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2018年6月24日日曜日

『人生タクシー』:神戸映画サークル協議会7月例会

反骨精神と映画愛そそぎ


『人生タクシー』はいかにイラン映画が高い水準を保っているか、納得できる作品だ。
ジャファル・パナヒ監督は、二〇一〇年に拘束された後、二十年間の映画製作禁止の命令を受けたが、この作品を作り上げた。監督本人がタクシー運転手としてタクシーで実際にテヘランの街を流し(写真)、乗り合わせた乗客を車載カメラで撮影するという手法だ。ドキュメンタリーなのかドラマなのか曖昧なところにユーモアがあり、それこそがこの作品のジャンルに収まらない魅力にあふれている素晴らしいところなのだと思う。
乗客たちが語ることはたわいないおしゃべりや近況報告でありながら、しっかりと体制批判になっているところに監督の個性がにじむ。肩肘張って声を荒らげて主張するのではなく、素朴で、純粋な疑問や傷つけられた人間の想いを、明るく朗らかに歌うような会話で表現する。彼らとの会話から浮かび上がってくるのは、イラン社会の姿である。死刑制度や外国映画の禁止、格差といった問題がユーモアを交えて描かれる。
日常の人々の営みを通じて表現されるイランの現実、人と人との関わり、体制批判、そして映画愛。すべて内包したこのユーモラスかつシリアスな作品に喝采せずにいられない。
―桑田葉子(神戸映画サークル協議会)

映画『人生タクシー』

7月20日(金)①11時30分②14時30分③19時、21日(土)①11時30分②14時30分③18時(③の時刻が異なります。ご注意ください)/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/監督:ジャファル・パナヒ/2015年、イラン、82分/一般1,300円(当日1,700円)、シニア・障がい者・大学生以下1,300円/主催:神戸映画サークル協議会☎078‐371‐8550、https://kobe-eisa.com/

(兵庫民報2018年6月24日付)

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