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2017年3月26日日曜日

兵庫民報2017-03-26

目  次/

  • 兵庫県日本共産党後援会が総会/
  • 堀内照文エッセイ「国民の願い実現と政治変える力へ」/
  • 緑の党市議・みなせんメンバー、堀内・上田氏らと西宮で街頭演説/
  • 尼崎革新懇総会で松田県委員長講演/
  • 日本共産党県議団が組み替え提案/
  • 契約の自動更新を:「モトコーを守る会」/
  • “兵庫県も原発に反対してよ”デモ/
  • 市民が守ってきた非核「神戸方式」/
  • 国のひどい姿勢をあらわにした法廷/
  • 奨学金・学費:日本科学者会議兵庫支部がフォーラム/
  • 新入生の願い・関心にこたえ春の連続講座を開催/
  • クリスタル短歌の会から/
  • 観感楽学/

兵庫県日本共産党後援会が総会

安倍政権打倒・野党連合政権実現・野党と市民の共闘発展と日本共産党躍進へ力尽くそう


兵庫県日本共産党後援会は第三十九回定期総会を三月二十日、新長田勤労市民センター大会議室で開き、各地・各分野の後援会の二百四十人が参加し、二〇一七年の活動方針などを決めました。
活動方針は、選挙での政治目標として次のことがらを確認しました。

国政選挙

次の総選挙を安倍政権を倒し、野党連合政権へ一歩を踏み出す選挙とするため――
①兵庫の十二の選挙区で野党と市民の共闘を本格的に発展させ統一候補を擁立するため▽各選挙区でも魅力ある共通公約・共通政策づくりへ協力▽本格的相互推薦・相互支援の実現▽統一候補の勝利をめざす。
②日本共産党の躍進へ、▽比例四十六万票(有権者比一〇%)獲得をめざし、「近畿は一つ」を貫き近畿で百八十万票・五議席以上の獲得をめざし▽小選挙区必勝区の兵庫八区(尼崎市)での堀内照文議員の勝利をめざす。
さらに、二〇一〇年代に得票率二〇%、比例得票六十万票を実現し、参議院兵庫選挙区での議席を獲得、勝ち抜く衆院小選挙区を広げる。

地方議員選挙・首長選挙

①県知事選、神戸市長選、宝塚市長選など首長選挙を新しい情勢にふさわしく攻勢的に位置づけ、野党と市民の共闘を発展させる立場で取り組む。
②地方議員選挙では、第一党をめざし、議席占有率、議案提案権、空白克服の三つの目標での前進をめざす。
③東京都議選を「わがこと」として勝利へ力をつくす。

選挙方針の発展へ

新しい情勢にふさわしく選挙方針を発展させるため――
①野党共闘の前進と日本共産党躍進を一体追求する大方針を堅持する。
②市民・国民とともにたたかう選挙戦にするため党機関と相談し、すべての支部に対応した単位後援会を確立・強化し、後援会ニュース定期発行にとりくむ。日本共産党に新しい注目を寄せ、応援しようという人々が参加しやすいよう活動を思い切って改善する。
③全有権者を対象に「政治は変えられる」という希望を届ける宣伝・組織活動を行い、SNSなどと従来の活動との相乗効果を発揮させる。
④「マイ名簿」にもとづいて全国的なつながりをいかして対話・支持活動を日常的に行う。テレデータによる「声の全戸訪問」にも協力する。
⑤若い世代の悩みをよく聞き、解決への政治的方向を語るという双方向の姿勢で、ともにたたかう選挙にするため知恵と力をつくす。

後援会の体制確立と活動の発展方向については、①県内すべての市町、区に行政区後援会をつくり、会員拡大を強め、ニュースと名簿づくりへパソコン講座を開催する②単位後援会の活動を、選挙戦をたたかう基礎に③分野別後援会を恒常的に発展させる。
後援会活動の強化方向については、早急にすべての後援会がニュースをつくり、届け、対話し、配布網を広げる。会員相互の人間的つながりの強い後援会をつくる、労働者や住民の願いや要求に向き合いその前進のため活動する、会員相互の交流と親睦を深める上で欠かせない楽しい活動にも取り組む。

