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2017年2月5日日曜日

兵庫民報2017-02-05

憲法県政の会の津川氏、安保関連法に反対する学者らと懇談



憲法が輝く兵庫県政をつくる会(憲法県政の会)の津川ともひさ代表幹事らは、一月二十四日、「安全保障関連法に反対する学者の会」などで活動している県内大学の学者四人と懇談しました。
冒頭に津川氏から、七月に行われる県知事選挙に向けた津川氏と憲法県政の会の政策を紹介しました。「生活を支える県政」「平和にこだわる県政」「原発ゼロをめざす県政」という三つの柱を軸に、最賃一千五百円や給付制奨学金の実現、憲法九条を守り、非核「神戸方式」を生かし、核艦船をどの港にも入港させない、再生可能エネルギーの普及などをすすめていきたいと語りました。
学者の皆さんからは、「バーニーサンダース氏が、大学学費無償化や最賃引き上げで一定の支持をひろげたのを見ても、最賃一千五百円や給付制奨学金実現などの政策は大事。根拠なども含めて政策の充実がいりますね」「大学問題で、私たちの意向をくんだ主張を知事がしていただけるようになると力強い」などの意見とともに、「大学と県政のかかわりはわかりにくいので、もっと研究も必要」「安保法制廃止などもかかげてほしい」などの要望もだされました。
また「トランプ氏への危機感はひろがっているが、大統領選挙では『白人層の雇用をつくる』と疲弊した中間層の心をとらえた。どの層に何を訴えるのかというその手法は参考にできるところもあるのでは」などの意見も寄せられました。
憲法県政の会は今後、この間、新たに運動に立ち上がっているグループなどとも懇談をすすめていくことにしています。

赤穂市議選勝利めざ「日本共産党新春演説会」

市民と野党の共闘で国民の願い実現
悪政の防波堤として共産党市議団の役割重要


少数激戦が予想される赤穂市議選(三月二十六日告示・四月二日投票、定数十八)を前に市内で「日本共産党新春演説会」が開かれ百五十人が参加しました。
立候補を表明している川本孝明(63)、小林とくじ(65)両市議の応援に国会から堀内照文衆院議員がかけつけ、当選から二年の奮闘を語りました。
堀内氏は、安倍暴走政治との対決と同時に、赤穂市御崎のメガソーラー問題では現地調査をもとに経済産業省に質問、従来二千㌗以上としていた事前届出を五百㌗以上に改善させるなど、現実政治を動かしていると具体例をあげて語りました。
また、年金カット法、TPP、カジノ推進の悪法三兄弟の強行採決、五兆円に上る軍事費やリニアに三兆円も投入する安倍政権と国民との矛盾は、かつてなく強まっていると強調。国政では「市民と野党の共闘」の力こそ国民の願い実現の道であり、地方政治では国の悪政の防波堤としての日本共産党市議団の重要性は一層増していると述べ、川本、小林両氏の議席確保を訴えました。
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衆院十二区国政対策委員長の堀ゆずる氏と、安保法制に反対するママの会の向山桂子さんが、戦争法廃止、自衛隊は南スーダンから撤退をなど訴えました。
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川本、小林両市議は、赤穂市で加速する少子高齢化と人口減少を食い止めるには、子育て中の若い世代支援がなによりも重要と強調。この間実施した市民アンケートの結果からも若い世代と同時にお年寄りも安全安心に暮らせる市政実現が必要とのべ、この日参加者に配布したジャンボビラをもとに「学校給食費の無料化」、「国保税の年間一人当たり一万円の引き下げ」、市内コミュニティバス「『ゆらのすけ』の増車・増便」など六つの重点政策を訴えました。
小林とくじ市議は「保育料を二人目から無料にという提案には、若いお母さんから強い支持の声が寄せられている。財源も示した六つの政策をぜひとも実現したい」、川本市議は「関電の石炭火力化、住友大阪セメントの悪臭問題、二つの巨大産廃計画反対など大企業にはっきりものをいう議員団がひきつづき必要」と、それぞれ決意表明しました。(武田信幸=民主赤穂編集部員)
参加者の拍手にこたえる(右から)堀内衆院議員、小林・川本両市議、堀12区国政対策委員長

