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2018年5月27日日曜日

文学座『怪談牡丹燈籠』:神戸演劇鑑賞会6月例会


もともと、日本の幽霊には足がなかった。その足のない幽霊に足をつけ、音まで添えて登場させたのが、三遊亭円朝(一八三九~一九〇一年)である。舞台はこの円朝を語り手として登場させる。
円朝は幽霊に足をつけただけでない。登場人物たちの心の奥底を見透かし、人の欲望や表と裏をあぶり出した。それに、振り回されながら、ある時は悲しく、また、こっけいに生きて居る登場人物たちを舞台の上で、きり、きり動かした。
人を殺す。騙す。悪いと思いながら、そうせざるを得ない人たち。生きて行くためのせっぱ詰まったぎりぎりの行為。因果応報とはよく言ったもので、必ず己のもとへ帰ってくる。円朝が私たちに、語り掛けている。
旗本の娘お露は、浪人新三郎にひと目惚れ。恋い焦がれて死ぬ。乳母のお米も同時に死ぬ。新三郎の身の回りの世話をしている伴蔵は、毎夜、美しい燈籠と共に新三郎の元を訪ねて来るお露とお米に疑惑を持つ。ある夜、盗み見をして、腰を抜かす。そこには骸骨と共に新三郎がいた。伴蔵は仏の札を貼りめぐらせた。困ったのは、ふたりの幽霊。仏の札を取り除くのを条件に、百両のお金を伴蔵に渡す。主人を裏切った伴蔵夫婦は、江戸を立ち去ったが…。
―小谷博子

文学座公演『怪談 牡丹燈籠』

原作=三遊亭円朝、脚本=大西信行、演出=鵜山仁、出演=早坂直家、富沢亜古ほか/①6月17日(日)16時30分②6月18日(月)18時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/☎078‐222‐8651、Fax078‐222‐8653

(兵庫民報2017年5月27日付)

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