員とママさんたちのトークセッション「子供の未来と、憲法が輝く社会の実現へ」で明らかとなりました。
木村真豊中市議が「将棋でいえば完全に詰んでいるのが『森友問題』。開き直る安倍政権を追い詰めよう。大阪では松井知事もやめさせるために頑張る!」と力強い決意を語りました。
最後に羽柴修弁護士から「三千万署名」の訴えを行い閉会しました。
―服部好廣(日本共産党伊丹市議団)

(兵庫民報2018年5月13日付)

憲法を守るはりま集会:ずっと、ずっと憲法守って40回

(撮影:小松原大輔氏)

実行委員会主催の「憲法を守るはりま集会」が五月五日、姫路市市民会館大ホールで開かれ、八百人を超える市民が集いました。同集会は一九七八年から毎年開かれ今回が第四十回。記念講演だけでなく、映画、落語、合唱、スライドなど多様な表現で憲法を守れとアピールし続けてきました。

合唱団「希望」
スライド「お母さんの木」
中山さん

今回も、平和を歌う合唱団「希望」が憲法を歌い、スライド「お母さんの木」(作・大川悦生、挿絵・岩田健三郎、朗読・麦わら帽子、BGM・澤崎美恵子)で戦争で犠牲になった母子の思いを伝えました。また、作家・元俳優・元参院議員の中山千夏さんが「ずっと、ずっと、非武装・非戦」と題して講演しました。

(兵庫民報2018年5月13日付)

連帯兵庫みなせんが街頭アピール:市民と野党7党がせいぞろい


連帯兵庫みなせんが「アベ即時退陣、内閣総辞職を求める」市民と野党の共同アピール集会を四月二十八日午後、神戸・三宮センター街東口で行い、市民と野党七党の十人が、「隠蔽・改竄・捏造など民主主義を破壊し、平和でも、経済でも、この国を壊している安倍政権を続けさせるわけにはいかない。国民の声をさらに広げ、野党と共闘し、未来に希望のもてる政治に切り替えよう」と訴えました。
アピールしたのは登壇順に、ママと有志の会・ミナセン尼崎の阪本直さん、脱原発はりまアクションの宮嵜やゆみさん、日本共産党の山下芳生副委員長・参院議員、立憲民主党の桜井周県連代表・衆院議員、民進党の向山好一県連代表・兵庫県議、社民党の梶川美佐男県連委員長・宝塚市議、新社会党の粟原富夫県本部委員長・神戸市議、緑の党(県本部)の丸尾牧県議、自由党の大谷啓大阪府連幹事長・元衆院議員、連帯兵庫みなせんの松本誠代表世話人・事務局長。
*
日本共産党の山下副委員長が聴衆に「南北首脳会談、良かったですね」と呼びかけると大きな拍手が起こりました。山下氏はさらに「憲法九条の力が立証された」「民主主義の力が歴史的一歩を実現した」と指摘し、日本でも市民と野党の共同で新しい政治を実現させようと訴えました。

(兵庫民報2018年5月13日付)

西明石市民アクション:9日連続「憲法カフェ」


明石市では、「市民アクション明石」と各地域アクションで三千万署名を広げる運動をすすめています。
「西明石市民アクション」では、ゴールデンウイークにかけ、四月二十七日(金)から五月五日(土)まで九条にちなみ「九日間ゴールデンナイン」と銘打って「憲法カフェ」をとりくみました。
会場は日本共産党の新町・くすもと合同事務所で、時間は午後一時から四時までの三時間。連日二つ三つのプログラムを組みました。
小沢秀造弁護士は「憲法のはなし」で、九条を変えればどうなるかを従属的な日米地位協定から憲法を解き明かしました。
田中耕太郎元明石民商事務局長は「税金のはなし」で、近代民主主義の根本が税金だと強調。戦前との対比と現在の大金持ちや大企業に有利な不公平税制を批判しました。
津川知久憲法県政の会代表幹事は「働き方のはなし」で、労働相談の多くはパワハラやセクハラ、解雇や賃金未払いなどであり、「働き方改革」の本質は低賃金で都合よく働かせようとするものだと批判しました。
「どうなる介護」を肥塚俊一神戸医療生協常務理事が、「生活保護は今」を下田和男明石生活と健康を守る会会長代理が語りました。
「戦争体験を語る」では、明石空襲、旧満州や北朝鮮からの引き揚げ、戦後の苦しい生活などについて佐伯圭一さん、鈴木幸紀さん、山口和昭さん、山下登美子さんがそれぞれ語りました。
また、日本キリスト教団明石教会の筒井昌司牧師は、旭川で三浦綾子氏の夫・三浦光世氏らと「九条の会」を立ち上げたことなどを語りました。
文化的な催しとしては、東播センター合唱団の西本好道団長の「平和の歌・九条の歌」、ピースバンドの「ミニコンサート」、中川陽子さんの「絵本の読み聞かせ」、鈴木幸紀さんの「腹話術」が行われ、「ミュージックベル」の演奏を山下登美子さんの指導で楽しみました。
連日ミニバザーや野菜の販売もあり、参加者はのべ百六十六人。地域にもアピールでき、憲法を学びなおす九日間でした。
―新町みちよ

