記事を検索

2018年7月1日日曜日

劇団1980『素劇楢山節考』:神戸演劇鑑賞会7月例会


七月の舞台は、作家・深沢七郎が一九五六年に発表した小説「楢山節考」を元にしている。演出家・関矢幸雄が〝素劇〟として構成、舞台化しました。〝素劇〟とは、関矢幸雄が提唱する表現様式。リアルな装置、修飾的な衣装、メイク等をいっさい取り払う。舞台は黒い箱と白い紐のみ。その紐で、例えば、山なら山を俳優たちの動きで作る。躍動感に満ちた俳優の演技は、単純で素朴でありながら、活気に溢れ、スピーディな場面転換の中で、「楢山節考」の世界を見事に表現して見せてくれる。
ここは信州の山また山が連なっている所にある寒村。村には言い伝えがあった。
楢山祭りが三度来りや(ハー来た来た)
栗の種から花が咲く(ハーそうずらそうずら)
もともと盆踊りの歌だったが、今では、この歌が聞こえると〝山〟へ行く日に変化した。
おりんは六十九歳、あと一年で山へ行く。息子の辰平は、おりんを山へ送りたくない。しかし、おりんの決意は堅い。その日の為に準備を充分に整え、凛とした心で、山行きを待つ…。
哀調をおびた台詞と台詞の間に、心を揺さぶる歌が、合いの手のように入る。食べる物もない人間の根源的な貧しさの中で、おりんの死ぬ覚悟は、人間としてどの様に生きるのかを、問うているのでは…と思うのです。
―小谷博子

劇団1980公演『素劇楢山節考』

原作:深沢七郎構成、演出:関矢幸雄、出演:柴田義之、上野裕子他/①7月19日(木)19時②7月20日(金)13時30分③7月21日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/☎078‐222‐8651、Fax078‐222‐8653

(兵庫民報2018年7月1日付)

日付順目次