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2018年1月27日土曜日

兵庫で140万達成へ共同の到達に確信もち、地域を舞台に


「安倍九条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(三千万署名)の兵庫県での目標百四十万筆を達成するための交流会議が憲法改悪ストップ兵庫県共同センターと兵庫県革新懇の共催で一月二十一日に開かれました。
津川知久憲法共同センター代表が、改憲発議を今年狙う安倍政権の動きと改憲を許さない国民世論・運動など、情勢を語り、「全県で百四十万筆を集めきり、改憲発議をさせない世論をつくろう」と呼びかけ、各地域の多彩な経験を交流しようと提起しました。
経験交流では、総選挙での市民と野党の共闘が署名推進に発展しているとの報告が各地から相次ぎました。
「市民アクション」については「衆議院を野党共闘でたたかった人たちで結成」(西宮芦屋)、「結成し、昨日キックオフ集会開いた」(尼崎)、「実行委員会をつくりスタート集会の開催を」(明石)、「新社会・みなせんと学習会開催を決めて立ち上げた」(須磨区)、「地域で呼びかけ人を組織している。戦争法反対では断った人も今度は『安倍はひどい』と呼びかけ人になってくれた」(東園田)などの経験が語られました。
また、「七万五千を目標に、宣伝もすでに九十回を越え、憲法カフェなど多彩に繰り広げている」(新婦人)などのとりくみも報告されました。
さらに、「『目標達成には全戸訪問しかない』と取りくみ、その中で若い人を〝発見〟し、対話した」(荒田)など経験も各地から語られました。
労組のナショナルセンターを超えた共同でつくった総がかり行動兵庫県実行委員会が今年も五月三日に一万人規模で集会を計画、そのプレ集会を三月一日に開催(十八時三十分、神戸市勤労会館大ホール)することも紹介されました。
最後に宮田静則革新懇事務局長が、「全県でつくってきた今までにない共同の到達に確信を持とう」と強調し、「改憲策動との激しいたたかい。到達をリアルに直視して遅れを挽回しよう。主戦場は地域であり、地域とタテ線が協力し、励ましあってさらに頑張ろう」とまとめの発言をし、閉会しました。

安倍9条改憲NO!全国市民アクション

(兵庫民報2018年1月28日付)

全国市民アクション・尼崎キックオフ集会


尼崎で三千万署名を前進させようと「安倍九条改憲ノー!全国市民アクション・尼崎」キックオフ集会が一月二十日午後、尼崎市内で開かれました。
この集会は、これまで考え方の違いを超え幅広い団体・組織が結集している「戦争・原発・貧困・差別を許さない尼崎共同行動」を中心に十六人が呼びかけて開催されたものです。
集会には百三十人が参加し、新聞「うずみ火」代表の矢野宏さんが記念講演をしました。
矢野さんは「安倍首相は年頭記者会見で憲法のあるべき姿にもどすと改憲に意欲を示している。改憲のネタは日本会議にある。日本会議の改憲は憲法九条に三項を加え自衛隊を明記すること。これにより自衛隊の活動全般を憲法が認め、戦力を保持しない二項を形骸化させ海外での武力行使拡大へつなげていこうとするものである。首相は今年の通常国会に憲法九条改正発議を狙っている。国民投票になれば広報に関する規制がないので、資金力のある改憲派が有利になる。発議させないたたかいが大切だ」と訴えました。
東園田九条の会、尼崎医療生協、戦争アカン女たちの会が決意表明。尼崎医療生協は「改憲発議させないたたかいをと昨年十月に署名用紙を取り寄せ、二万を目標にしてとりくみ一万一千筆を突破した」と報告しました。
最後に五月三日までに尼崎で十万筆の署名を集めることを確認しました。

挨拶する堀内前議員

堀内照文前衆議院議員も発言し、参加者を激励しました。
徳田みのる(尼崎市議)

(兵庫民報2018年1月28日付)

