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2017年8月6日日曜日

改憲阻止へ憲法共同センターと革新懇が交流集会

憲法改悪ストップ兵庫県共同センターと兵庫革新懇は七月二十九日、各地域の共同を発展させる全県交流集会を神戸市内で開催しました。


津川知久共同センター代表・革新懇代表世話人が、開会挨拶を兼ねて問題提起しました。支持率急落にもかかわらずあくまで改憲にこだわる安倍政権の動きの危険性を指摘。これに対し、各地域での総がかり行動や、市民と野党の共同へのとりくみ、県知事選での新しい共同にふれて、こうした共同を発展させ安倍改憲反対を通じて安倍政権打倒の運動にも連動させていこう、そのために大いに奮闘しようと訴えました。
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和田進神戸大学名誉教授が「安倍改憲阻止・安倍政権打倒」をテーマに講演しました。
五月三日の安倍首相の改憲提言は①二〇二〇年改憲施行の時期設定②本命の九条改憲③九条加憲方式④教育無償化とセット―の四つの特徴があるが、これらは安倍氏のバックの右派グループが考えてきたものだと指摘。これまで、秘密保護法から戦争法、共謀罪と強行してきたが、「戦争できる普通の国づくり」は九条がある限りできない。国会で自民・公明・維新で三分の二の議席を占めている今がチャンスと見て、国民の中にある災害派遣などでの自衛隊の肯定感も利用して強行を狙っていると解明しました。
和田氏は、この九条加憲方式は日本国憲法の理念を否定する反立憲主義だと批判。様々な立場の違い越えて安倍政権のもとでの改憲反対の共同を広げることは、安倍政権打倒の共同へ発展していく可能性を持っている―と今の運動の意義を語り、激励しました。

○「1万人意見広告運動」―総がかり行動兵庫県実行委員会

特別報告として、北島隆兵庫労連事務局長は、中央総がかり実行委員会が改憲反対署名を今までの「総がかり」の枠を越える幅広い呼びかけで開始、九月八日に「キックオフ集会」を予定し、「戦争させない、九条壊すな!総がかり行動兵庫県実行委員会」も十一月三日付「神戸新聞」に意見広告を掲載する「一万人意見広告運動」を提起していることを報告。
「一万人意見広告運動」は、改憲国民投票を視野に地域で共同の運動発展させるため、賛同者を自治体ごとに掲載する、としていると紹介。諸団体、地域で賛同者を集め、申し込もうと訴え、八月三十一日にこの成功のための決起集会も計画していることを報告しました。
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明日の自由を守る若手弁護士の会兵庫支部の吉江仁子弁護士は、十八歳選挙権実施にともない兵庫県弁護士会が高校からの要請を受けて取り組んでいる「主権者教育」を紹介。二〇一六年度は六十校、今年度もすでに三十八校で行われたこと、選挙とは何か、議会とは何か、模擬投票も行いながら高校生とともに考える授業を行っていること、そのなかで九条だけでなく、十三条(個人の尊重)の大切さを生徒たちが知り始めていることを報告しました。
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その後、各地域分野から活動交流の発言が活発に続きました。(別掲)
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最後に宮田静則兵庫革新懇事務局長がまとめの挨拶をしました。各地域ではじまった共同をさらに発展させようということがこの集会で確認できたとし、戦争法反対の二千万署名は半年で六十万集めたが、改憲反対の過半数規模はその数倍であり、担い手をもっと広げ改憲反対の世論を広げよう、世論と共同の発展は総選挙へ向けて改憲勢力を少数に追い込む共同に発展していく、そのためにがんばりましょう――と訴え閉会しました。
○各地域・団体からの発言
革新懇を合併前旧地域ごとに代表をつくり運営。九条の会も九のつく日に行動。「テロ等準備罪」の慎重審議を求める意見書請願が議会で十九人中十六人の賛成で可決された。市民が無所属の議員宅を訪問し、危険な法案だと訴えて回った。九月五日には木村草太氏を呼んで七百人の集会を予定。
;(丹波市)
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「憲法壊すな」のポスターをつくって宣伝。区内の九条の会の連絡組織で共同行動の組織をつくって、宣伝行動を継続している。岡場駅で宣伝すると、あっというまにビラがなくなった。
;(神戸市北区)
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新社会党などと総がかり実行委員会つくって戦争法反対以来行動。そこで総選挙に向けて野党共闘を実現するために枠組みを広げる論議をすすめている。;(明石市)
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高校生にあらかじめの説明なしに憲法前文を読ませ感想を書いてもらったが、内容を正面から受け止めてくれている。
;(高教組)
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二十以上の「九条の会」ができ、それをつなぐ九条ネットワークをつくり運動してきた。戦争法反対の取り組みで尼崎共同行動を結成。五百人集会も開催してきた。野党共闘をめざす市民連合の結成へ諸団体で論議をすすめている。;(尼崎市)
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九条の会の連絡会をつくって取り組んできた。二千万署名目標達成へ九人の呼びかけ人で会を結成し二万目標で一万六千人分集めた。呼びかけ人も増やし、戦争させない長田区の会を結成した。
;(神戸市長田区)
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共謀罪反対集会を開催。御影公会堂で「映画と講演の夕べ」を企画し、お寺や教会、高校、大学でも宣伝。さらに広く呼びかけて共闘を発展させ「オール灘の会」を結成する。
;(神戸市灘区)
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二千万署名で十六団体で憲法共同センターを再開、区内に駅が多いので各駅を回って宣伝。軽トラパレードを参考にパレードをしたら反響があった。次回も計画している。
;(神戸市西区)
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長野・岡山・香川の参院選一人区の経験を候補者らを呼んで直接聞き、元気が出た。自分たちのところでも実現しようと、各党もまわって意見も聞き、懇談して野党共同の努力をしている。共同の宣伝も行っている。さらに野党と市民の共同へ努力したい。
;(西宮市)

