最低賃金を直ちに千円以上にすることを求め、兵庫労連が八月二日夕、神戸市中央区の兵庫労働局前でデモを行い、約六十人が参加しました。
出発前の集会で成山太志兵庫労連議長は、「七月三十一日に開かれた兵庫地方最低賃金審議会で意見陳述した。最低賃金千円でも年間二百万未満でワーキングプアから脱出できない。最低千円、早く千五百円をめざすべきだと訴えた」こと、二日は労働局に対し直ちに千円以上に引き上げることを要請したこと―を報告し、最低賃金引き上げへたたかう決意を表明しました。
中村伸治労連事務局次長が「最賃審議会は、陳述は公開だが、金額決める審議は非公開でおかしい」「最低賃金を直ちに千円以上にすべきだ」と報告、県国公労組からは「人事院勧告も近く出る。安心して生活できる賃金へ一緒にがんばろう」との決意表明もありました。
デモは労働局前から中央郵便局、西元町を周り再び労働局前へと一周。「最低賃金千円以上に引き上げよ」「ワーキングプアをなくせ」「全国一律最賃つくれ」などとシュプレヒコールし、市民にも訴えました。
○最賃審議会答申は844円(25円アップ) :異議受け付け8月21まで
兵庫地方最低賃金審議会は八月四日、兵庫県最低賃金の改定決定について兵庫労働局長に答申しました。兵庫県最低賃金(時給)を二十五円引き上げ八百四十四円とするものです。
なお、中央最低賃金審議会答申(七月二十七日)は、兵庫県はBランク、引き下げ額の目安は二十五円としていました。大阪府最低賃金については二十六円引き上げて時給九百九円とする答申が八月三日に発表されています。
兵庫労働局長はこの答申に対する異議を八月二十一日まで受け付け、異議に対する同審議会の意見を聞き、改定を決定し、ことし十月一日から発効させる予定です。
鉄鋼業、電子部品製造業、自動車小売業など七つの産業の特定最低賃金についての同審議会の調査・審議はこれから。関係労働者・使用者からの意見聴取の受け付けは八月二十一日までです。
兵庫県最低賃金の答申に対する異議、特定最低賃金についての意見の提出方法などについて詳しくは
兵庫労働局へ。
○県弁護士会が会長声明大幅引き上げ求める
兵庫県弁護士会は、「
最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明」を七月二十七日に発表し、兵庫地方最低賃金評議会に対し、答申にあたり最低賃金を大幅に引き上げるよう決定することを求めました。
その理由として―
①現在の最低賃金八百十九円では、フルタイムで働いても月収十四万円、年収百七十万円に留まり、生活を維持し、将来にわたり安定した生活を確保していくことは困難である。
②引き上げ額は政府の「ニッポン一億総活躍プラン」により毎年二十四・六円程度に留まり、時給千円に達するには二〇二四年までかかるが、仮に時給千円となっても月収約十七万三千円、年収約二百七万六千円に留まり、十分な額とまでいえるものではない。
③大幅な引き上げによって、男女の賃金格差や世代間の賃金格差の解消を図り、我が国の将来を見据えた上で、働く者の間に横たわる格差から生じる貧困問題を早急に解消する必要がある。さらに兵庫県の最低賃金は全国加重平均八百二十三円を下回っており、東京都との格差は百十三円にものぼり、兵庫県からの労働力流出の一因ともなっている。労働者の生活の安定、労働力の質的向上を図るという最低賃金法の目的(第一条)を実現するためには、最低賃金の迅速かつ大幅な引き上げが必要不可欠である。
④最低賃金の引き上げに際しては、政府が、中小企業に対する補助金制度や減税措置等を通して中小企業の生産性を向上させ最低賃金の引き上げを可能にする環境を整備することで、中小企業の経営の影響を生じることを回避できる。
―の四点を挙げています。
(兵庫民報2017年8月13日付)