共産党伊丹市委員会と後援会が三千万署名推進学習会

目標達成へ党と後援会の役割を

日本共産党伊丹市委員会と伊丹後援会は一月二十日、安倍九条改憲NO!全国統一署名推進のための学習会を、小林明男党県常任委員(三千万署名担当)を講師に開催しました。
上原秀樹市議が党市委員長として開会の挨拶をしたあと、小林氏が昨年末に開催された全国三千万署名担当者会議に基づき講演しました。
小林氏は、この署名運動の意義、安倍改憲策動をめぐる情勢を語り、総選挙での野党と市民の共闘が大きな財産になり、いま署名運動での共同へと広がっていることや各地の多彩なとりくみを紹介しました。
三千万(兵庫県で百四十万、うち共産党で五十万)の目標を達成することは容易ではないが、やりきる意義は大きいと指摘。保守も含め憲法九条を守る共同を思い切って広げ、国民に安倍改憲の危険な本質を知らせ、担い手を増やし、党と後援会としてその役割を果たそうと訴えました。
上原氏も、この間の署名対話の経験や伊丹市での市民連合結成の相談が他党ともすすんでいることを報告しました。
参加者から、「目標達成には全戸訪問は必要だが各地でどういう経験があるのか」「安倍改憲の中身が知られてない」「自衛隊の設立のいきさつは」などの質問にも小林・上原両氏が答えました。
最後に、関口勝巳後援会会長が「伊丹でなんとしても三千万署名を集めきる構えでがんばりましょう」と閉会挨拶しました。

(兵庫民報2018年1月28日付)

堀内照文エッセイ(15)

実績抜群の名護市長:米軍再編交付金なしでも福祉充実

名護の街並み

阪神・淡路大震災から二十三年がたちました。戦後五十年でもあり一つの転機となった年でした。
この一九九五年のもう一つの重大な出来事が沖縄少女暴行事件です。沖縄県民の怒りが沸騰し、八万五千人もの県民大会もおこなわれ、日米両政府は普天間の「閉鎖・撤去」を約束せざるを得ませんでした。しかし、それが移設条件付きの「撤去」だったことから県民の新たな怒りを呼び、さまざまな分断攻撃をも乗り越えて、こんにちの「オール沖縄」の団結に至っています。
その要ともいうべき存在が名護市長です。昨年末、私も支援に駆けつけました。三日間二十二カ所で街頭演説をおこないました。地方議員の皆さんが十二月議会さなかのため、「もう八十になるよ」と笑っておられた外間久子元県議が一人で宣伝カーを回しておられたので、少しは役に立ったでしょうか。
今回初めて公明党が支援に回った相手は「辺野古隠し」で公開討論会からも逃げていますが、米軍再編交付金の受け取りを明言するなど新基地推進の姿勢は隠せません。
サトウキビ畑が広がる屋我地島で訴えていると、小さな商店から百歳を超えるおばあが出てきて聴いてくれ「熱烈に応援している」と。小さな子どもを抱いた若い母親も米軍による被害に顔を曇らせます。
米軍再編交付金がなくても、予算を増やし、子どもの医療費無料化など福祉を充実させる現市政の実績は抜群です。何としても勝利を!
(前衆院議員)

(兵庫民報2018年1月28日付)

「大門ゼミ」番外編:神戸製鋼など不正の背景は?