○意見広告成功に向けた決起集会



8月31日(木)18時30分/神戸市勤労会館7階大ホール/憲法情勢と意見広告運動の提起、意見交換/主催:総がかり行動兵庫実行委☎078‐361‐9990

(兵庫民報2017年8月6日付)

神戸市長選その争点は…:新連載〈1〉

安倍〝自民党政治〟の持ち込み許すのか、「自治体らしい自治体」を取り戻すのか

久元喜造神戸市長は、前回市長選で、安倍内閣と自民党の大々的な応援を受けました。選挙中、閣僚など数十人の自民党幹部が応援演説に立ち、自らも官僚出身として「安倍政権とのつよいパイプ」を強調しました。
自民党に支えられた久元市政によって、自治体を「開発会社」に変える〝自民党政治〟の持ち込みが加速し、福祉や憲法など神戸市政運営の大切な部分がゆがめられました。
十月二十二日投票の神戸市長選挙は、神戸市政に安倍〝自民党政治〟のこれ以上の持ち込みを許さず、「自治体らしい自治体」を市民の手に取り戻し、住民の願いを実現する選挙です。

(1)政務活動費不正流用:自民党政治は神戸でも末期症状

大野一市議(東灘/故人)ら「自民党神戸」議員団の三千四百万円超の政務活動費不正流用事件は、七月二十七日、岡島亮介(西区)、梅田幸広(西区)、竹重栄二(垂水区)の三市議が詐欺罪で起訴される事態になりました。三市議は、これまでの不正流用額とは別に、印刷物の領収書の金額を水増しするなどして二千三百万円の政務活動費をだまし取ったとして詐欺罪で起訴されています。起訴された市議は「領収書偽造は慣例」で「他の市議にとっても常識な方法だった」と詐欺が横行していたと語っています。
一方、自民党の今井絵理子参議院議員との不倫を週刊誌に報道された橋本健市議(中央区)は、記事の内容は「概ね事実」と認めました。また、橋本市議が作成した今井議員との対談を掲載した市会報告を参院選公示前日に配布したことについて、外部から「選挙応援では」と指摘され、自民党議員団は七月二十六日に収支報告書を修正、三十万円を返還する手続きに入りました。自民党議員団の所属議員が、政務活動費の不正流用で書類送検・起訴される最中、返還措置が必要な不適正支出を再び行い市民の信頼を著しく損なっています。
日本共産党神戸市議団は二十八日ただちに、政務活動費の新たな不正流用事件を徹底調査するための百条調査委員会の設置を議長に提案。橋本市議に議会の正式の場での説明を求めるとともに、三市議に対する辞職勧告決議を上げるよう要請しています。
安倍内閣同様、末期症状を呈する自民党政治は、政務活動費不正流用が象徴するように神戸でも腐敗を広げています。一方、市長は政務活動費の支出者として「刑事告訴」できる唯一の権限をもっていますが、自民党に「忖度」して告訴を一貫して拒否し、真相解明に背を向け続けつづけました。
こうした腐敗した自民党議員団に支えられながら、安倍流の〝自民党市政〟を押し進めているのが久元市長です。
(次号に続く)

(兵庫民報2017年8月6日付)

