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2019年1月6日日曜日

個人が尊重され、幸せを追求できる社会へ

政治を変える節目の年に

日本共産党の参院兵庫選挙区予定候補の金田峰生氏と、明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)兵庫支部の吉江仁子弁護士が、憲法をめぐって語り合いました。(文責編集部)

金田 対談していただくのは二回目ですね。前回は二〇一六年四月。参院選に向けての「しんぶん赤旗」の企画でした。二年八カ月経ちましたが、その後、いかがでしょうか。

〇安倍政権はもう詰んでいる

吉江仁子さん

吉江 この三年ぐらいの間、たくさん強行採決をしてきたと思っていて、本当にひどいと思います。国民の素朴な疑問が全く国会で明らかになっていかないっていうことは、戦後、いまが一番ひどいんじゃないかというふうに思います。
自民党の世が永遠に続くんじゃないかと官僚が思っている状況がある中で、やりたい放題がなされて、モリカケ問題とかが起こっているのではないかと橋下徹さんが書いていました。また、外形的公正性を欠いた――安倍さんが関与したんじゃないのっていうふうに思われた時点でアウトなんだって話もわかりやすいと思いました。

金田 う~ん。もう安倍政権は詰んでるんですよ。

吉江 詰んでるっていうのは……

金田 モリカケの問題にしろ、トランプ米政権との関係にしろ、ロシアとの問題にしろ……

吉江 北方領土についてはむちゃくちゃですよね。

金田 外形的公正さとかではなく、中身と本質で「もうアカン」とわかっているのに居座っているっていう状況なんですよね。

吉江 それがなぜ可能なのか、そこも問題ですよね。

金田 従来の自民党なら引いたでしょうけれど、安倍自民党はそうしないだけの話です。その場合、選挙で落とすしか方法がほかにないんです。

吉江 でも、選挙で落ちないってタカをくくってはるわけですからね。

金田 彼らが居座ることができているのは、別に、国民の意識が追い付いていないからではない、もう、詰んでるということを国民が見抜いてないわけではありません。
前回の参院選当時は、この選挙で負けたらもう終わりだと思われていた方も結構おられたでしょうけれど、実際には闘いが広がり、一路改憲とはいっていない。二年八カ月、憲法審査会は事実上一ミリも動いていません。沖縄の方々も決して諦めていない。

吉江 そうですね。次の参議院選挙で自民党が改選議席について半分ぐらい、過半数割れを起こさせないとだめだろうとすごく強く思いますね。

金田 前回、野党共闘がはじまり、一人区で候補者を一本化し、十一議席を獲得しましたが、いま、私も街頭宣伝をしていると「野党が結束をしないと勝てないぞ」と有権者からよく声をかけられます。言い換えれば「野党が結束すれば、安倍政権は倒せる」とみておられる。

吉江 それがまだ弱いと思います。

金田 「本気の野党共闘」を実現して、有権者の皆さんに、勝てるという希望や確信を持ってもらえるようなアピールができれば、今度は三十二選挙区全部勝てるだろうし、沖縄の闘いに学んでしっかりと闘えば、一人区だけでなく、複数区でも勝利できると思います。今回は改憲阻止だけではない。与党と維新を少数に追い落とす選挙です。

〇政権を倒したあとの展望をわかりやすく

金田峰生さん

金田 あと「倒すのはいいけど、倒したあとどうすんねん」っていうことです。倒したあとの展望を信頼・確信っていうのを、我々が、それこそいかにわかりやすく知らせるがカギですね

吉江 そう。民主党政権の失敗で、政権、与党が代わることに対するアレルギーがありますね。それが野党への期待感よりも上回っているという状況があります。

金田 今度は共産党がいっしょだから大丈夫だと言ってもらいたいですね。
安倍政権はやめさせないといけないという声は巷に渦巻いています。それを本当に束ねて力にして、結果に結びつけるという努力を私たちがしないといけない。
そのために、わかりやすい言葉で、さらに、私たちのビジョンを広げていくことに大いに努力したいと思います。