(兵庫民報2018年5月13日付)

オール灘区の会:55人が40分間のパレード


「暮らし・平和・民主主義をまもる灘区の会」(略称オール灘区の会)は「安倍さん辞めて」「内閣総辞職」を求めて四月二十七日夕、阪急王子公園南の公園に集まり、JR六甲道駅に向けてパレードしました。参加者は五十五人。
前もって水道筋商店街などパレードの沿道のお宅には「安倍改憲NO!三千万署名」と返信用封筒を配布。そのかいあって、水道筋商店街では「安倍さん辞めさせて」「がんばって」などの声をかけていただいたり、商店主の方や買い物客までお店の中から出てきてくれたり、元気いっぱいのパレードになりました。
「安倍政権は今すぐ退陣」「改竄、隠蔽、セクハラ許すな」などみんなで一緒にシュプレヒコールを繰り返しながらJR六甲道駅まで四十分。


戦争か平和か、改憲か護憲かが厳しく問われている中で、世界に誇る「憲法九条」を守りたい、立憲主義を取り戻したい、その願いを込めて自主的に参加した市民が一歩一歩着実に歩いた四十分。参加者からは「元気をもらった」「安倍さんも麻生さんもやめてもらわなあかん」「また参加したい」などの感想が出されていました。五月三日の憲法集会、三千万署名の達成、さらに安倍政権を退陣に追い込むまで頑張るオール灘区の会です。
―近藤秀子(オール灘区の会)

(兵庫民報2018年5月13日付)

武庫川9条の会:安武さんが体験から訴え

尼崎市の武庫川九条の会は第四回平和と文化のつどいを四月二十九日、同市大庄公民館で開催。元日本共産党参院議員の安武ひろ子さんの講演、同会世話人の井上潔さんの報告「『アウシュビッツ』を訪ねて」、ピアニストの広瀬一葉さんによるショパン作品コンサートが行われました。
安武さん
安武さんは、治安維持法による「三・一五」弾圧事件が起こされた一九二八年に生まれ、空気のように軍国主義に染められ、食糧の配給、金属供出など国民生活が犠牲にされるなか育ったことや、神戸空襲の体験などを語りました。
犠牲になったのは日本人だけではなく、私たちは加害者でもあると指摘。高等女学校卒業後、疎開先の役場に務め、「赤紙」(召集令状)を配っていたと明かし、自分の意志ではなかったけれどそんな仕事をしていたことを長く隠し、最近まで話せなかったことを悔いていると話しました。
安武さん自身の婚約者も敗戦が必至だと知りながら特攻隊員として出撃し、帰らなかったことも述べ、戦争を二度と起こさせないためにいま、三千万署名運動を成し遂げ、安倍政権を退陣させ、改憲を止めようと訴えました。

井上さん

(兵庫民報2018年5月13日付)

3千万署名・須磨:香山さん、署名の意義強調

講演する香山さん

香山リカさんを招き「私の憲法九条」のおはなしを聞くつどいを四月二十七日、神戸市・新長田ピフレで行い、三百三十人が参加しました。
はじめに主催者団体として「みなせん須磨垂水」「憲法を生かす須磨区の会」、地域で活動している八つの「九条の会」が一言リレートークで訴え、新日本婦人の会はコーラスで会場を和ませました。
香山さんは、午後の診察を切り上げ駆けつけてくれました。精神科医の立場から、現実が苦しくてもしっかり受け入れる人間には底力があると述べ、聞くものを励まし、いま取り組んでいる三千万署名の一筆一筆が状況を変える大きな力になると、この署名運動の意義を大いに語りました。
賛同者の一人でもある木下智史関西大学大学院教授(憲法学)からも署名の呼びかけがあり、「三千万署名・須磨」からも署名運動をもう一回り広げましょうと訴えました。
―三好正子(「三千万署名・須磨」事務局長)