衆院小選挙区予定候補が党大会をいきいき報告

野党と市民の挨拶に激動する情勢を実感

兵庫9区=新町みちよ氏


新町みちよ衆院九区予定候補は一月二十九日、「淡路の新春の集い」と、明石市の「衣川後援会」「大久保後援会」の各新春の集いで、一月十五日から八日までの四日間、日本共産党の伊豆学習会館で開催された第二十七回党大会の報告などを行いました。
党大会の様子について新町氏は、「兵庫の代議員の席は、会場のど真ん中の最前列、舞台は目の前、最高の場所でした。赤旗の記者さんから、『ここは、よく映りますから、寝ないように』と注意がありましたが、日刊紙、日曜版に本当に良く写真が掲載されていました」と紹介。
新町氏は、「今回は文字通り歴史的な党大会でした。初めて、野党三党の代表が来賓挨拶にこられたのですから。なかでも『日本共産党第二十七回党大会』のタイトルをバックに自由党の小沢一郎氏が挨拶したというのは、格別でした。民進党の安住淳代表代行の『党を代表して安倍政権打倒のため、野党共闘をすすめる』との誠実な挨拶はじめ、『五分でといわれている』といいながら時間を超過して熱く語る他党の方々の姿を間近にし、激動する情勢を実感できました」と実感をこめて報告しました。
また、ミサオレッドウルフさんの「市民は、ずっと前から共闘している」や、中野晃一さんの「リスペクト」に加え「ユーモアを」などの挨拶について新町氏は「いっしょに力を合わせてやろうとするからこその率直な言葉は、ありがたいものでした」と述べました。
新町候補は「全国からの発言に学びながら、九区でも「野党共闘」「市民連合」を築く活動にとりくみましょう。私もその先頭にたってがんばります」と決意を訴えました。

多彩な経験の宝:全国の代議員の発言に感動

兵庫2区=平松順子氏

平松順子兵庫二区国政委員長は、神戸市北区の党支部長会議で、第二十七回党大会の報告をしました。
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平松氏は、志位和夫委員長の結語にもとづいて、大会の全体の特徴を報告しました。
「安倍自公政権とその補完勢力に、野党と市民の共闘が対決する、日本の政治の新しい時代」がはじまった歴史的な党大会だったとし、三野党と一会派と市民団体からの心のこもった来賓挨拶とそれを受けた大会会場の響き合いが、それを見事に示し、考え方のちがう政党が誠実に話し合うことで一致点を見出し、共通の敵に立ち向かえる確信がみなぎった大会であったと強調しました。
全国の代議員からの発言については、①野党と市民の共闘の流れが全国で始まっていること②情勢にふさわしい党をつくる「党建設」のとりくみが「わが地区をこう変えるという大志とロマンを支部と共有して前進している地区委員会の経験」、「楽しく元気な支部会議」の開催に努力することで党員の力をひきだしている経験③「世代的継承」を成功させるための開拓者精神を発揮したとりくみなど、多彩で全面的な経験が宝の山のように次々と発言され、感動と勇気・元気をもらってかえってきたことを具体的に紹介しながら報告しました。
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参加者からは「世界の情勢のとらえ方は」「民主集中制はどのように発揮されているのか?」「メディアについての分析は?」「世代継承をすすめるための工夫は?」などの質問がだされ、平松氏は、決議と報告に沿って説明し、討論が深まりました。