〇憲法の魅力をもっと多くの人びとに知らせる取り組みを

金田 「あすわか」さん(明日の自由を守る若手弁護士の会)は、ずっと活動を続けておられますね。
三年前に「憲法九条を守ろう」っていう話から、「あすわか」さんが、「立憲主義って何だ」というのをわかりやすく知らせて下さって、立憲主義っていう言葉がメジャーになりました。それを通じて「憲法をもう一回手に取ろう」という機運が広がったように思うんです。

吉江 憲法の問題が実は生活に深く関わっていて、自分と関係のない問題ではないのだということに気づくためには、憲法カフェみたいな場所でお話をしていくのがいいと思うんですよね。
ところが、憲法カフェやお芝居も二〇一五年ぐらいはわりとニーズも高かったんですけれども、今年は本当に依頼が減りました。
主催者も、初歩の話を聞いたらどんどん深まっていきたいので、一回憲法カフェをすると、二回目以降は各論の話を聞きたくなるわけですよね。
私たちは成長したい生き物なので、それでいいと思うんですけれども、まだ憲法の魅力に出会っていない人たちのための、玄関(入口)の憲法カフェをもっとしていかないと、やっぱりいつまで経っても六割の人たちのところに広がらないんじゃないでしょうか。
だから、地域のお祭りなどで、憲法ビンゴで遊ぶブースを出すとか、まだ知らない人たちに憲法を知ってもらうことをもっともっと大事にしていただきたい。ぜひ、あすわかを呼んでいただきたいと思っています。

〇憲法に照らして考えてみる


金田 私たちは党の綱領があって、そこに基づいて活動しているんですけど、私たちの党の綱領は「いまの憲法の全ての条項を守ります、平和、人権、民主主義に関する条項を積極的に生かします」っていうことを定めています。つまり、私たちの活動や政策、立ち位置の基本は、綱領であると同時に日本国憲法でもあるんです。
ただこれまでは、たとえば「社会保障がこんなに改悪されている。こんな悪政をこう変えます」「消費税は暮らしと経済をつぶすので廃止。財源はほかにあります」―そんな話を一生懸命してきました。最近それに加えて、「憲法に照らして、消費税っていうのはどうなんでしょう、病院の統廃合っていうのはどうなんでしょうね」という話をすると、「あっ、そうなんや」という反応がありました。
二十五条の最低限度の生活を営む権利。生活保護はこの二十五条を具現化した制度で、朝日訴訟の浅沼判決は、最低限度とは生きるか死ぬかのギリギリのことを言っているのではない、社会保障は、財政状況に左右されてはならないものだと明確に述べている。そこから紐解いて、「医療費が増えるからこれを抑えるために病院を統廃合するとか、保険料を払えなかったら保険証を取り上げるとかというのは、それはまさに二十五条に違反していることですよ」とか、「お年寄りが増え財政が悪化しているなどと、お年寄りは肩身の狭い思いをさせられているが、それは言いがかりですよ」という話をすると、すごく皆さんホッとされる。声を挙げていいんだと明るい表情をされます。
そして、「うちの国の憲法なかなかいいじゃないか」という認識になるんですよね。だから、たとえば地域で病院の統廃合に不安を感じている人、年金を下げられて困っている人、介護を受けられずにあきらめている人、そんな人たちに憲法を手にしてもらう、そういう活動が必要かなと思っています。
憲法九条を変えてこの国を戦争する国にすると、当然、政府は国民に対し、お国のために戦地へ行け、人殺しせよと命令するわけです。そこには人権などない。安倍首相が「いまの憲法はみっともない」と言うのは、ただ単に軍隊が持てない、戦争ができないだけではなくて、国民の権利を幅広く認めているということがみっともないと彼らの目には映っているのではないかと思えてなりません。