「神戸製鋼…あいつぐ大企業の不正! 儲け優先経営でいいのか? おかしいぞ、資本主義 みんなで変えよう政治と経済」をテーマに、「大門ゼミ―政治経済キホンのキ」番外編が一月二十日、新長田勤労市民センターピフレで開催されました。
「大門ゼミ」は、大門みきし参議院議員が、生徒役のマリリンこと木田真理子さんとのやりとりも交え、経済の問題をわかりやすく解説する、人気のインターネット番組で、日本共産党のホームページから視聴できますが、今回は神戸で「番外編」として〝ライブ開催〟しました。
大門議員はまず国会情勢で、「北朝鮮とはどんな国か」を詳しく解明し、国際世論も紹介して、安倍政権がいかに愚かで孤立しているかを浮き彫りにしました。
本題の経済問題では、「素材メーカーの不正は日本産業に対する信頼を地に落とし、安全・安心を大きく損なう大事件」だと喝破しました。
こうした大企業のモラルハザードの背景を解明。旧ソ連や東欧の崩壊で「社会主義は失敗した」とされ、資本主義が「革命」を恐れる必要がなくなり、それまで「革命対策」として取ってきた社会保障や労働ルールなどの規制をなくす、いわゆる新自由主義が横行しだした経過などを指摘しました。
大門議員は続けて「どうするか」について言及。「労働組合も金融政策を持つ」ことなどをあげるとともに、「体制側からも〝このままではダメ〟との声が出ており、学者がいわゆるポスト資本主義を論じているが、それらの主な論は、日本共産党の〝資本主義の枠内での改革〟政策と一致している」と紹介。同時に、やはり資本主義を乗り越える理論をもっている日本共産党が伸びる必要があると提起しました。
神鋼やJRの元労働者、港湾労働者、青年などから質問が出され、丁寧に回答。「いい会だった」「力が湧いた」などの感想がよせられました。

(兵庫民報2018年1月28日付)

阪神・淡路大震災から23年

早朝追悼集会やメモリアル集会 

早朝追悼のつどい

阪神・淡路大震災から二十三年となる一月十七日、各地で様々な取り組みが行われました。
神戸市中央区諏訪山のビーナステラスでは、被災者ネットワーク、ボランティアグループ「すまいる」、NPO法人Earthなどでつくる実行委員会が早朝追悼のつどいを開催。地震発生の五時四十六分に黙禱し、「神戸・希望の鐘」をついて犠牲者を悼みました。
また神戸市勤労会館で市民追悼のつどいをひらきました。

長田メモリアルウオーク

震災復興長田の会などでつくる実行委員会主催のメモリアルのつどいは長田区のふたば学舎で行われ、神戸・長田区(森本真市議)、宮城県(遠藤いく子県議)、岩手県陸前高田市(藤倉泰治市議)、熊本市(山部洋史市議)の状況が報告されました(括弧は報告者)。

ケミカルシューズ製造業者から話を聞く

宮城県では災害公営住宅の家賃減免が切実な要求になっていること、壊れた自宅に住み続けている在宅被災者の苦難、医療費窓口負担免除について県が責任をもたず、市町では制限を強めていることなどが語られました。
陸前高田市では県立病院など、被災前と同じ場所・規模での「現状復旧の原則」という国の制度の改善が課題となっていることが指摘されました。
熊本市でも医療費窓口負担減免を「財政的理由」で継続できないとした市の姿勢が問われていることが報告されました。
新長田再開発地域でのウオークも行われました。
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(左から)原発事故避難者の森松明希子さん、ボランティアグループ「すまいる」の岡部眞紀子さん、被災者ネットワークの安田秋成さん

市民追悼のつどい実行委員会は、関西の原発事故避難者と阪神・淡路大震災被災者らが語りあう「つなぐ会」を開催、原発賠償訴訟で問うている〝避難する権利〟やそれぞれに生活の現状を語りあい、音楽セラピーも楽しみました。
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阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議のメモリアル集会では、借り上げ復興住宅からの被災者追い出し、災害援護資金返済、被災者生活再建支援法の拡充、アスベスト被曝などの課題について提起されました。
また、原発事故被害の現状とたたかい、九州北部豪雨災害による被災状況や生活・生業再建の課題などについて報告されました。
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日本共産党からは、堀内照文前衆院議員のほか、こくた恵二・田村貴昭両衆院議員、武田良介参院議員が早朝追悼のつどいなどに参加しました。

(兵庫民報2018年1月28日付)