「モトコー」耐震化工事は「ついで」

堀内議員への国交省の説明でJR西日本のごまかし明らかに


堀内照文事務所(衆院第一議員会館)は一月二十六日、「モトコー」問題で、国土交通省から説明を受けました。兵庫県商工団体連合会、神戸親和民主商工会、兵庫民主商工会と金田峰生国会議員団兵庫事務所長が同席しました。
今回の説明で、JR西日本が国交省には、リニューアルの主な目的は防火・防犯対策で、耐震化工事は「ついでに行う」ものだと説明していたことがわかりました。
当初JR西日本は「耐震化工事が必要で、元町高架下商店街の店舗はすべて退去してもらわなければならないから、契約更新はしない」などと説明。ところが既に省令に基づく耐震化工事は終わっていることが明らかになると、「独自基準による追加工事が必要だから」と言い訳をしました。しかし、その言い訳もごまかしだということが今回の聞き取りで明らかになりました。
元町高架下商店街は、防火・防犯についても、日本共産党神戸市議団の質問に消防署などは「改善しなければならないところはない」と答弁しています。
もはや契約を更新しない理由はありません。JR西日本は、これまで通り契約更新を行った上で、今後の事について誠実に話し合うべきです。

日本共産党第27大会決議が経済の打開方向示す

平野喜一郎氏が姫路の3後援会つどいで語る


日本共産党の飾磨・手柄・なだ後援会は合同で一月二十九日、姫路市立図書館飾磨分館で「初春のつどい」を開き四十人が集まりました。
オープニングは姫路労音民族音楽教室「こまの会」の皆さんの三味線と歌「花笠音頭」。会場の手拍子も加わって和やかにつどいが始まりました。
最初は、市会議員の森ゆき子さんが市政報告。「国会答弁で安倍首相は、アベノミクスを続けると述べたが、姫路市で国保加入世帯の八割~九割が年間所得三百万円以下。滞納世帯の八割が年間所得百万円以下。年金で暮らせない高齢者が急増し、介護の負担など生活相談が複雑になるばかり。医療費削減による入院ベッド数削減が含まれた新県立病院整備計画でも、中央卸売市場移転予定地の土壌汚染問題でも、市民と共同し、命と暮らしを守る活動を広げたい。国民との共同で命と暮らしを取り戻す年にしましょう」と呼びかけました。
続いて、経済学者の平野喜一郎三重大学名誉教授のお話。「アベノミクスは完全に破綻した。アベが克服するといった円高・株安・デフレが進んでいる。これに対し、共産党の二十七回大会決議で述べている『格差と貧困をただす経済民主主義の改革』が解決の方向を示している」と述べられました。
懇談では「トランプ米大統領のやり方はうまくいくの?」「利息ゼロはどうすればかえられるの?」「夏目漱石が英語版の『資本論』を読んでいたことを先生のきょうのお話で初めて知った」「マスコミが安倍政権の批判をしないのはおかしい」など語り合いました。
(菊池恵躬子)

神戸電鉄粟生線の再生へ兵庫県が役割発揮を

公共交通神戸電鉄粟生線/沿線住民の足を守る会 松本勝雄

神戸電鉄粟生線は二〇一〇年に神戸電鉄が「毎年十億円以上の赤字が続き、一民間企業ではこの危機を乗り切れない」と〝廃線〟の危機を訴え、自治体や神戸電鉄、住民代表、学識経験者で「神戸電鉄粟生線活性化協議会」をつくり、再生に取り組んできました。粟生線はピーク時の乗車人員千四百二十万人(一九九二年)が二〇一五年には六百四十六万人と半分以下に減少し、存続の危機が言われています。