(兵庫民報2018年5月13日付)

米軍ヘリ部品落下被害保育園園長が講演

講演する神谷園長

「私たちの上を飛ばないでください」と題し、講師に米軍ヘリの部品が落下した宜野湾市緑が丘保育園園長・牧師の神谷武宏氏を迎えた集会を、国際ツーリストビューロー・安保破棄兵庫県実行委員会・兵庫革新懇・兵庫労連が四月三十日、神戸市内で開きました。
神谷氏は、同保育園の歴史や一人ひとりの子どもを大切にした保育内容を紹介した上で、昨年十二月七日の事故以来の経緯を報告しました。
ヘリ部品が落ちたのは、子どもの遊ぶ園庭からわずか五十センチの屋根の上。米軍はそれがヘリで使用するものと認めたが、その後、園と教会に「自作自演」などの誹謗中傷が集中したことを明らかにしました。
父母たちは①事故の真相究明②原因究明までの飛行停止③米軍ヘリの保育園上空飛行禁止を求める―を求める署名運動を展開。十四万筆近く集め市・市議会・県・国、政党、領事館に要請したことを紹介しました。
上映された父母会がとりくみをまとめたムービーも「私たちは諦めない」と結ばれています。
神谷氏は「軍用機が空を飛ばなければ落ちてこない。この問題は沖縄の問題でなく日本全体の問題であり、連帯したとりくみを」と呼びかけました。

(兵庫民報2018年5月13日付)

昨年上回る建設ラッシュ:岩国基地

フレンドシップ・デーに平和委員会・安保破棄実委が調査

オスプレイの前でPEACEの旗を広げる参加者(中央が筆者)

兵庫県平和委員会と安保破棄兵庫県実行委員会の共催の基地調査――今年度は「トランプ・安倍で強化される在日米軍と自衛隊」をテーマに、岩国(五月)、六甲山・神戸港(八月)、米軍低空飛行訓練(九月)、伊丹・姫路駐屯地(十月)の調査を行います。
アメリカ海兵隊岩国基地(山口県)については、海兵隊と海上自衛隊の共催で五月五日に開かれた「フレンドシップ・デー」を利用して基地内に入りました。四日には広島県呉市で海上自衛隊関連の施設などを調査しました。
フレンドシップ・デーは、通常、岩国駅から基地ゲートまで徒歩で三十分ほどのところ、一時間四十分かかる混雑ぶり。来場者は二十万人を超えているとのこと。
身分証明書を自衛隊員に見せ、米兵による手荷物検査を受けゲートを通過すると、通路には移動式監視ボックスが配置され、銃の引き金に指を掛けた男女の米兵が〝笑顔〟で警備していました。

監視ボックス

基地内は昨年を上回る建設ラッシュで、新築のマンション、駐車場、多目的ホールが林立。思いやり予算がこれでもかとあきれる程でした。


さらに歩くこと三十分、いちばん奥に展示されているオスプレイに乗り込みました。手を上げるとむき出しの配管に手が当たります。機内は狭いし暗い。昨年は見られた操縦席を今年は公開していません。

オスプレイ機内

轟音を響かせ上空をオスプレイが旋回を繰り返し、F35はステルス性能を強調しながら曲技飛行を行っていました。
昼下がりに全員集合し、オスプレイの前でPEACEの旗を広げて写真を撮り帰途につきました。
夕方食事をしながら、「音にビックリ。基地の大きさにビックリ」「安保を廃棄して基地をなくそう」などの感想を出し合いました。
―大森幹雄(兵庫県平和委員会事務局次長)

(兵庫民報2018年5月13日付)