「民泊」:神戸市条例の課題

地域の安全・安心守る効果的制限を

日本共産党神戸市会議員団団長 森本真

二〇一七年六月に「住宅宿泊事業法」いわゆる「民泊」法が成立し、今年六月から施行されます。
住宅を利用して宿泊する「民泊」については、安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可や要件を満たしていないなどの「違法民泊」が各地で近隣トラブルを引き起こすなど問題になってきました。施行される「民泊」法は、届け出さえすれば営業を認めるというものであり、「違法民泊」を事実上、合法化し野放しにするものです。
日本共産党は、国会審議で「違法物件が犯罪の温床となる」と追及しました。その結果、「民泊」法には、提供日数を年百八十日泊とすること、地域の実情によって条例で宿泊数を縮減できること、知事への届け出の義務付け、家主不在の民泊は管理業者に委託することなどが盛り込まれました。しかし「民泊」法の規定のままでは、発生しているさまざまな問題の解消にはつながりません。
また、「民泊」法では、自治体の権限として、民泊事業者に必要に応じて業務改善命令や業務停止、立ち入り検査等が可能とされました。
そのため神戸市は、「(仮称)神戸市住宅宿泊事業の実施の制限等に関する条例」の制定をめざし、骨子(案)を発表しました。
神戸市の条例(案)骨子は「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するとともに、地域との調和を図り、もって法の適切な運営を確保すること」を目的にしています。骨子(案)は、法律の規定以上に規制を強化する内容となっていますが、いくつか改善が必要な点があります。
日本共産党神戸市会議員団は、「民泊」制限条例の制定にあたり、現時点の神戸市骨子(案)についての問題点を指摘し、以下についての改善を求めるものです。
住居専用地域では、すべての期間、実施できないこととしていますが、その他の地域では可能です。マンションでは「民泊禁止」と管理規約を改定する必要があります。
神戸市として実態を把握し、さらに、「民泊事業者が市への届け出をする際には、「民泊」事業が認められていることを証明する、管理組合の署名や規約のコピー提出を義務付けることが求められます。
「民泊」施設は、家主または管理者が常駐して近隣地域住民の不安を解消することが求められます。「民泊」施設内には「管理者常駐」の義務付けが求められます。
「民泊」事業者の衛生・安全確保の義務付けを行うこと。旅館業法・建築基準法・消防法で規定しているホテル・旅館と同様の要件を課すなど、消防用設備の義務付けと火災等緊急事態に対応できる人員配置と体制を常時確保することが求められます。
「民泊」事業者への業務改善命令や業務停止、立ち入り検査などを強化できるよう担当部署の人員強化と、区役所での市民からの通報・相談・苦情などに対応できる体制をつくることが求められます。
日本共産党神戸市会議員団は、引き続き市民や旅館事業者など意見をうかがいながら、「違法」民泊が野放しにならないよう、地域の安全・安心を守るための効果的な「民泊制限」条例となるよう力を尽くすものです。

(兵庫民報2018年1月28日付)

兵庫労連が春闘方針決める

改憲・労働法制改悪反対:大幅賃上げと一体に

挨拶する堀内前議員

兵庫労連は一月十三日、第五十五回臨時大会を開催し、二〇一八春闘方針を決めました。
成山太志議長が開会挨拶。昨年は二つの大きな出来事として、総選挙での市民と野党の共闘が逆流を乗り越えたことと、国連で核兵器禁止条約が成立したことをあげ、市民が政治を動かしていると指摘しました。
今年は安倍政権の憲法九条改悪を許すかどうかのたたかいの正念場、労働法制改悪も許してはならないと強調し、今春闘で大幅賃上げを勝ち取ることと一体にたたかうことを呼びかけました。
また、郵政職場で、転々と転職してきた非正規労働者たちが組合に加入し「初めて人間として認められた」「自分に自信が持てた」と語っていたことを紹介し、今こそこういう温かい労働組合のネットワークを広げようと訴えました。
北島隆事務局長が二〇一八国民春闘方針を提案しました。
「憲法のかかった歴史的情勢」だと春闘をとりまく情勢を語り、全労連結成の意義にも触れ、全労連が提起した「ABS(安倍暴走ストップ)立憲チャレンジャー」も紹介し、三千万署名運動を全組織あげてとりくむ春闘にしようと呼びかけました。
破綻したアベノミクス・安倍「働き方改革」を阻止へ共同を広げ、たたかうこと、そのために職場で徹底した論議を行い、要求にこだわる全員参加の春闘にしようと訴えました。
この提起に応え、三千万署名、雇い止めとのたたかい、公務員削減攻撃との官民一体のたたかいなど十四人が発言。JAL争議団、エミレーツ航空争議団、全厚生闘争団も連帯挨拶をしました。
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日本共産党の堀内照文前衆議院議員も連帯挨拶をしました。
総選挙以後も各地で共闘が息づいていることを紹介し、今年、沖縄・憲法―二つの共同のたたかいで安倍暴走を打ち破ろうと訴えました。労働法制改悪でも〝生産性向上〟を目的に戦後作りあげてきた民主的諸権利の土台を壊そうとしていると厳しく批判し、共同のたたかいの発展へともにたたかう決意を述べました。

