連載エッセイ29
江戸時代の窃盗犯、ねずみ小僧治郎吉は汚職大名や悪徳商家から盗んだお金を貧しい庶民にばらまき、「義賊」と呼ばれました。盗んだお金をそのまま自分の懐に入れるとただの盗人ですが、人びとに分け与えたことから、「公益性」を評価され「義賊」と見なされたわけです。
違法行為である賭博が、なぜ「公営ギャンブル」にだけ認められているのか。その理由はねずみ小僧とおなじです。私人が賭博を行うのは違法だが、地方自治体などが行う「公営ギャンブル」は賭博の上がりを住民サービスに使うから「公益性」があり、違法性が減じられるという理屈です。
一九六七年、その理屈に異をとなえたのが「公営ギャンブル廃止」をかかげ東京都知事に当選した経済学者の美濃部亮吉さんでした。美濃部さんは「使途が良ければ違法行為が許されるというものではない。ねずみ小僧も犯罪者に変わりはない」と主張。「公営ギャンブル」の「公益性」を倫理の観点から疑問視しました。
こういう歴史的な論争を全く無視して、公営どころか明白に違法行為である民営賭博を強引に認めようというのが今回の「カジノ実施法案」。しかも日本人から巻き上げたお金を海外のカジノ企業が自分の懐に入れるなど、ねずみ小僧もびっくりです。「公益性」の一かけらもない。こんな悪法を通そうとする安倍内閣と自民、公明、維新は、ねずみ小僧以下です。廃案に追い込むため最後まで頑張りましょう。
(日本共産党参院議員)
(兵庫民報2018年7月8日付)
2018年7月8日日曜日
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