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2018年3月10日土曜日

『午後8時の訪問者』:神戸映画サークル協議会3月例会


ベルギーの工業都市リエージュの郊外、若き女性医師ジェニー・タヴァンは、知り合いの老齢医師のピンチヒッターとして診療所で働いている。他のスタッフは、彼女の指導を受ける研修医のジュリアンだけだ。優秀な彼女は、大きな病院の勤務医として受け入れられる事が決定している。
明日で代診が終わる日もひっきりなしに患者が訪れ、気が休まることがなかった。診療時間を終えて一時間がたってもベルがなるほどだったが、ドアは開かれることはなかった。
勤務する予定の病院では熱烈な歓迎を受け、地域に戻ってみれば患者に去る事を心から惜しまれるジェニー。医師としてこれまでの仕事ぶりへの真価を評され、夢もかなった、心が満たされるような一日の終わりだった。
しかし、翌朝の警官の訪問が彼女に大きな衝撃を与えた。川沿いの道で見つかった遺体は、昨日診療所を訪れたすぐ後に災難にあった可能性が高いという。若いアフリカ系の女性の姿を映像で確認したジェニーは「もし、あの時ドアを開けていれば…」という後悔が頭から消えなくなってしまう。
防犯カメラの映像を携帯電話に入れて、知っている人がいそうな場所に出かけて行くジェニー。
しかし、まるでその存在がなかったかのように、行く先々で「知らない」と告げられる。ある日、ジェニーは診察した少年が何かを知っているのではないかと感じるのだった。
EUの本部があり、地理的にもヨーロッパのほぼ中心に位置するベルギー。グローバル化は国境を越えて、豊かさと影をもたらしている。その影の部分の縮図が日々、診療所の中で起こっている。
ミステリー的なストーリー展開を通して、ヨーロッパの貧困や移民問題を描く問題作だが、若い女性を主人公にした事で、鑑賞後は爽やかさを感じる。
宮下宜子(神戸映サ)

映画『午後8時の訪問者』

3月16日(金)①11時30分②14時30分③19時、17日(土)①11時30分②14時30分③18時、神戸アートビレッジセンターKAVCホール/ジャン゠ピエール&リュック・ダルデンヌ監督作品 、2016年、ベルギー゠フランス、106分/一般当日1,700円(前売1,300円)、シニア・障がい者・大学生以下1,300円/神戸映画サークル協議会☎078‐371‐8550、http://kobe-eisa.com/

(兵庫民報2018年3月11日付)

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