(兵庫民報2018年1月28日付)

前川喜平さん大いに語る

講演する前川さん

「前川喜平さん講演会」が実行委員会(十一団体)主催で一月十六日、県民ホールで開かれました。
講演会には、三時間前からぞくぞくと参加者がつめかけ、第二、第三会場まであふれました。八百五十人以上が参加しました。

憲法に基づく学習権・教育権



前川さんは、国民の学習権・教育権を規定した憲法二十六条と、その前提となる「すべて、国民は個人として尊重される」とする憲法十三条から解き明かし、国に学習権・教育権を保障する責任があることを強調しました。
自らボランティアで夜間中学での学習支援をしている経験にもふれながら、発達障害、不登校などの理由で義務教育から置き去りにされた児童、成人にも学びの場を保障する夜間中学の重要性を語りました。また、教師は学習指導要領にしばられず、自由な発想で主権者を育てる教育をすすめてほしいと述べました。

行政ゆがめる安倍政権

第2会場

加計学園問題では、「不公正」、「不公平」、「不透明」の三つのキーワードから安倍政権と官邸が行政をゆがめ、私物化した実態を指摘。文科省事務次官として官邸や大臣と応対した体験から「最初から加計ありきだった」と強調し、国会での関係者の証人喚問が必要だと指摘しました。
前川さんは予定の八十分を超える二時間あまり立ったまま大いに語られましたが、参加者からは「もっと聞きたかった」「前川さんの誠実な人柄がわかった」という感想が出されています。
前川さんの本『これからの日本、これからの教育』二百冊が完売となり、足りませんでした。
西川幸(実行委員会事務局)

(兵庫民報2018年1月28日付)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2018-01-16

国の逆転意図は退けたが…

副島圀義


一月十六日、大阪高裁での判決は、六人の方すべてについて「地裁判決は妥当」としました。
三人の方の甲状腺機能低下症について原爆症と認めた地裁判決を維持(勝訴)。一方、心臓疾患やケロイドで申請した三人の方への「却下処分容認」の地裁判決も維持(敗訴)。
判決が出た直後、法廷から走ってきた弁護士さんが「勝利」の幕を掲げたのですが、よく聞くと「三勝三敗」。どういうことかな?と報告集会での説明に耳を傾けました。

「核抑止論」「原発依存」にしがみつく国は、内部被ばくや低線量被ばくの影響を否定するための法廷戦術に力を集中してきました。
「これらが発病の原因になりうる」との学術論文を発表した医師に「私はそんなつもりで書いていない」と前言を翻す「意見書」を書かせたり、法廷での証人に立たせようとするなど手段を選ばず。
あるいは結審直前になってから決着済みの議論を蒸し返して裁判を長引かせようとしたり…。
本欄では、そのような場面を度々ご紹介してきました。
なかでも、国の「積極認定」範囲を超えた方の甲状腺機能低下症を認定させない(地裁判決を逆転させる)ことは、国が特別に力を注いでいたことだったと思います。
そのような意図を退けた限りで「勝利」との評価があったのかな?と、素人理解をした次第です。

