記事を検索

2018年5月20日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2015-05-10

内部被ばくや急性症状について、懇切丁寧に証言

副島圀義

五月十日の大阪地裁は、原告・苑田朔爾さんご自身と、郷地秀夫先生の証言。

長崎の、爆心地から四キロメートル余の高台の家で被爆。十五日に北へ十七キロメートルほどの祖父宅に避難しますが、途中、爆心地近くの浦上川で水浴び。よく下痢をしていたと、祖父母から聞いています。
原爆症の申請疾病は前立腺がんですが、甲状腺機能低下症、脳腫瘍など次々と…。
国は「直爆距離が四キロメートル余、爆心地近くを通ったのが六日後。発病するほどの放射線は浴びていない」と主張しています。

郷地先生は――初期放射線量は低かっただろうが放射性降下物、残留放射線、誘導放射線などによって相当な内部被ばくをしたと考えられる。
―四キロメートルというのは、幅二十キロメートルの「きのこ雲」からの降下物がいちばん多い所となる。
―「黒い雨」に打たれなくても、放射能汚染された水や野菜などを摂取することで内部被ばくする。
―被爆者に下痢の症状があった場合、急性症状を疑うのが当然。爆心地近くではプルトニウムやウランなどの微粒子が飛散しており、水を飲んだりして腸管に付着し急性症状を起こしたと考えられる。
―摂取された放射性核種が、その部位をずっと被ばくさせることによってがんを発症させる。特定の臓器だけに起こるのではない。
―高齢化も含めて、発病には他の原因もあるだろうが、その場合も放射線被ばくの起因性は大きい。――等々、懇切丁寧に被爆者の発病の仕組みを解説しました。

郷地先生は「安倍首相は、原爆の日の記念日の挨拶で、いつも高齢化している被爆者に優しい言葉をかけている。その演説がうそでないなら、官僚が勝手に忖度して、こんな裁判をいつまでもしているということなのか?」と、手厳しい批判で証言を終えました。

(兵庫民報2015年5月20日付)

日付順目次