粟生線の危機はいまどんな状況か


活性化協議会が決めた乗車人員目標七百万人に対し「減少幅が小さくなった」と評価していますが減少が続いています。
北区と西区の「粟生線の会」は十一月に神戸電鉄と懇談、その中で分かったことは――
①粟生線だけでなく、神鉄の屋台骨でもあり粟生線などの「赤字」を埋めている有馬線が沿線高齢化などで通勤客などが減少しており、神戸電鉄全体で毎年の売り上げが一億円ずつ減少している。
②粟生線のさらなるダイヤ削減、サービス削減を計画している。(十二月に三月ダイヤ変更で朝夕のスピードアップと、西鈴蘭台・志染間を一時間四本を二本に半減すると発表)。志染駅と粟生駅間は各駅の改札機をなくし志染駅でいったん乗り換え、車内の収受機で扱う北条鉄道なみのサービスにする。
③こんごさらに粟生線だけでなく、三田線など他の線でも対策を強める。
―これらのことが明らかになりました。
一方、十二月開催された粟生線活性化協議会では、ダイヤ削減などは問題にされず、兵庫県が神戸電鉄連結決算の黒字などを理由に「四十億円五年間無利子貸付スキームの終了」を提起、また、小野市が八月以降欠席しており、その理由が神戸電鉄提出の現在の乗車人員数と「ビッグデーター」が食い違っていて、神鉄側が納得いく説明をしないということでしたが、去年一年でも活性化協議会の運営が混乱することが連続していました。

粟生線へ支援強化し、活性化協議会で県が主導的な役割を

私たち「粟生線の会」はこれらの問題で、兵庫県に粟生線支援の強化、活性化協議会で県が主導的役割を発揮することを要請する申し入れを行いました(前号参照)。
申し入れでは、▽神鉄が黒字とはいえ粟生線の赤字は依然として十億円近くある状態が続いており、粟生線の危機は進行している▽活性化協議会が役割を発揮しきれていない原因は、運営の中心になっている神戸、三木、小野の三市が横並びで、意見の違いが出てくるとどの市も主導することができず前に進めなくなっている――と指摘し、和歌山でも福井でも地方鉄道の危機の際には県が役割を発揮している経験も参考に、兵庫県が事務局を主導するなどその役割を発揮することは粟生線の問題に対処するのに欠かせないと要請しました。
応対した兵庫県の担当者は「粟生線の現状は楽観している」「協議会とは密に連携している」「神鉄のダイヤ改訂は話し合っていて、朝夕のラッシュ時の速達性向上と昼間の時間帯の本数削減ということでマイナスでない」などの回答で、私たちの受け止めとは距離を感じました。

地方鉄道の危機は、北海道や四国、九州などで深刻になっています。
粟生線沿線も危機が続いていますが効果的な対応が感じられません。活性化協議会とは別に「戦略会議」を北播の首長、神戸市、県、神鉄などで行い、「上下分離」などの経営問題を話し合っているようですが、その中味は全く聞けません。
神戸電鉄も、このままのやり方で粟生線を運行することは難しい、粟生線ばかりに注ぎ込むことは他の線の利用者の理解を得られないなどと言っています。
この地域に欠かせない粟生線は、いま、大きな曲がり角にさしかかっていますが、活性化協議会は機能を果たしきれていないように見えます。
困難を突破して前進するために、なんとしても兵庫県が役割を発揮してもらいたいと願っています。

大雪で農業用ハウスなど被害

日本共産党丹波市議団が市長に支援対策を申し入れ

押しつぶされたビニールハウスを前に農家から話を聞く(左から)西本・西脇両市議

一月十四日から十六日にかけて一九七五年十二月以来二十二年ぶりの大雪に見舞われた丹波地域では、民家や農業施設などの被害が徐々に明らかになっています。丹波市の青垣町の遠阪峠で七十六センチメートルを記録したのをはじめ平地でも五十~六十センチメートルの積雪量となり、集落内の除雪が追いつかず、十六日には臨時休校する学校や幼稚園が相次ぎました。
また、雪の重みで民家の軒が曲がり、大木の枝が折れ、校舎の瓦も落ちるなどの被害もみられ、農業用ビニールハウスが、雪の重みで押しつぶされるなどの被害が深刻です。
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ハウスの中

