「市民の声を神戸市に集中させましょう」
日本共産党神戸市議 大前まさひろ
神戸市は大企業のもうけを最優先に、安倍政権の成長戦略に沿って、三宮一極集中の巨大開発を強行しようとしています。
開発を具体化するものとして「『えき≈まち空間』基本計画(案)」「新たな中・長距離バスターミナル整備に向けた雲井通五・六丁目再整備基本計画(案)」が発表されました。神戸市は、
二月九日まで市民意見募集(パブリックコメント)を行っていますので、市民のみなさんからのご意見・ご批判を神戸市に集中していただきますようよろしくお願いします。
それぞれの計画案にはきれいなように見えて実はさまざまな問題点が隠れています。
「えき≈まち空間」基本計画(案)
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意見提案用資料から |
「えき≈まち空間」には、「三宮クロススクエア」、五つの駅前広場、バスターミナルなどの公共施設が新設される計画です。これに加え、市役所付近に新庁舎をつくります。
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一つ目の問題点は、この計画(案)が予算について全くふれていないことです。
一体いくらかかるかわからないものにどうコメントしろというのでしょうか。これで市民意見も聞いたからと税金を注ぎ込まれたらたまったものではありません。
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二つ目の問題点として交通の分析も無く、湾岸道路延伸を合理化しているということです。
「三宮クロススクエア」は交通センタービル交差点を中心として付近の道路を車両が通れなくするものです。そのため、三宮を通過しようとする車両は南北を走る道路に迂回しなければなりません。
その迂回するのに阪神高速道路湾岸線延伸も必要だというのが神戸市の考えです。三宮の再開発に合わせて、湾岸道路の延伸工事まで合理化しようとしています。
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三つ目の問題点は、にぎわいづくりとして既存の商業を考慮していないことです。
神戸市はバスターミナルを伴う巨大ビルを建設し新たな商業床を増やす計画です。市役所二号館も一号館と同規模の高層ビルに建て替え低層部に商業施設を誘致しようとする計画です。かなりの数の商業床が増えることになります。
しかし三宮センター街、センタープラザ、サンプラザ、二宮市場など既存の商店にどれだけの影響があるのか、神戸市は一切調査をしていません。これでは新たに商業施設ができることで既存の商店街はつぶされかねません。これまでもミント神戸ができて地域にどれだけ影響があるか調査を求めてきましたが、それすらされてきませんでした。
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四つ目の問題点はさらなる補助、規制緩和が行われようとしていることです。
基本計画(案)には「都心地域へのオフィス進出を促すための経済インセンティブの検討」とあります。しかし神戸市はすでに「都心地域オフィス等立地促進事業」で三宮ビルディング北館に六甲アイランドから移転してきた「P&G」一社に五年間で四億五千万円の補助を出しています。これを上回る補助を検討するということです。
「商業、業務系の建築物に対する容積率の検討」ともあり、すでに都市再生緊急整備地域ということで容積率の緩和が行われ高層ビルが建てられるというのにさらに容積率を緩和しようというものです。
大企業のもうけのためにというその本音が表れています。
新バスターミナル基本計画(案)
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意見募集用資料から |
「新たな中・長距離バスターミナル整備に向けた雲井通五・六丁目再整備基本計画(案)」の問題点についてです。
神戸市は区役所、勤労会館を市役所三号館に移転し、その跡地にバスターミナルを伴う巨大ビルを建設しようとしています。あわせて地域の文化施設を廃止し三宮に集約しようとしています。
そんな巨大開発が必要でしょうか。地方自治の本旨は「住民福祉の増進」です。しかし特定都市再生緊急整備地域では目的が「国際競争力の強化」となっています。国際競争力の強化のために地域の会館をなくし、「住民福祉の増進」が脇に置かれるようなことになってはいけません。
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一つ目の問題点は利用者の声をほとんど聞かずに区役所などが移転されることです。
区役所、勤労会館の移転にあわせて、生田文化会館、葺合文化センターまであわせて集約すると、市長選後に、市長は突然言い出しました。
生田文化会館、葺合文化センターは生田区と葺合区が合区され中央区となったときにそれぞれの地域住民が文化交流施設をつくってほしいと要望してつくらせた地域の施設です。
また神戸文化ホールについても大ホールはバスターミナルを伴う巨大ビルに中ホールは市役所二号館に移転させる計画です。
利用者の声を聞かずにトップダウンで移転を決めてしまうことが許されるでしょうか。
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二つ目の問題点は居住者が増え、近隣の小学校がさらに過密するということです。
再整備ビルの構成イメージには「中長期滞在機能」と書かれていますが、後の文章では「中長期滞在などを可能にする高機能な居住機能」と書かれています。
雲井通五・六丁目は中央小学校の校区です。神戸市が「今後六年について、児童の受け入れのために何らかの対策が必要、またはそのおそれがある小学校区」として「要注意地区」に指定している校区です。
ここに大規模な居住機能をつくればどうなるでしょうか。中央小学校は子どもたちがあふれてしまい、子どもたちの教育環境を損なうことになります。今必要なのは三宮巨大開発ではなく、安心して学べる教育環境です。
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三宮は今の魅力を大切に、既存の個店や事業者のリフォーム助成や営業支援に力をいれ、バリアフリーなど時代に合った改善こそ、活性化の本道です。
22日に学習会
以上のようにこれらの基本計画には問題点が多数あります。ぜひパブコメに参加をして意見をあげましょう。今後議員団としては一月二十二日(月)十八時三十分から、神戸市勤労会館講習室403で学習会も行います。市民の声で三宮再整備をストップさせましょう。
(兵庫民報2018年1月21日付)