山下副委員長が講演

講演する山下副委員長

総会議事に先立って、小選挙区予定候補が勢ぞろいし、堀内衆院議員(比例近畿・八区)が代表して決意を表明。松田隆彦党県委員長が挨拶しました。
また、憲法が輝く兵庫県政をつくる会の津川ともひさ氏が、県知事選勝利への決意をこめ挨拶しました。
その後、山下芳生党副委員長・参院議員が記念講演をしました。
山下氏は、直近の国政選挙となる総選挙で、①野党と市民の共闘の発展で自民・公明と補完勢力を少数に追い込む②日本共産党の第三の躍進を大きく発展させる―を目標としてあげ、兵庫で比例四十六万票獲得、兵庫八区での堀内衆院議員をはじめ小選挙区でも勝利をと訴えました。
被災者支援・借り上げ住宅問題をはじめとする堀内議員の国会での奮闘や、森友学園問題での日本共産党議員団の活躍を紹介し、「党綱領の統一戦線方針が国政を動かす新しい時代が始まっている。総選挙勝利を前面に、強く大きな党と後援会をつくりましょう」と呼びかけました。

堀内照文エッセイ「国民の願い実現と政治変える力へ」

日本共産党衆院議員 堀内照文

国会は、いよいよ森友問題が、政権中枢に問題が及ぶところまできました。本紙の発行は、籠池氏に対する証人喚問の後ですので、さらに進展があるかもしれません。
もちろん国会は森友問題だけではありません。内心の自由が侵される重大な共謀罪も閣議決定、法案提出の重大局面。南スーダン日誌は、わが党の笠井亮衆院議員が指摘したとおりに、陸上自衛隊でも保管していたことが明らかに。
改憲の野望を改めて露わにした安倍総理は、自民党総裁任期の延長もやってのけましたが、この直後にとある会合でご一緒した自民党の大臣経験もある重鎮が、「自分で権力を強めるなんてヒトラーへの道だ」ときっぱり。
その国会で私は、この間、予算委員会、厚生労働委員会、災害対策特別委員会で質問や討論をしてきました。
国鉄時代の負債を国民に押し付けながら不動産業などで利益を伸ばしてきたJRが、もうけのために商店街を壊すことは許されません。元町高架通商店街の追い出しで大臣は杓子定規な答弁ながら「理解を得ながら事業を進めていただきたい」とは述べました。
介護の保険外しで、安上がりな担い手で済ませようとの方向では、専門職の処遇も、事業所の経営も悪化し、利用者締め出しの重大事態に。この質問では某与党ベテラン議員が「いい質問だ」と声をかけてきました。
雪害ではビニールハウス復旧支援へ「迅速、的確に対応したい」、災害援護資金返済免除では「自治体判断でというのはこれまで通り」との答弁を引き出し、借り上げ住宅問題ではこれまでの「丁寧な対応が必要」との答弁に「個別の事情を勘案して」の文言が加わりました。
一つひとつの質問を、願いの実現と政治を変える力へと、今後も思いを込めて頑張ります。

緑の党市議・みなせんメンバー、堀内・上田氏らと西宮で街頭演説


日本共産党西宮・芦屋地区委員会は三月二十日、阪急西宮ガーデンズ前で街頭演説を行い、堀内照文衆院議員(比例・八区=右端)、上田さち子(七区=左から2人目)の両予定候補とともに、みなせん@西宮・芦屋の八木和美さんと松谷卓人さん(中央)、緑の党のよつや薫西宮市議(左端)が、野党と市民の共闘を広げ、安倍政権を倒そうと訴えました。