二十三日、金田峰生党国会議員団兵庫事務所長(衆院兵庫十区予定候補)と党丹波市議団の西本嘉宏市議、西脇秀隆市議は、春日町多利と山南町和田の農家を訪ね、被害状況を聞きました。つぶれたハウスの撤去・新設など復旧にはかなりの時間と労力、費用がかかりそうです。
二十六日、丹波市会議員団は、谷口進一市長に対して、「二〇一七年度の予算要望」とともに、「二〇一七年一月大雪被害についての申し入れ」を行いました。

谷口市長(中央)に申し入れる西本(左)・西脇(右)両市議

申し入れは、①被害の実態を早急に調査し公表すること②国や県に対して、「被災農業者向け経営体育成支援事業」の適用はじめ、被災者支援策を講じるよう要請すること③市独自でも、被災者への万全の支援策を講じることなど求めています。
これに対して、谷口市長は、「さっそく上京して、特別交付税などを要請することにしています」などとこたえました。
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これより先の十八日に開かれた議員総会で、西本嘉宏市議団長が、二十七年度地域防災計画の見直しで、災害対策本部設置基準のうち、「積雪四十センチメートル以上」を削除していたことを指摘、改善をすることになりました。また、集落内の除雪に対して、四十センチメートル以上降雪の場合、自治会が行った集落内の除雪経費の助成を求めたことについても、谷口市長は、検討を表明しました。

堀内議員・金田氏が国に雪害支援を要請

丹波での雪害について堀内照文衆院議員は二十六日、議員会館で農林水産省経営局などに政府の対応を聞き、二〇一三年度雪害で発動した「被災農業者向け経営体育成支援事業」をはじめとする支援を要請しました。
当局は、被災農業者向け経営体育成支援事業の発動について「過去に例のない被害とされており、今のところその被害額に及んでいない」とし、共済制度や融資のみの対応になるとの考えを説明しました。
これに対し、堀内議員は、「地域にとっては想定外、まさに〝過去に例のない被害〟で、実情をみれば発動するべきだ」と強く要請しました。
この場には、金田峰生氏も同席、現地の実情を伝え、堀内議員とともに要請しました。
押しつぶされたビニールハウスを調査する(左から)西本、西脇両丹波市議=23日
つぶれたハウスのなか

「学費値下げは本当に実現してほしい」

日本共産党と民青同盟が私大受験生応援宣伝


私立大学の入試が本格的に始まる中、日本共産党兵庫県委員会と各地区委員会は民青同盟と一緒に受験生を応援する宣伝を各地で行っています。
一月二十八日には園田学園女子大(尼崎市)や神戸常盤大学(神戸市長田区)の受験生向けの宣伝を行いました。神戸常盤大でシールアンケートに立ちどまった受験生は「子どもが好きで幼稚園教諭を目指しています。学費の値下げは興味あります」と話してくれました。また、通りがかった中学生からも「学費値下げは本当に実現してほしい。頑張ってください」と激励を受けました。園田女子大でも地域支部や民青地区委員会のメンバーが十人近く集まり、チラシ配布やシールアンケートも行っています。
三十日に行った神戸学院大(神戸市中央区)の受験生向け宣伝ではシールアンケートに立ちどまった受験生の多くが「いまの政治には不満です」と話し、「学費下げてほしい」「ブラック企業には入りたくない」「貧困と格差をなくしたい」などの思いを語っています。中には「学費値下げしてほしい」と学費値下げ署名に協力してくれる受験生もいました。

ひなたぽっころん〈591〉



俳句 新俳句人連盟兵庫支部

神主腰痛立春の治療院

貨物列車行く一番線の寒灯
淳一
被災地に義眼を拾う雪女郎
その子
不死鳥の抱く九条多喜二の忌
俊子
縫い初めは刺しゅうで印す母の名前
由美子
留守番の犬に汲み置く寒の水
まさこ
盆梅の年輪にある戦さ跡
邦子
どんぐり眼の翁の能面梅の花
典子
ポニーテールしてみる古希の三ヶ日
まり子
雪女夫は異国におりまする
れい子
成人式袴姿のやんちゃくれ
くにこ
受験生とアンケートで対話