日本共産党県議団が県政懇談会

多岐にわたる県民要求実現へがんばる決意


日本共産党兵庫県会議員団は、七月二十五日、神戸市内で県政への意見・要望を聞く懇談会を開催しました。約三十の団体・議員団、三十五人が参加しました。
参加者からは、医療、介護、障害者、教育、保育、住宅、環境、農業、交通、労働など多岐にわたる要望が寄せられました。
ある医療関係の団体からは「でたらめの試算で医療後退させるわけにはいかない。市民、県民目線でチェックし医療確保を」と意見が寄せられました。
障害者団体も複数、発言され、「障害者自立支援法により、六十五歳からは介護保険制度が適用され、要支援1、2で認定されるとサービスも大きく後退する。なんとかしてほしい」「グループホームの設置・充実を」「可動式ホーム柵の普及を」など具体的な要望がよせられました。
保育団体からは「わんずまざー保育園は氷山の一角。認可保育園の増設、保育士処遇改善で、待機児童の解消と保育の質確保をしてほしい。県が四百のこども園の調査をした報告のなかで、相談窓口開設というが、平日の九時から十七時では、だれも相談できない」と改善を求めました。
教育では「年間三百六十日間働かされている調理員さんが二人いる。県に改善を求めているが、十分な対応にならない」と切実な実態が報告されました。また、高校制服購入の負担軽減、少人数学級、学費負担軽減などの要望がだされ、教育予算の抜本的充実の必要性が浮き彫りになりました。
神戸製鋼の石炭火力発電増設計画に対して複数の参加者が発言。「石炭火力発電所の増設は是認できないという意見書を県知事から提出させるように」「県の公聴会開催を早期に求める」などの要望が寄せられました。
冒頭、ねりき恵子県議団長が主催者挨拶をし、きだ結県議が県政の特徴を報告。全体の発言をうけ最後に、ねりき団長が、「寄せられたご意見は来年度予算要望や議会活動に生かし、県民要求実現のためがんばります」と決意を表明しました。

(兵庫民報2017年8月6日付)

三田市民病院:「統合再編許さず」と住民が集い



三田の地域医療と介護をよくする会が三田市民病院と地域医療を考える集いを七月三十日、三田市総合福祉保健センターで開催しました。
会代表の東浦徳次さんが――三田市が公共施設の再配置計画として市民病院のありかたを課題にあげ、市民病院改革新プランの中で県の地域医療構想にもとづき医療圏を越えた統合再編や経営形態見直しの必要性を打ち出した。市長は政治生命をかけて病院改革をすすめると公言し、今年度中に必要な協議をすすめるとしている。一方で、関係する会議は非公開で住民に隠れて協議している。この動きを許さず市民病院を守るために、住民の声を集めるアンケートを行った。市内の調剤薬局での配布・回収にも協力いただいた。病院に近い地域では、二百二十枚配布して八十枚を超える回答が寄せられるなど非常に住民の感心は高いと――紹介しました。
兵庫の地域医療を守る会の今西(筆者)が、アンケートの中間集約結果にもとづき、市民病院は総合病院であり、救急部門を充実させ、不採算部門である小児科、産婦人科を担うことへの期待の大きさが示されていること、患者対応の親切さや丁寧さへの感謝の言葉がたくさん寄せられていることを報告しました。
日本共産党の長谷川美樹三田市議が、市民の力を合わせて市民病院として存続させてきた経過を報告。――三田市当局は病院の赤字を経営形態見直しの必要性にあげているが、病院会計に繰り入れしている十八億円のうち、十六億円は建設費の償還分や政策医療分など法定内繰り入れであり、赤字は二億円にすぎない。医師、看護師が二十四時間三百六十五日奮闘し、多くの救急患者を受け入れ、三百人から四百人を越える出産もあり、ベッド稼働率は八〇%と高い。病院改革新プランへのパブリックコメントも五十一人・百八件が寄せられて市民の関心は高いのに、当局の検討会議は原則非公開で、市議会では指定管理を求める声も出されている。住民が力を合わせて市民病院を守るときだ――と訴えました。
参加者からは、「アンケート活動に参加して、住民の市民病院への期待の高さを実感した」「神戸市北区でも済生会病院を守り統合再編を許さない取り組みを開始する」「病院職場でも頑張るが地域の住民の声が一番」などの発言が続きました。
三田の会の奥村利雄事務局長が、市長への申し入れや市議会請願、住民署名、駅頭やスーパー前宣伝の取り組みを提案し、参加者全体で確認しました。
アンケートは七月二十六日時点で六百七十九人から回答が寄せられ、結果全文は兵庫の地域医療を守る会のホームページhttp://www.geocities.jp/hyogo_iryo/に掲載されています
(今西清=兵庫の地域医療を守る会代表)