尼崎革新懇総会で松田県委員長講演

県内でも共同が前進「革新懇が出番」

尼崎革新懇(平和と民主主義・革新統一をすすめる尼崎の会)は、三月十八日、尼崎市内で第十四回総会を開催しました。総会の第一部では、松田隆彦日本共産党兵庫県委員長が「兵庫における市民と野党の共闘と今後の展望」と題して記念講演を行いました。
松田県委員長は、今、戦後かつてない大激動がおこり、野党と市民の共闘、統一戦線の力が政治を揺るがしており、先々の話ではなく焦眉の課題として野党連合政権の実現の展望が開かれている「新しい時代」が前進していると強調。――一昨年の戦争法反対のたたかいで市民革命的な動きがわき起こり、日本共産党が野党共闘と戦争法廃止の国民連合政府実現を呼びかけたこと。昨年の参院選で三十二の一人区すべてで野党統一候補が生まれ、うち十一選挙区で勝利したこと。続く新潟知事選でも勝利し「本気の共闘」の実現が自民党政治を打ち破る「勝利の方程式」となっていること――を紹介しました。
また兵庫県内でも各都市での共同のたたかいを基礎に野党共闘の機運が前進していることや、戦争法、原発、共謀罪、働き方などの課題で従来の枠組みを超えた共同の運動が前進しており、野党共闘実現の原動力は国民、市民のたたかいであることを強調し、共同の運動を前進させ統一戦線に発展させるうえでも「今こそ革新懇が出番」と訴えました。
総会の第二部では総会に対する報告と提案が行われ、今年度の方針を討議、確認。また代表世話人、世話人、事務局の役員を選出しました。

日本共産党県議団が組み替え提案

暮らし支える予算に


日本共産党県議団は、十六日の兵庫県議会予算特別委員会で十七年連続となる県予算の組み替え提案を行いました。入江次郎議員が提案説明をしました。
入江議員は、井戸敏三知事提案の新年度予算案が県「行革」で福祉医療制度などを後退させながら、パナソニック一社に、姫路工場だけでも七十億円もの補助を行ってきたことを批判。「地域創生本格化」予算と称される提案に対し、「ロボット、航空分野、先端医療などを成長産業と称し『選択と集中』を進め、農業分野でも大規模化、輸出型を誘導する事業などが目立ち、県内に今ある中小企業の底力を最大限くみつくし、いかしたものになっていない」として、組み替え提案の説明をしました。

不要不急事業1.8%削るだけでも

組み替え提案は、無駄・過大・不急等の事業八十八項目・三百三十九億円(一般会計の一・八%)を減らし、そこから生み出した一般財源八十九億円、特定財源四億円の計九十三億円を県民要求実現のための予算に充当しています。
とりわけ大企業呼び込み型の産業立地補助金(十四億円)や、神戸・但馬空港関連予算、高速道路など不要不急の公共事業の削減で財源を確保しています。

子育て・教育、労働、中小企業、原発ゼロ

子育て・教育の充実として、大学生向けの給付制奨学金の創設、中学三年まで全県での医療費無料化、小学六年までの少人数学級の実現のための予算を計上しました。
社会問題となっている過労死・働き方の問題では、県として「過労死ゼロ宣言」を行い推進する事業費、長時間労働是正・インターバル制を導入する中小企業への補助を計上。労基法違反にあたるほどの長時間労働が問題となっている土木事務所などの職員増も盛り込みました。
さらに中小企業向けには、正規社員雇用への助成や住宅リフォーム制度創設などを予算化。原発ゼロ、自然エネルギー充実のために、太陽光パネル設置補助や、自然エネルギー潜在力調査費用などを盛り込みました。

老人医療費助成復活など「行革」中止

「行革」関連では、最終二カ年プランで削減される老人医療費助成制度を復活し、保育士の処遇改善の予算などを増額しています。またこれまでの「行革」で削減された重度障害者(児)医療費助成の世帯合算をやめ、私立高校生徒の授業料軽減の県単独分の削減を中止する予算としています。
*
他会派は、「海外渡航費半額や朝鮮学校への補助増額などに賛成できない」(自民)、「福祉、教育など中長期的な課題で、財政的にすぐには難しい」(公明)、「趣旨は理解できるが、一方的なもので混乱する」(県民連合)、「住基ネット関連、関西広域連合などの削減に反対」(維新の会)などとして反対。井戸敏三知事提案の予算に賛成しました。

