阪神・淡路大震災の教訓生かしひとりひとりの尊厳守る社会へ
阪神・淡路大震災から二十二年の一月十七日、各地でメモリアル行事がおこなわれました。神戸・諏訪山では、実行委員会主催の「早朝追悼のつどい」がおこなわれ、地震発生の午前五時四十六分の黙禱、「神戸・希望の鐘」点鐘、トランペット演奏などで犠牲者を悼みました。
安田秋成氏(被災者ネットワーク)と石原顕正氏(NPO法人災害危機管理システムEarth)が主催者あいさつ。安田氏は、「このつどいを始めたころ六十代だった人もいまは八十代。私も九十一になった。しかし、あの時、丈夫で安全な家があればあの六千数百人は亡くなっていなかった。その無念さを思うと、つどいは続けたい」と語りました。
石原氏も「犠牲を無駄にせずどう生きるか、自然災害の被害をいかに少なくしていくか、教訓を生かすため、阪神・淡路大震災を風化させないよう十五年目に『神戸・希望の鐘』を鋳造した。生きているわれわれの糧ともしましょう」と呼びかけました。
玉川侑香氏も追悼の詩を朗読しました。
参加者は石原氏らの読経の中、『希望の鐘』をついて犠牲者を悼み、松平晃氏のトランペット演奏に声をあわせて歌い、思いを新たにしました。司会は岡部眞紀子氏(ボランティアグループ「すまいる」)。
同実行委員会は同日午前、神戸市勤労会館で「声明と琵琶による音楽法要」(導師=石原顕正氏、筑前琵琶=川村旭芳氏)を中心とした「市民追悼のつどい」も開催しました。
日本共産党の堀内照文・こくた恵二両衆院議員は諏訪山での「早朝追悼のつどい」に参加したあと、元町駅東口前でメモリアル宣伝をおこない、通勤の市民らに訴えました。
堀内氏は、神戸大学生時代に大震災に遭遇し、被災者救援に全力を尽くすなか、生活再建をあとまわしに神戸空港建設をすすめる神戸市政などに直面し、「政治を変えなければ」との思いで卒業後、日本共産党専従職員の道を選んだこと、衆院での初の質問では借り上げ住宅問題をとりあげるなど、二十年をこえてもいまだ課題を残している現状を述べ、「ひとりひとりの尊厳を守る社会へ、政治を変えていきましょう」と呼びかけました。
こくた氏も、地震発生当日に被災地入りし、被災者の実情を政府・国会に届け、また、市民とともに被災者生活再建支援法を実現してきたことなどを語るとともに、この間の野党と市民の共闘の広がりのなか、同法の拡充を野党共同提案するなど新しい政治への動きを紹介しました。
震災復興長田の会の「メモリアル長田のつどい」、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議の「メモリアル集会」などについては、弊紙の工程(毎週火曜日夕方に印刷しています)の都合で次号一月二十九日付への掲載となります。
がんばります! 小選挙区予定候補
5区 村岡峰男さん
私は、農家の四人兄弟の長男として生まれ・育ちました。農家の長男は農業を継ぐものと農業高校に学びましたが、農地が少ないことで農業者になれず、せめて農業にかかわる仕事をしたいと農林省に入りました。
安い給料に毎月借金の繰り返しで、当然のように労働運動に没頭するなかで、民青同盟から日本共産党へ。
さらに四年の公務員生活から帰省して自営業へと転職しました。二十六歳の一九七四年に起きた「八鹿高校事件」は、解同(部落解放同盟)が起こしたとんでもない事件でした。教育界も自治体もすべての官製団体も屈服するなか、共産党のみが「モノ言える街を」とたたかい、勝利しましたが、一貫して共産党員であり続けられたことは、神戸での党学習で得た確信が支えたものと思っています。
三十四歳から三十四年間、豊岡市の議員を務めています。議会の都度、国政問題も取り上げ、国への働きかけを要求してきました。
最近では、安倍政権がすすめるTPPが豊岡市の農業や医療におよぼす影響などを追及してきました。市長は、「コウノトリを育む農法によるお米や野菜は国内外で評価されている」と、TPPの下でも生き残れるかのごとき答弁を繰り返していますが、農業の基礎をなす米価が下がり続けるなかで、食料自給率の低下には、何ら答弁はできません。