しかし地裁での敗訴を覆すことはできませんでした。
判決骨子には「心筋梗塞及び狭心症の放射線被ばくとの関連性については、低線量域も含めて一般的に肯定することはできないが…発症が被ばくの影響を受けた…ことを肯定できる例も相当適度ある」との一節があります。前段の叙述はまったく不当なものです。裁判所に被爆の実相を直視させることはたいへん大きな課題なんだと、あらためて思わされたところです。

一月には二十二日と二十五日の弁論と二十三日の判決とが予定されています。次回はこれらをまとめてのご報告になるでしょう。

(兵庫民報2018年1月28日付)

日本共産党文化後援会が総会

ニュースと文化の集いを軸に活動充実へ

挨拶する段野会長

文化運動の中に日本共産党の風を起そうと奮闘している日本共産党兵庫県文化後援会は一月二十一日、神戸で二〇一八年度の総会を開きました。
はじめに、段野太一会長が、文化講演会の開催やニュース『風を起す』の定期発行で県下の文化運動の中に後援会活動が広がりつつあり、大きな選挙のない今年度の活動を一層充実させていきたいと挨拶しました。
つづいて、松田隆彦党県委員長が、総選挙の結果とその後の情勢の発展について触れて、挨拶を兼ねた発言をしました。安倍政権が、憲法改悪を急ぎ、軍事費拡大、大企業優遇政策をとる一方で社会保障の破壊や労働行政を改悪しようとしていることを厳しく批判し、野党共闘の発展の要としての日本共産党の役割とその拡大強化が大切であると強調しました。
総会の議事については、堤隆二事務局長が二〇一七年度の活動報告と今年度の活動計画について報告し討論を呼びかけました。
活動の柱としては、当面する実行委員会主催の小林多喜二虐殺八十五年・小林多喜二記念集会を成功させるとともに、日常的にはニュース『風を起す』を活用して文化運動の中で日本共産党の理解と支持を広げようと呼びかけました。
討論では文化の分野での憲法改悪反対三千万署名のとりくみを重視して対話を広げることや青年との結びつきを意識的に強める活動など、後援会活動充実への提案が多く発言されました。
また「地についた後援会活動を発展させるためには今年度の課題や目標を明確にした運動と組織活動を進めることが重要だ」などの指摘もあり、ニュースと「文化の集い」を軸にしながらより充実した活動にしていくことが話し合われました。
総会は最後に会財政の決算を承認し、段野太一会長と四人の副会長を含む二十三名の役員体制を確認しました。
堤隆二(文化後援会事務局長)

(兵庫民報2018年1月28日付)

亀井洋示「神話その2」


(兵庫民報2018年1月28日付)

観感楽学

「現実と私たちの間には、知らないうちに何かビニールの膜のようなものが出来ていて、現実の真実の姿がなかなか目に映らないのである。形成が重大になって来て、現実の方がこの膜を破って姿をあらわすまで、私たちは気づかずにいるか、あるいは多少気づいても直視しようとはしない」吉野源三郎の『同時代のこと』(一九七四年・岩波新書)の一節である▼彼は八十一年前、日本が中国侵略を全面展開し始めたころに『君たちはどう生きるか』という本も出している。コペル君というあだ名をつけられた中学二年生が、友人とのつながりの中で様々な失敗をおかし、自分を責めさいなむ。あだ名の名付け親であるおじさんがそのコペル君に心を寄せ、労働・貧困・世界そして人としての値打ちとは?を一緒に考えてくれる、そんなやりとりが内容▼その漫画版が原版と共にいま爆発的に売れている。ウソとペテンを力尽くで押し通そうとする政治や経済。その中で人間としての尊厳が壊され、だからこそ自らの内に人間を回復したいという思いがひたひたと広がっている▼この本と「安倍九条改憲NO!」の三千万署名運動はビニールの膜を破る産婆役である。(T)


(兵庫民報2018年1月28日付)