2017年度県予算案組替え提案の主な内容

※数字は概数。△は減額。「新」「復活」以外は予算増額分
1.子育て、教育への支援を強める
大学生の給付制奨学金創設1.2億円
こどもの医療費を中学卒業まで、通院・入院とも無料化60億円
35人学級を小学校6年生まで実施8.6億円
難病医療費の非課税者の無料継続4300万円
2.「過労死ゼロひょうご」を促進する
「過労死ゼロひょうご」促進事業費100万円
長時間労働是正、インターバル制導入中小企業支援事業費3億円
若者向けワークブック充実・増刷費670万円
県土木事務職員費1.4億円
3.県「行革」影響の回復
①「最終2カ年行革プラン」前に戻す
復活老人医療費助成制度5.8億円
保育士等の処遇改善の予算増1.1億円
老人クラブ活動強化事業費補助増2500万円
シカ有害捕獲予算の増額2300万円
②以前の県「行革」での削減分を回復
重度障害者(児)医療費助成(世帯合算をやめる)1億円
私立高校生徒の授業料軽減(県単分の削減中止)9800万円
バス対策事業費400万円
ひとり親家庭医療費助成5800万円
看護師学生就学資金貸付金の復活2200万円
4.地域経済の振興、防災・減災対策、再生エネルギーすすめる
中小企業における正社員転換支援1.8億円
中小企業振興会議費100万円
民間住宅の耐震化の促進1.2億円
復活住宅用太陽光発電設備設置補助1億円
自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費600万円
民間住宅リフォーム、バリアフリー事業の拡充9400万円
5.不要・不急の事業の見直し、県民合意のない事業を見直す
①産業立地補助を削減△14億円
②不要・不急の公共事業等の削減
神戸空港、但馬空港など空港関連△11億円
道路関連の事業△129億円
大規模な林道・農道△2.5億円
国が負担すべき国直轄の公共事業等△83億円
③問題のある事業や県民合意のない事業など
関西広域連合の分担金△3.1億円
自衛隊員募集事務費△100万円
警察の報償費△4500万円
不公正な同和行政が残っている事業△3.1億円
部落差別解消推進法にもとづくパンフレット作成△50万円
マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連△5億円
④議員の海外渡航費の見直し
友好都市訪問の公式行事のみ人数限定で50%カット△600万円

組み替え提案の規模

区分 予算額 増減額 内訳 編成替え後の予算規模
減額 増額
一般会計 1兆9038億円 △246億円 △339億円 93億円 1兆8792億円
予算額に対する割合 -1.3% -1.8% 0.5%

契約の自動更新を:「モトコーを守る会」

「モトコーを守る会」が三月七日、神戸市内で六回目の会合を持ちました。
JR西日本が元町高架下商店街(モトコー)に立ち退きを求めてから約一年が経ちます。この間、「モトコーを守る会」の運動と、堀内照文衆議院議員、神戸市会議員団の議会論戦などで、JR西日本が立ち退きを求めるために挙げた「耐震化が必要」「防火・防犯対策が必要」という根拠について、「国が必要としている耐震化は済んでいる」「防火・防犯対策もできている」ことを暴露し、さらに「高架下は借地借家法の適用外」という話も、「一概に排除されない」ことを確認、JR西日本の契約更新拒否・立ち退き要求には正当な理由がないことを明らかにしてきました。
会合ではこれらの成果を確認し、契約の自動更新を求めることを改めて確認しました。
また、「リニューアルも必要ではないか」という声には、「リニューアルと契約更新とは別の話」であり、「契約更新を勝ち取って、これからのモトコーをどう盛り上げていくか、みんなの知恵と力を結集しよう」と話し合われました。
「モトコーを守る会」は、現在取り組んでいる「借地契約の更新を行い、今まで通り営業が続けられるよう元町高架通商店街の存続を求める署名」を集約し、JR西日本と神戸市に提出し、懇談を求めるとしています。
会合には森本真神戸市会議員、こんどう秀子兵庫一区予定候補、金田峰生国会議員団兵庫事務所長も参加しました。