〇十三条を入口に


吉江 私が憲法の話をする時に、いちばんおもしろいのは十三条だと思っています。
「ここにいらっしゃる皆さんには共通点があります。それはなんでしょう」と参加者に問いかけてみるんです。
いろんな答えが出てきます。どれも全て正解です。その上で、「私が今日正解にしたいのは、皆さんはみんな同じ〝人〟であるということです。だけど、憲法十三条は、皆さんを〝人〟として尊重するとは書かずに〝個人〟として尊重すると書いています。それは、皆さんが〝人〟であるのは当然の前提として、それぞれさまざまな背景を持った異なる個性を持った〝人〟であり、そして、それぞれが幸福を追求しながら生きていく社会をつくるときめています。十三条を実現するために、平和主義も、民主主義も、国民主権もあります」というような話をするんです。
個性ある存在として幸福を追求しながら生きていけるよう保障する、それが社会保障の使命だろうと思うんです。
個性ある私たちが幸せを追求して生きていくためには、当然、戦争に行くことも嫌だし、戦争の弾を受けることも嫌だし、じゃあどうすればいいか、外交努力をしてくださいということになる。憲法九条の主語は日本国民です。日本国民は決意した。だから政府に軍隊を持つなと言っている。ところが、自民党の改憲案では、日本国民は決意したと言っているそばから「自衛隊を持ってもいいもんね」ということにしようとするものです。全然、九条とは相いれないものです。
「みなさんは、個性、個人として尊重されて、それぞれがそれぞれの背景を持って幸せを追求しながら生きていく存在です。ここに憲法のいちばんの目的があるんです」という話は、会場を元気にするんですよね。
社会システムの話よりも、自分は個性ある人間として幸せを追求しながら生きていっていいんだっていうところから話をしていくと伝わるなってすごく思います。

金田 そうですか、そういえば、私が共産党に入ったのも、十三条に出会ったからです。

吉江 そうなんですね。

金田 日本福祉大で学んでいた時、運転手の過重勤務による犀川スキーバス事故で学友の命が理不尽に奪われました。人の命より儲けを優先してしまう資本主義という社会構造を変えないと同じ事故が繰り返されるだろうと考えて、資本主義を乗り越えようと本気で活動する日本共産党に入ったのですが、それはつまり、自由な時間を保障して、個人の個性や能力がもっと花開く社会、ある意味、十三条を最大限保障する、具現化する社会なんですよね。

〇いっしょに楽しく政治を変えていきたい

吉江 「あなたの〝したい・やりたい〟を実現できる社会になっているかという視点で物事を見ればいいんです。だから、いまの政府のあり方が正しいか正しくないかではなくって、自分の願いに合うか合わないかという目で見たらいいんだよ」という話をするのがいいと思うんです。
日本人ってすぐ、正しい答えを教えてくださいって言いますね。
憲法カフェに行っても、何が正解か端的に話してほしいと言われることがあります。「いやいや、正解は別に一つじゃありません。政治的な問題というのは一足す一は二ということではなくって、立場の違いや選択の違いなので、私はこう選択をする、あなたはどう選択するんですかっていうだけの話です。答えはあなたの中にあるんですよ」と答えています。

金田 我々も、もっといっしょに考えてもらうようなアプローチをするべきですね。「いっしょに考えましょう」という参加型――いっしょに楽しく政治を変えていく――それができればなと思っています。

〇命と、尊厳。憲法いかす日本へ

吉江 今年はいろんな意味で節目の年になるんでしょうね。

金田 憲法をもう一回手に取る、そして生かすチャンスだと思うので、ぜひ憲法カフェもまたいっぱい広げて下さい。私たちも憲法を生かす取り組みをいっしょに広げていきます。

吉江 十三条の価値をきちっと実現できるようにしていきたいですよね。ところで参議院選挙に立候補されるんですよね。

金田 はい、選挙区で

吉江 野党共闘もいいんですけど、共産党の議席は減っては困るということは合わせて伝えたいですよね。がんばってください。

金田 はい。〝命と、尊厳。憲法いかす日本へ〟全力をあげます。
今日はありがとうございました。

青年とともに

(兵庫民報2019年1月6日付)

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