「みえなくなる被災障害者」

熊本地震に学ぶ――2016年度災害と障害者のつどい


二〇一六年度「災害と障害者のつどい」が一月二十九日、あすてっぷKOBEでひらかれました。兵庫障害者センターの主催、兵庫障害者連絡協議会、全国障害者問題研究会兵庫支部、きょうされん兵庫支部、全国福祉保育労働組合兵庫地方本部の共催での開催です。
今回は「熊本地震で試された災害時要援護者に対する支援」をテーマに、被災地障害者センターくまもと事務局長の東俊裕熊本学園大学教授の基調講演、きょうされん兵庫支部の松本多仁子氏の熊本地震支援の実践報告、神戸大学大学院工学研究科の大西一嘉准教授の福祉避難所開設体制についてのアンケート調査報告と、この三氏によるパネルディスカッションが行われました。


東氏は、昨年四月の熊本地震でも、障害者に対する合理的な人的・物質的配慮が十分でなく、多くの障害者が一般避難所を利用できず、崩れかけた家や車中で暮らし続け、その存在が見えなくなり、情報や支援物資が届かなかったこと、仮設住宅もバリアフリー化など合理的配慮に欠けていることなど、被災障害者の困難な状況を告発しました。
福祉避難所については、本来一般避難所で対応できない重度の人の二次避難所であるはずが、かえって、軽度の人までをも一般避難所から排除する傾向をもたらしたと批判しました。
そのうえで、生活環境再建に向けたニーズは定型的福祉サービスではまかなえず行政の対応責任が問われること、日ごろの福祉サービスの貧しさが災害時に顕在化し、震災後の継続的な地域生活の支援の必要性を訴えました。
また、この間、障害者への支援情報を「SOS」ビラとして伝えて来た活動や、益城町に仮設を建て開設した被災地障害者センターの活動を紹介し、支援を訴えました。
松本氏は、東日本につづき熊本での支援にとりくんでいる内容を報告するともに、阪神・淡路大震災での経験を十分に伝えることができてなかったのではないかと自問し、命は何物にも代えがたいもの、暮らしは命を守る砦、それをつくりだすのは私たち一人ひとり、それを守ることは公的な責任ではないかと強調しました。
大西氏は、熊本県内の自治体と福祉避難所協定を結んだ施設などを対象にしたアンケートの結果を報告。要援護者名簿の活用などの課題についても提起しました。

観感楽学

大震災から二十二年、今年も開催された1・17メモリアル集会ですが、主催した復興県民会議の岩田さんによると「今年はとても好評だった」そうです。特に、メインゲストとして講演した陸前高田市長・戸羽太さんの話が感動的で、多くの参加者の心をとらえました。戸羽市長といえば、3・11東日本大震災で、妻を津波で失い、百十一名の職員の命が奪われるという悲惨な体験をしながら、復興に命をかけてきた市長です▼氏は講演で、「借り上げ住宅問題」を取り上げ、神戸市や西宮市が阪神・淡路大震災の被災者を裁判にかけたことに「行政が被災者を提訴するなど信じがたい行為だ」と驚き、「人として許せない」とのべ、大きな拍手を受けました▼ところで、先日、東灘区借り上げ連絡会が「相談会」を開き、四人の弁護士が応対しました。入居者たちは、弁護士から詳しく話を聞き、ほっとしながらこんな話を聞かせてくれました▼相談に来ていた九十一歳の女性ですが、昨年夏、自宅のふろ場で倒れ、まる二日間、身動きできないままでした。彼女を助けたのは、同じ住宅に住む仲良しの女性で、彼女が二日間現れないのを不審に思い部屋を訪ね、動けなくなっていた彼女を発見したそうです▼「虫の知らせというか、なんで出てこないのかと思ってね…」「助けてくれて本当にありがとう」▼被災者はこうして今も「絆」で結ばれ助け合って生きているのです。;(D)
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(「兵庫民報」掲載)