日高病院眼科センター移転なら30床稼働危機に

日本共産党あおぞら豊岡市議団市政報告会


日本共産党あおぞら豊岡市議員団の市政報告会が四月二十二日、豊岡市の日高文化体育館で開催されました。上田とも子議員が司会、奥村忠俊議員が敬老会補助金廃止や市民会館とひぼこホールの統廃合など市政の問題点を報告しました。
村岡峰男議員が日高病院をめぐる病院組合の動きを報告しました。日高病院は改築に合わせて入院病床廃止の動きがあり、地域医療をまもる但馬の会が二万の住民署名を集めて、三十床に規模を縮小するものの入院機能は存続するとしていました。ところが、眼科医師が一人退職し三名体制になるため、眼科センターを豊岡病院に移転することを検討する。当直医師体制が後退し、三十床の入院機能は維持されても稼働できない可能性もあることが明らかにされました。
二〇一八年度は、本館Bの耐震工事と療養棟への外来一部と検査室などを移転するための整備工事だけが行われますが、本館増築等の工事は眼科の方針が決定されてから着手時期を判断するとされていることが報告されました。
豊岡病院が急性期、日高病院は回復期を担いながら、透析治療や眼科入院治療の特色ある医療を提供しています。医師不足のため、日高病院は百五十床ありましたが、現在は六十三床の稼働になって、内科医と眼科医が当直を担当しています。眼科センターが豊岡病院に移転されると当直医の確保が課題になります。
二〇一七年病院組合議会では、眼科センターは継続、三十床は残す、地域包括ケアの拠点として整備すると報告されていました。参加者からは、当局が一方的にきめるのではなく、住民や議会への説明と合意が必要だ、日高病院の眼科センターの整備で眼科医を集めることこそ当局責任だと意見が出され、村岡議員は三十床守るのは住民との約束であり、これを守らせるためみんなで声をあげようと呼びかけました。
―今西清(兵庫の地域医療を守る会)

(兵庫民報2018年5月13日付)

『子どもの元気育てる宝塚の学校給食』

より良い学校給食を願うすべての人々に


四月に『子どもの元気育てる宝塚の学校給食おいしいレシピ&ストーリー』という書籍が発売されました。
宝塚市は小中全ての学校で直営自校方式の給食があり、二〇一〇年からは自校炊飯も導入し、現在三十七校中三十四校まで広がっています。この本では、給食のレシピに加え、調理員による食育劇、給食試食会、クックパッドの活用、手間を惜しまない調理員の努力など学校給食に関する取り組みなど、市長のインタビューも交えて紹介しています。
中川智子市長が、「子どもたちのためにやらなければならないことはやる」と学校給食を守り、充実させてきた思いも語られています。
私も掲載されているレシピをみて作ってみました。子どもたちは、やはり「めっちゃおいしい!」との感想。学校の給食について話しながらの楽しい夕食となりました。写真は、郷土料理として紹介されている沖縄料理①ししジューシー(下:炊きこみごはん)、②ふイリチー(上:炒め物)、③アーサー汁(右)の三品です。


―となき正勝(宝塚市議)

日本機関紙出版センター刊
本体1,200円+税

(兵庫民報2018年5月13日付)

映画「マルクス・エンゲルス」を鑑賞する人のために(3)

平野喜一郎

© AGAT FILMS & CIE ‐ VELVET FILM ‐ ROHFILM ‐ ARTEMIS PRODUCTIONS ‐ FRANCE 3 CINEMA ‐ JOUROR ‐ 2016

この作品の魅力

二十代の二人は人柄においても学問においてもまだ未熟であり、後年の確信に満ちた理論家・革命家ではない。映画では、マルクスは貧困に苦しみ「金も気力もない」とぐちをこぼしている。エンゲルスは社会主義者としての自分と工場の経営者である存在との矛盾に苦しんでいる。しかしマルクスにはイェニーという妻がいるしエンゲルスにはメアリーという同伴者がいる。二人の素晴らしい女性の協力によって、彼らの仕事は実現したのである。
マルクスとエンゲルスという人物についてフィクションをまじえながら、いかにもそんなことがあっただろうなと思わせる場面が続く。脚本のうまさであろう。マルクスとエンゲルスのテーマが現在の世界中の問題に通じるという監督の問題意識、二人の若さと思想の革命を描きたいという監督の意図がみごとに実現されている。
もうひとつの見どころは画像のすばらしさである。二人の活躍する場面がよく映されている。ドイツの深く暗い森、イギリスの工場街、パリの明るい活気のある通り、雪のブリュッセルと、いかにもここが、二人が暮らしそして闘った場所なのだ、と思うと感慨深いものがある。(終わり)
〔三重大学名誉教授〕

第1回第2回

映画「マルクス・エンゲルス」

ラウル・ペック監督作品/2017年、フランス・ドイツ・ベルギー合作、118分/カール・マルクス生誕200年記念作品/公開予定:5月12日(土)~=シネ・リーブル梅田☎06‐6440‐5930、6月9日(土)~=シネ・リーブル神戸☎ 078‐334‐2126

公式サイト:http://www.hark3.com/marx/


(兵庫民報2018年5月13日付)

