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2018年10月7日日曜日

金田峰生「病院統廃合問題を考える」〈上〉

今、神戸市北区にある済生会兵庫県病院と三田市民病院を統廃合しようという動きが大問題になっています。兵庫県内ではこれまでにも、病院統廃合、それも公立病院と民間病院の統廃合がありました。

背景に新自由主義

一連の病院統廃合の背景には、安倍自民党政権の「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざすという「新自由主義」の考え方があります。
「新自由主義」経済というのは、ご存知の通り「大企業をもっと強くすれば、国の経済は潤う」というもので、自民党政権はアメリカから言われるまま新自由主義経済政策を取り続けています。従って「社会保障に財源を回したくはない。医療にかかる公的支出を削って予算を大企業がもうかる事に使いたい」「大企業が負担している社会保険料等税金負担を軽くしたい、その分は国民に負担させたい」というのが本音でしょう。
医療費を削るために政府は、「医療費が膨れ上がって国家財政を圧迫し、大変な事になっている」という「医療費亡国論」を振りまき、例えば医療保険への国庫負担を二分の一から三分の一に減らす、それまではなかった窓口負担という制度をつくるなど、国民の負担を重くし、病院に行き難くしました。医療を受ける側、医療需要の抑制策です。もう一方の医者を減らし、病床を減らす、医療の供給も抑制しました。
その具体化が、地方自治体に「医療費適正化計画」と、その目標を達成できる「地域医療構想による病床削減」計画を作らせるというもので、安倍政権が強権的に進めています。

「地域医療構想」

「地域医療構想」というのは、安倍・自公政権が二〇一四年に「医療・介護総合法」を強行して導入した、新たなベッド数削減の仕組みです。
厚労省は「地域医療構想ガイドライン」で、医師や看護師を手厚く配置する病床を「高度急性期」に限定し、それ以外の一般病床は、二〇二五年度までに再編・淘汰していくよう都道府県に指示しています。長期入院型の療養病床については、ベッド数が少ない県にあわせて大幅削減し、患者を「在宅化」していくとしています。こうした「構想」を県に持たせて、二〇二五年までにベッド数を、本来必要とされる百五十二万床から百十九万床に、三十三万床削減していくというのが、安倍政権の狙いです。
そして計画を着実にやらせようと、消費税を財源につくった「地域医療介護総合確保基金」の配分を、病床削減につながる計画に優先配分する。病棟の解体撤去にも使えるようにするなど、露骨な誘導を行っています。また、「公的病院の増床に中止命令が出せる」「民間病院にも要請・勧告できる」などの知事権限を強化し、勧告に従わない病院名の公表や地域医療支援病院の承認取り消しができるなどとしました。地域医療支援病院に承認されると、診療報酬上に加算がつきます。取り消されると、収入が減らされることになります。

自治体の態度が問われる

しかし全国では、再編・病床削減に合意した医療機関は二百八十施設で、計画全体の二%です。病床を減らすということ、病院を統廃合するということは、命の砦を減らすこと、なくすことで、人々の暮らしに耐え難い苦痛をもたらし、人々の権利を損ないかねない重大な問題です。県や市・町が安倍政権のいいなりになるのか、地域医療確保のために政権と対峙できるか、問わなければなりません。住民の命と福祉を守る地方自治体が、医療切り捨ての先兵役を担うなど許す訳にはいきません。(続く・三回連載)
(日本共産党国会議員団兵庫事務所長)

(兵庫民報2018年10月7日付)

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