“兵庫県も原発に反対してよ”デモ

原発なくす会・さよなら原発アクション・憲法共同センター・市民デモHYOGOが共同で


「兵庫県も原発に反対してよ!いのちとくらしを守るデモ」が三月十九日に行われました。三宮・東遊園地の集会後、大丸前を通り県庁前まで約五百人が「原発いらない」「福島は終わってない」「アベ暴走政治とめよう」などのコールを響かせ休日の繁華街で大きな注目を浴びました。
「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(原発なくす兵庫の会)」「さよなら原発神戸アクション」「憲法改悪ストップ兵庫県共同センター」「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」が共同して開催したものです。
*
出発前の集会では、「原発なくす会」の津川知久代表が挨拶し、「原発なくす会」が一月におこなった兵庫県との交渉で県は原発再稼働について「意見を言う立場にない」と回答、県議会でも井戸敏三知事は「原発のことを私に言われても困る」と答弁するなど、国の原発推進政策に追随し、県民の命を守る立場にはまったく立っていないと批判。原発避難者訴訟で国と東京電力に賠償を命じた前橋地裁判決にも触れ、自治体・政治のあり方が問われていると指摘し、原発をなくす政治への決意を表明しました。
福井県小浜市・明通寺住職で原発設置反対小浜市民の会事務局長の中嶌哲演氏がゲストスピーチで、再稼働を許してはならないと全国一番の原発立地の思いを語りました。兵庫県に避難しているお母さんも子どもを連れて参加し、意見表明をしました。

市民が守ってきた非核「神戸方式」

決議42周年記念のつどい


非核「神戸方式」決議四十二周年記念のつどいが実行委員会主催で神戸で開催され、三百五十人が参加しました。
谷口俊之港湾共闘議長は開会挨拶で、開港百五十年の神戸港の歴史の中で、神戸港の三つの宝(①平和のためのクリスマス闘争②六・九行動③非核「神戸方式」)を積み重ねてきた市民と労働者のたたかいの歴史を強調し、「その力で安倍政権を変え、県知事選挙・神戸市長選挙で地方から政治変革のうねりを起こそう」と訴えました。
神戸市原爆被害者の会の立川重則会長が挨拶「ヒバクシャ国際署名」を二〇二〇年までに数億の規模で達成させるために協力してほしいと訴えました。
梶本修史兵庫県原水協事務局長が基調報告。アメリカからの攻撃・圧力をのりこえ、市民が守ってきた非核「神戸方式」の意義がいまあらためて確信になっていることを豊富な資料で紹介しました。
緒方氏
記念講演は、日本原水協常任理事・日本共産党副委員長の緒方靖夫氏の「核兵器のない世界と非核『神戸方式』」。
緒方氏は、今月二十七日から国連で核兵器禁止条約交渉会議が開かれるという画期的な情勢を生み出してきた経過を説明。国連作業部会が採択した報告書を紹介し、法的文書の要素としてあげられているもののなかに、「核積載艦船の入港および領海侵入許可」が含まれること、非核「神戸方式」の先駆性をあらためて思い、記念集会を四十二回積み重ねてきた市民の運動の意義は大変大きいと述べました。
そのうえで、核保有国の激しい抵抗があるが、圧倒的多数の国々の賛同で採択されれば、核兵器の違法性が世界共通の認識になり、核保有国の手を縛る上で大変有効であることを詳しく解明しました。日本政府の態度も批判しました。
北朝鮮の問題にふれ緒方氏は、日本が軍事対応しようとしていることを批判し、日本共産党が提案している北東アジア友好協力構想の優位性にもふれて、世論と運動でこのチャンスを現実のものにすることが必要だと訴えました。
中村元一さんによる琉球古典音楽の演奏が行われ、その後、再度、緒方氏が会場からの質問に答えました。
*
つどいは、二〇一七年非核神戸港アピール「核兵器禁止条約の交渉会議を成功させよう! 憲法九条と非核『神戸方式』が輝く神戸市、兵庫県、日本をつくりましょう」を拍手で採択しました。
最後に津川ともひさ県原水協代表理事が閉会挨拶をしました。

国のひどい姿勢をあらわにした法廷

―ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記―

副島圀義
二月二十八日と三月十四日(大阪地裁第七民事部)、三月七日(大阪高裁)、同十五日(地裁第二民事部)と、三つの原告グループそれぞれの弁論が続きました。

二月二十八日と三月十五日には、地裁の二つの法廷でそれぞれの裁判長に、愛須勝也弁護士が次の実例を示して、国の被爆者行政の姿勢を改めさせるよう求めました。
――淡路登美子さんは二十三年前、胃がんになって以来、三度の申請が却下されて提訴に踏み切ったのですが、国は新年早々、何の理由も説明せず、遅らせたことへの謝罪もなしに「認定通知」を送り付けたのです(一月二十二日付本欄で既報)。国のいい加減さ不誠実さをあらわにしたものでした。