(兵庫民報2017年8月6日付)

「大和堆」問題で漁業者と懇談

金田峰生

日本の排他的経済水域にある日本海の「大和堆」で北朝鮮船籍と思われる不審船が違法操業を行っている件について、七月二十五日に浜坂漁協組合長や地元漁業者からそれぞれ話を聞きました。
不審船については、二〇一五年秋、浜坂の漁船が大和堆付近で、「幽霊船のような」黒い五トン以下の小さな船がイカをとっているのを発見、水産庁に通報しました。
翌年は六月から不審船が出没。隻数も数十隻にふえていました。そして今年は百隻を超える不審船が、「流し網漁」と言われる、日本国内では禁止されている漁法でイカをとっているのが目撃され、さらに警告する水産庁の船に銃口を向けるという「事件」まで発生しています。流し網はスクリューに絡まり危険なこともあり、ある漁師は甘えび漁を断念、被害額は一航海あたり推計千五百~千六百万円といいます。
最近「イカがとれない」状況が続き、燃油高騰もあって、当時十隻あった浜坂のイカ釣り漁船が今では三隻になってしまいました。今度の事でまた漁業が衰退しかねません。
ある漁師は、「安倍政権は拳をただ振り上げるだけでまともな外交がないから事態は一層悪くなっている。力の対応だけでは報復合戦になり私たちは余計に危険になる。道理に立った外交で主権を守って欲しい」と訴えました。
日本共産党は一貫して北朝鮮とも話し合いルートを確保し、道理ある平和外交で問題を解決する道を提案しています。
今回の問題解決のためにも尽力します。
この懇談には、谷口功新温泉町議が同行しました。
(国会議員団兵庫事務所長・党県農林漁民部長)

(兵庫民報2017年8月6日付)

西宮革新懇が大門参院議員の講演会開く


西宮革新懇は七月二十七日、西宮市内で「日本経済発展の道筋」と題した講演会を開きました。百三十人を超える人が参加し、「個人の尊厳を守り、国民生活と日本経済をよくするためには、どうしたらいいのか」ということを、大門みきし参議院議員と一緒に学びあいました。
大門議員は、憲法改悪の特別の使命と執念を持ったのが安倍首相であることを解明し、大道である「市民と野党の共闘」で安倍内閣を打倒するチャンスであることをまず強調しました。
さらに、今、経済全体は株主の利益を第一に考える株主資本主義になっているが、以前の日本経済は、人間を、社員を大事にしていたこと、株主資本主義は中間層を没落させ、その不満の矛先を「既成政治」「既成政党」に向かわせ「第三勢力」台頭の要因になっていること―を解明するとともに、人々が豊かになってこそ、企業も発展することを強調しました。
そして、「経済政策」としての賃金引き上げの重要性、社会保障の充実の重要性を強調し、日本経済の再生・発展の道筋を解明しました。
参加者からは、「情勢、経済……堅苦しいテーマをわかりやすく、楽しく学ぶことができました。社会変革へできる形で取り組んでいきたい」など多くの感想が寄せられました。
(樫村庸一)

(兵庫民報2017年8月6日付)

漁港でのカワウ被害について堀内議員らが取り組み

日本共産党の堀内照文衆議院議員、新町みちよ兵庫九区予定候補らは、淡路の漁業者からよせられた、カワウ被害について対応を進めています。
ここ数年、カワウが激増し、港の堤防などにいて、漁師がリリースした魚やタコを食べてしまう被害が出ています。
淡路の仮屋漁港では、百羽以上のカワウが、タコやハモを捕食している様子が目撃されています。
カワウは一羽で一日約五百グラムも食べるといわれており、漁業被害に加え、「生態系が壊れかねない」との心配の声が出ています。
堀内議員がさっそく環境省担当課を呼んで国の対策メニューや全国の経験を聞き、対応を求めました。
新町氏は入江次郎県議(農政環境委員)を通じて、県当局から実態を聞き取り、淡路での実態や漁業者の声を紹介し、対策を求めました。
カワウ対策は、内水(川や湖)での被害対策は進んでいるものの、漁港などの例は兵庫が初めてです。
県は八月から計画を立てて、地元と共に適正保護に乗り出すとしています。
対策は、行政と地域住民が協同し、広域で行う必要があり、先日再選を果たした、かまづか聡淡路市議も漁協との連携を進めています。
今後、専門家の協力を得ながら生態調査や管理を行うことになりますが、予算の確保が不十分です。市・県・国の本格的な援助が求められています。
(金田峰生=国会議員団兵庫事務所長・党県農林漁民部長)

