「市民と野党の共闘」と革新懇運動の前進へ
日本共産党兵庫県書記長 村上亮三
十一月十八・十九日の二日間、愛知で全国革新懇の「地域・職場・青年革新懇全国交流会」が開かれました。全体会、特別分科会の討論を通じて、市民と野党の共闘がいかに蓄積され、試練を乗り越え再構築し、鍛えられたかが、浮き彫りになりました。
十八日の全体会では、全国革新懇の小田川義和・代表世話人が、交流会全体の基調を示した問題提起と報告を行いました。
総選挙では、野党共闘が大きな困難に直面しながら、共闘の破壊・改憲翼賛体制づくりの企てを打ち破り、今後の展望を切り開きました。小田川氏は、逆流を打ち破った力は、「この二年間の共闘のたたかいの蓄積」「市民と野党の共闘は鍛えられ、国民の間に根付いている」と指摘しました。
続いて首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさん、市民連合の広渡清吾・日本学術会議元会長、総がかり行動実行委員会代表の高田健さんの三人から連帯の挨拶、さらに、渡辺治・一橋大学名誉教授、渡久地修・オール沖縄代表幹事・日本共産党沖縄県議団長、日本共産党の志位和夫委員長の三人が特別発言を行いました。全体会の後半は、参加者による討論でした。
十九日は十二会場に分かれて分散会・分科会が開かれ、私は特別分科会に参加しました。特別分科会は、石川康宏・神戸女学院大学教授、五十嵐仁・法政大学名誉教授、日本共産党の穀田恵二・国対委員長が発言し、討論を行いました。
市民の奮闘が共闘再建の大きな力に
北海道の代表は、安保法制以来の二年間の共闘の努力のうえに、総選挙では、選挙区ごとに野党共闘を求める「会」を結成し、統一候補づくりをすすめるところまで共闘が発展したと述べました。希望の党への民進党の合流決定という事態のもとで、「会」は、希望の党を共闘の対象とせず、安保法制廃止、立憲主義・民主主義の尊重、安倍政権下での改憲阻止に同意する政党と無所属候補との共闘を追求すると表明。その後雪崩を打ったように次々と民進党の候補者が希望の党への合流を否定し、小選挙区・比例併せて二十議席のうち、立憲民主党が八議席に対して自民九議席まで追い詰めたと報告しました。
東京の代表は、都内二十五の選挙区の内二十一で市民連合を結成したと報告。ある選挙区では統一候補に予定していた民進党候補が希望の党からの立候補を表明したが、市民連合から「リベラルへ戻れ」と働きかけ、共産党は、戻れば自党候補を降ろすと表明。結果、立憲民主党から立候補し、共闘を再建、小選挙区で勝利したと報告しました。
その他、多くの地域で、選挙直前に共闘に逆流が持ち込まれるなかで、市民の側から政党に強く働きかけ、それが共闘を再建する大きな力になったと報告されました。
複雑なたたかい通じ鍛えられた共闘
同時に、今回の選挙は、共闘に対する突発的な分断攻撃があっただけに、大変複雑な対応を強いられました――
▽参院選以降の共闘の積み重ねのなかで、市民の間で統一候補として信頼されていた民進党の候補者が希望の党を選択したが、共産党は候補を擁立せず自主投票になったところ。
▽ほぼ全選挙区で統一候補の合意ができていたが民進党県連が候補者全員の希望の党入りを決定。急遽擁立した共産党候補を市民の間で統一候補として合意を確認する苦労をしたところ。
―しかし、その複雑なたたかいを通じて、共闘が鍛えられ、今後の展望が生まれている経験も共通していました。
兵庫でも、選挙区によってそれぞれ事情は違いますが、複雑さ、難しさを経験しました。選挙区によっては、候補者擁立で市民の方と意見の違いが生じた選挙区もありました。そして最後には、意見の違いを認め合ってともにたたかうことができた体験も大きな財産になりました。
市民の頑張り支えた革新懇運動
革新懇運動が、共闘発展のための市民の頑張りを支える役割を果たしたことが、どの発言でも共通していましたが、兵庫でも同様です。小田川氏の報告では、地域の革新懇の奮闘の実例の一つとして西宮革新懇があげられましたが、西宮・芦屋、伊丹、三田、明石、加古川で市民と野党の共闘を求める市民連合や「会」を結成するなど、共闘をすすめるうえで、県内の地域革新懇が市民と協力して力をつくしました。
志位委員長は、発言で、第四次安倍政権とのたたかいにおける革新懇の二つの役割――①市民と野党の共闘を草の根から発展させて安倍政権を倒す推進力としての役割、②「三つの共同目標」を国民多数の合意にしていく努力――を提起しました。
全体会では、兵庫革新懇を代表して、前哲夫代表世話人が発言し、兵庫における総選挙での市民と野党の共闘の経験と、そのなかでの県内の革新懇運動が果たした役割について述べたうえで、二〇一九年の秋に予定されている「全国交流会」の兵庫での開催を歓迎し、開催県として市民と野党の共闘と革新懇運動の前進に全力をつくす決意を表明しました。
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日本共産党兵庫県委員会として、革新懇運動の発展に責任を果たすとともに、市民と野党の共闘の前進、日本共産党の躍進をかちとるために全力をつくす決意です。
(兵庫民報2017年12月10日付)