三月七日、大阪高裁では、尾藤廣喜弁護士が意見陳述。国が放射線被ばくの過小評価のためには手段を選ばず、医師・研究者の良心をもゆがめている問題を取り上げました。
――地裁段階で、甲状腺機能低下症などについて「放射線被ばくの影響は否定できない」ことの論拠になった論文の執筆医に国が働きかけ、「私はそんなつもりで書いていない」という「意見書」を出させたケースです。
弁護団は、昨年はその内の長滝重信氏、今回は永山雄二氏の「意見書」への、全面的な批判を展開しました。
永山医師は「わが論文はマウスへの放射線照射が甲状腺に影響を与えたと述べただけで、ヒトに影響があるとはしていない」というのです。
尾藤弁護士は「ヒトとマウスには九〇%の相同率があるからこそ動物実験として適切」「ヒトに当てはまらない動物実験、などというものは動物虐待だ」と厳しく批判しました。

三月十四日には、原告本人と医師の証言がありました。
宮本義光さんは当時七歳。長崎の爆心地から南西一・八キロメートル、友達の家の縁側で被爆。爆風で飛ばされて気を失います。翌日、爆心地のちょうど反対側に位置する母の実家に向かいます。以後十日近く、爆心地から一・五キロメートルほどの防空壕で過ごしたあと、五島に渡りますが、その頃から下痢が続きます。
集団就職で大阪に出てトラックの運転の仕事につきますが、その頃からまた、下痢になりがち。胃がん、脳梗塞、狭心症と次々病気にかかり、狭心症で認定申請しますが却下され提訴。
国側代理人の「尋問」はいつもの通り「喫煙や飲酒が原因ではないか」「原爆手帳の申請書には下痢したことが書いてない」等々でしたが、言うにこと欠いて「仮に宮本さんが被爆していなくても狭心症になったかもしれないことを認めるか」と言って裁判長からたしなめられる一幕もありました。

四回の裁判を振り返ってみて、昨今の安倍政権の腐敗・堕落ぶりを法廷でも実感した次第です。

奨学金・学費:日本科学者会議兵庫支部がフォーラム

学びと生活を保障、未来ひらこう


日本科学者会議兵庫支部が市民フォーラム「青年・学生の環境を考える」を三月十八日、神戸市勤労会館で開催。神戸大学大学院で教育行政学を担当する渡部昭男教授と、奨学金問題と学費を考える兵庫の会の佐野修吉事務局長が報告しました。
渡部氏は、韓国の「半額登録金運動」と国家奨学金制度について、▽大学進学率が八割ながら、「登録金」(入学金・授業料・期成会費)を払うため多くの学生が学資ローンを借りるものの、卒後就職者の三割が非正規で返済できずにいる状況に対し、「半額登録金運動」が起こったこと▽この運動では、韓国憲法の「教育を受ける権利」「教育の機会均等」の侵害だと主張するともに、内需による好循環・内需経済の活性化の議論も加わり、「普遍的な福祉政策」として、大規模な「ローソク集会」も催されるなど世論が高まったこと▽それを背景に、二〇一二年大統領選挙ではいずれの候補も半額登録金を公約に掲げ、当選したパク・クネ大統領が韓国史上はじめて高等教育への給付型奨学金制度を導入したこと―などを解説しました。
佐野氏は、日本では二〇〇〇年ごろから学生の貧困化が深刻化、半数の学生が利用するなど奨学金への依存が高まり、アルバイトで収入を確保していることなどを示すとともに、相談事例から日本学生支援機構の奨学金が「返済能力が判定できないものへの無担保ローン」となっており、サラ金以上の厳しい取り立てが行われている実態を報告。学生の貧困化は人間としての発達・成長を奪っていると批判し、国際人権規約の高等教育漸進的導入規定の保留を日本政府が撤回した以上、制度の抜本的改革が必要だと述べました。
参加者らは学生たちとともに世論をもっと広げ、学費無償化へ運動を広げようなどと議論しました。