(兵庫民報2017年8月6日付)

もともと低い従来の生活水準をいっそう低下させた基準引き下げ

新生存権裁判――原告側が実態を裁判所に示す

「新生存権裁判」(生活保護基準引き下げ違憲訴訟)の第九回期日の弁論が七月二十日、神戸地裁で行われれました。
原告側は、第七準備書面(生活保護を利用する人たちがどのような世帯であるのかを明らかにして、今回の生活保護引き下げで原告らが被った被害の実態を論じる)と第八準備書面(生活困窮の要因が基準額の低さにあることを指摘する)と第九準備書面(今回の基準引き下げが、なおいっそう生活を困窮させていることを明らかにする)を陳述しました。
「陳述」を口頭で行わず書面を提出するだけで、傍聴者にその内容がわからない裁判もありますが、今回、原告側弁護団はこれら準備書面の要旨をスライドにし、法廷で上映しながら口頭で陳述。傍聴者にもわかりやすい裁判となりました。
そのうち第九準備書面部分の概要を紙面で再現してみました。
(文責編集部)
*
原告第九準備書面は、日本福祉大学社会福祉学部の山田壮志郎准教授の意見書「生活基準引き下げの生活への影響」に即して、生活保護基準引き下げが、憲法二五条の保障する「健康で文化的な最低限度の生活」のうち、従来から低い水準に置かれていた被保護世帯の生活の質をいっそう低下させ、最低限度すなわち「生活必需項目」の側面すら脅かすものであったことを明らかにしています。
生活保護基準の引き下げは二〇一四年八月から実施されました。山田氏は、厚労省が引き下げ前の二〇一〇年に実施した調査と同じ項目について、引き下げ後の二〇一五年九月から十六年一月にかけ再調査しました。一〇年調査は生活保護を利用する世帯と利用していない世帯を対象とし、一五~一六年調査は生活保護基準引き下げ違憲訴訟の原告を対象に行われています。

○普段の生活




食事については、食材の新鮮さ、栄養バランスで三〇㌽近く下落。規則正しい食事も二〇㌽下落しています。
被服については、外出着の購入や、年一~二回の下着購入で二五㌽以上の下落があります。
二~三日に一回以上の入浴は一六㌽低下しています。(スライド①②、数字の単位は%と㌽)

○家族・親族・近隣の人々とのお付き合い



家族・親族・近所の人々の交流は二〇㌽前後の下落が見られ、プレゼントや会食招待などをしている生活保護世帯はもはや一割程度にとどまっています。(スライド③)

○臨時の支出



臨時の外食、雑誌購入や正月行事のお祝いなども二〇㌽以上の下落があり、三割程度にとどまっています。(スライド④)
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こうした実態から、生活保護基準引き下げは、生活保護費によっても「健康で文化的な最低限度」の生活を下回るような過酷な状況のなかで、なんとか生活をつないできた世帯に対し、誤った検証に基づき生活保護基準の引き下げを断行し、その結果、これまでの水準を下回る生活を余儀なくされた人びとが続出していることが明らかであり、この裁判で争われている生活保護基準引き下げ処分が違法であることを示しています。

(兵庫民報2017年8月6日付)

観感楽学

七月に九州北部を記録的な豪雨がおそいました。福岡や大分県で死者、安否不明の方、家屋や道路、鉄道などに大きな被害をもたらしました▼被害の大きかった福岡県朝倉市へ人生はじめてのボランティア活動に参加してきました。時間の都合もあり短い時間の参加でしたが、少しでもお役に立てれば幸いとの思いでの参加でした▼朝倉市朝倉球場にあるボランティアセンターで登録。事前説明を受け現場へと向かいます。任務は駐車場整理でした。簡単な作業といえ炎天下の作業は体にこたえます。でも被災された方のことを思うと暑いなどと言ってられません▼ボランティアセンターの職員からの事前説明で「被災された家の方が望んでいる作業以外は絶対にしないで下さい」と注意がありました。被災された方の家に入り込んで作業する場合、良かれと思って行った作業が、その家の方にとっては迷惑だったりしてトラブルとなるそうです。被災者は身も心も弱りきっています。こちらも察しないといけないでしょう▼朝九時にボランティアセンターへ行くと全国から集まったボランティア登録を待つ長蛇の列。これを見るだけでもなんか温かい気持ちになれます。(ふ)

(兵庫民報2017年8月6日付)