地域の安全・安心守る効果的制限を
日本共産党神戸市会議員団団長 森本真
二〇一七年六月に「住宅宿泊事業法」いわゆる「民泊」法が成立し、今年六月から施行されます。
住宅を利用して宿泊する「民泊」については、安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可や要件を満たしていないなどの「違法民泊」が各地で近隣トラブルを引き起こすなど問題になってきました。施行される「民泊」法は、届け出さえすれば営業を認めるというものであり、「違法民泊」を事実上、合法化し野放しにするものです。
日本共産党は、国会審議で「違法物件が犯罪の温床となる」と追及しました。その結果、「民泊」法には、提供日数を年百八十日泊とすること、地域の実情によって条例で宿泊数を縮減できること、知事への届け出の義務付け、家主不在の民泊は管理業者に委託することなどが盛り込まれました。しかし「民泊」法の規定のままでは、発生しているさまざまな問題の解消にはつながりません。
また、「民泊」法では、自治体の権限として、民泊事業者に必要に応じて業務改善命令や業務停止、立ち入り検査等が可能とされました。
そのため神戸市は、「(仮称)神戸市住宅宿泊事業の実施の制限等に関する条例」の制定をめざし、骨子(案)を発表しました。
神戸市の条例(案)骨子は「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するとともに、地域との調和を図り、もって法の適切な運営を確保すること」を目的にしています。骨子(案)は、法律の規定以上に規制を強化する内容となっていますが、いくつか改善が必要な点があります。
日本共産党神戸市会議員団は、「民泊」制限条例の制定にあたり、現時点の神戸市骨子(案)についての問題点を指摘し、以下についての改善を求めるものです。
住居専用地域では、すべての期間、実施できないこととしていますが、その他の地域では可能です。マンションでは「民泊禁止」と管理規約を改定する必要があります。
神戸市として実態を把握し、さらに、「民泊事業者が市への届け出をする際には、「民泊」事業が認められていることを証明する、管理組合の署名や規約のコピー提出を義務付けることが求められます。
「民泊」施設は、家主または管理者が常駐して近隣地域住民の不安を解消することが求められます。「民泊」施設内には「管理者常駐」の義務付けが求められます。
「民泊」事業者の衛生・安全確保の義務付けを行うこと。旅館業法・建築基準法・消防法で規定しているホテル・旅館と同様の要件を課すなど、消防用設備の義務付けと火災等緊急事態に対応できる人員配置と体制を常時確保することが求められます。
「民泊」事業者への業務改善命令や業務停止、立ち入り検査などを強化できるよう担当部署の人員強化と、区役所での市民からの通報・相談・苦情などに対応できる体制をつくることが求められます。
日本共産党神戸市会議員団は、引き続き市民や旅館事業者など意見をうかがいながら、「違法」民泊が野放しにならないよう、地域の安全・安心を守るための効果的な「民泊制限」条例となるよう力を尽くすものです。
(兵庫民報2018年1月28日付)