みんぽう川柳〈四月〉「温暖化」

選者 島村美津子

特 選

温暖化フェイクニュースであればなあ
 尼崎市 中内眞佐子

【評】北極の氷河がどどっと崩れ落ちる映像に思わず身震い、入選句に見られるように、住処や食料が消えて餓死する白熊、海水温の上昇、海に埋没してしまう島、やがてやがてと現実を直視するときフェイクであればと何度思ったことか。
今ならまだ間に合う、人間の知恵や力を出し合って戦争のない平和な地球の実現を願わずにはいられない。

入 選

この厚手着ていた冬があったのに
 神戸市 田原菊代

温暖化冷却水が足りません
 明石市 小西正剛

入学式葉桜になる温暖化
 神戸市 玉山歳子

白熊も哺乳類だよ温暖化
 神戸市 松尾美恵子

白くま君のんびり散歩狭くなり
 芦屋市 梶原嘉代子

かたつむり「はりままいまい」何処へ行った
 神戸市 亀井洋示

絶滅危惧種それは人間 温暖化
 神戸市 小林尚子

温暖化富士山残し海の中
 神戸市 梶山洋枝

モルディブは五〇年後は海の中
 明石市 大西照美

温暖化桜も慌て開花する
 神戸市 奥藤 勲

狂い咲きだけでは済まぬ温暖化
 神戸市 山本尚代

温暖化早く早くと花急かす
 神戸市 塩谷凉子

温暖化進めば地球壊れちゃう
 神戸市 高馬士郎

温暖化人が地球をいじめてる
 神戸市 古賀哲夫

(兵庫民報2018年5月13日付)

大門みきし「イムジン河は」

連載エッセイ27
先日、大阪梅田でおこなわれたケイ・シュガーさんのライブを聞きにいきました。心に染み入る歌がつづくなかで、思わず涙があふれてきたのが名曲「イムジン河」でした。ケイさんの清んだ歌声に、忘れていた遠い昔の思い出がよみがえってきたからです。
私が生まれた京都には在日コリアンの方がたくさん住んでいました。日本の子どもたちはよく朝鮮の子をいじめましたが、野球などをして一緒に遊ぶこともありました。
小学五年生の時、ミョンソンという賢くて可愛い女の子を好きになりました。日本の男の子には内緒で、よくミョンソンの家に遊びにいきました。
ある時、白いあごひげをはやしたミョンソンのハラポジ(おじいさん)が、「なんでおまえらは朝鮮の子をいじめる。日本人の祖先は大陸から渡ってきた。もとをただせば、みんな兄弟やないか」といいました。
ミョンソンのお兄さんは立命館の大学生で、いつもギターをひきながら「北の大地から南の空へ、飛びゆく鳥よ、自由の使者よ」と朝鮮語をまじえて「イムジン河」を歌っていました。チング(友だち)という朝鮮語はそのお兄さんに教えてもらいました。
その後ミョンソンは朝鮮中学校に進み、手紙を出しても、私と会ってくれなくなりました。
あれから半世紀。今までとはちがう親密な南北首脳会談がおこなわれました。南と北、だけでなく、朝鮮と日本。「みんな兄弟やないか」―大らかなハラポジの言葉に未来を託したいとおもいます。
(日本共産党参院議員)

(兵庫民報2018年5月13日付)

観感楽学

神戸のポートアイランドに水素を燃料とするガスタービン発電設備が建設され、近隣施設へ電気を供給しているとの記事を読みました。試験設備ですが二〇三〇年ごろの商用化を目標に進めているとか▼灘区には二基の石炭火力発電所が稼働していますが、新たに二基の建設を計画しており全部で四基にしようとしています。最新技術の設備であっても石炭を燃やすからにはCO2は排出され空気は汚れます▼水素も自然界に存在しないので何らかの方法で製造する必要があり製造過程でCO2が排出される可能性があるそうです▼数十年前、原子力発電所で使用するシステム開発に携わったことがあります。その時に技術者の一人が「原子炉が制御できない状態になると、とにかく冷やしコンクリートで固めて放置し放射能が自然になくなるまで待つしかない」「人体への影響も詳しくはわからない」と言っていたのを思い出します▼福島の原発事故が起こりました。真剣にエネルギー政策を考え直す時だと思います。なぜCO2削減へ努力している世界と逆行するような物を造ろうとするのでしょうか▼太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーにもっと力を入れて欲しいです。(ふ)


(兵庫民報2018年5月13日付)