新入生の願い・関心にこたえ春の連続講座を開催

民青同盟と日本共産党


三月に入り、民青同盟県委員会と日本共産党県委員会は、大学への進路が決まった新入生向けの宣伝に取り組んでいます。
ある大学の入学手続き宣伝では、「トランプ大統領は差別的で嫌です。戦争法も危険だと思います」「高校の友達は福島県から避難してきています。原発問題にも関心あります」「震災ボランティアに参加したいです」という新入生が民青同盟に加盟しました。
多くの新入生からトランプ大統領をどう見るのか様々な意見が出されたほか、「安保法制は反対です。憲法について学びたいから法学部にしました」「安保法制は決め方がおかしいと思います」と言う声や、「親がシングルマザーで学費が心配です」「バイトしないといけないので、ブラックだったら嫌ですね」といった不安も寄せられました。
*
今年の二月から取り組んできた大学入試宣伝では、受験生・新入生から、安倍政権の暴走やトランプ大統領への危機感、格差と貧困、高すぎる学費、ブラック企業などの社会問題への関心が出され、学び行動する民青同盟が共感されています。
これまで十六回取り組んだ宣伝では、百六十四人がアンケートに答えてくれました。民青同盟の活動で共感することを聞く項目では「被災地ボランティア」「無料塾スタッフ」など社会の役に立つ活動とともに、「ブラックバイトや学費の実態調査、署名集め」「戦争法廃止、原発ゼロのデモと宣伝」「奨学金充実や働くルールを求める国会要請」などの実際に行動して社会をかえることへの共感も多いのが特徴的です。
新入生の中には、十八歳選挙権によって昨年の参院選で投票を経験した人もいるなど、社会の問題への関心や、主権者意識を高めています。
*

民青県委員会と党県委員会は新入生の願いや関心にこたえるため、新入生歓迎企画として大塚秀之・神戸市外国語大学名誉教授を講師に招き「トランプ学習会」(4月15日17時30分、六甲道勤労市民センター会議室E)、石川康宏・神戸女学院大教授が講師の「社会のしくみのかじり方」(4月26日17時、神戸学生青年センター会議室A)を計画しています。

クリスタル短歌の会から

安武ひろ子選

雪の朝ライトに光る凍てた道ソロソロ進みぬ新聞配達
広瀬弘子

こたつにて顔だけ出してテレビみる霙窓打つ寒あけの午後
岡本征子

何もできぬと言いつゝ会費前納する新婦人の友有難きかな
塩野菜美

故郷はこよいも大雪警報なり兄の不在の家は無事かと
長谷川一枝

若き日の仲間の逝くを知りたる日一途な姿消えては浮かぶ
三浦良子

足早に公園横切る私に梅咲いていると声のかゝりぬ
正津房子

寒いねと小猫に声をかけたればじっと見つめてフンと去りゆく
清水淑子

昼寝して寝つけぬ夜は起き出して計画ノート確かめており
森ひろ美

あたたかき人の声と庭の陽と味噌つくりする仲間の寄りて
宮川菊代

わが身体何の自覚もなきまゝに検査三昧の日を送るとは
島田国子

これがあの「山 海へ行く」の結果だと眼下に実感高取山頂
西嶋節子

憲法は交戦権を認めないその気高さに背筋の伸びぬ
平野万里子

観感楽学「同列と侮辱」

「あのような人物と総理大臣である私を同列に扱うのか」これは森友学園問題で安倍首相が追及されたときの国会答弁である。また、その籠池氏が首相から百万円寄付されたと主張したことに対して、竹下亘自民国対委員長は「首相に対する侮辱だ」といって同氏の証人喚問に踏み切った▼「同列」も「侮辱」も、紀元前一世紀に編まれた『史記』などの中国歴史書にあらわれ同じ意味で使われている。楚の国において官僚として「同列」の地位にあった靳尚という人物が、真の愛国者である屈原の有能さをねたみ王に讒言。屈原は排斥され楚は秦に攻められ国王は客死に至る、というのが『史記』の記述である▼ところが、かの問題をめぐっての二人の発言は、カネと地位と力が支配する反社会的集団において「よくもオレの(親分の)面子をつぶしてくれたなあ」「集団の前でリンチにかけてやる」といってるのと同じように聞こえる▼事の本質は二つ。国民の財産を「全体の奉仕者たる公務員」が特定の人物に利益供与を行ったのかどうか。国会が「国権の最高機関」として国政調査権をいかんなく発揮するのか。いずれも日本国憲法のあり方が問われている。;(T)

(「兵庫民報」掲載)