安倍政権の強引な政治姿勢に対して、戦争法の廃止、憲法改悪を許さない、原発再稼働に反対するとともに再生可能エネルギーの増加―など全国共通の政策と同時に、TPPの発効を許さないたたかいは但馬・丹波の最大の課題だと考えています。
一月六日の候補者発表を報じた翌日の各紙をみた農業委員の一人から「豊岡は農業で生きている。よくぞ決意してくれた。なんでも手伝います」と朝早く電話がありました。また、村の一人からは「新聞を何度も読み直したが、信じられない。本当か」との電話もありました。年配の同志からは「よく決意してくれた。老骨に鞭打って頑張る」との声も寄せられています。
第二十七回党大会決議を力に、野党と市民の共闘の前進で「改憲勢力三分の二体制」打破、日本共産党の躍進へ全力をあげる決意です。
◆兵庫五区(豊岡市、養父市、朝来市、美方郡、丹波市、篠山市、三田市、川辺郡)
村岡峰男(68)新
〈役職〉党県委員、党但馬地区委員長。豊岡市議(現、合併前六期・合併後三期)、建設経済委員会委員長。〈略歴〉県立豊岡農業高校卒。元農林水産省職員。
7区 上田さち子さん
昨年十二月二十八日の御用納めの日に記者会見をおこない、日本共産党兵庫七区(西宮市・芦屋市)国政対策委員長として、安倍自公政権打倒の先頭に立つ決意を表明しました。年明け、宣伝カーで新年のあいさつ回りをした際、わざわざ出てきて「ベストチョイス」「野党共闘にすじが通る」と身に余る激励を支持者よりいただきました。
私が大阪の化学メーカー人事部に勤務していた頃は七〇年安保の時代。労働組合青年婦人部の活動やベトナム戦争反対などに一生懸命取り組み、結婚・出産後も働き続ける第一号としてもがんばってきました。
高校生の頃、ベトナム戦争の報道を見て「なぜ、罪のない人々が殺されるのか?」「なぜ、戦争はなくならないのか?」と疑問をもち、その後社会に出てから、反戦平和を貫く日本共産党を知って一九七〇年一〇月に入党しました。
一九八二年からは運輸一般労働組合兵庫地方本部の専従書記として、トラック労働者のみなさんとともに貴重な経験をさせていただきました。
そして、一九八七年四月のいっせい地方選挙で、地域の支部や後援会のみなさんの大きな力を得て、日本共産党西宮市会議員に初当選し、現在八期目を邁進中です。
日本共産党に入党して以来四十六年間、いつもすじを通した活動にあたることができ、本当に幸せ者だと思っています。さらに今回、衆院兵庫七区国政対策委員長という任務もいただき、暴走の限りを尽くす安倍自公政権を少数に追い込むたたかいの先頭に立て、これ以上の喜びはありません。
西宮市会議員として三十年間、「住民こそ主人公」の政治を、とりわけ子どもや高齢者、障害のある方々にこそ政治の光はあてられなくてはならないとの思いでがんばってきました。
県下で一番高い国保料を、市民運動と議会の論戦で一般会計からの繰り入れで引き下げを実現したり、子ども医療費の中学卒業までの無料化や老朽化の激しい市立養護学校の改築実現など、取り組んできました。しかし、いつも国の悪政が立ちはだかり、住民福祉の向上を阻んでいることに歯ぎしりする思いでいたのも事実です。
昨年は、野党共闘が大きく前進した一年でした。ここ七区でも、市民と野党が力を合わせれば、現職自民の議席を私たちの手に勝ち取ることは可能です。この流れを奔流にしていけば、政治は変えられる、住民福祉を壊す政治をやめさせることができると確信を深めています。
今回、兵庫七区国政対策委員長を受けるに際し、いつも私を支えてくれる同志である夫は、言葉少なに「がんばれ!」と言ってくれたのが何よりの励みです。
野党共闘の前進と日本共産党の躍進を必ず果たすため、全力を尽くす決意です。
◆兵庫七区(西宮市、芦屋市)
上田さち子(68)新
〈役職〉党西宮芦屋地区副委員長、党西宮市委員長、西宮市議(現八期)。〈略歴〉西宮市立西宮高校卒。市監査委員、市議会副議長など歴任。
兵庫県:再稼働「反対しない」、ヨウ素剤配布「計画にない」
原発をなくし自然エネルギーを推進する会(原発なくす兵庫の会)と憲法が輝く兵庫県政をつくる会(兵庫・憲法県政の会)は一月十三日、兵庫県と関西広域連合に「原子力発電の再稼働と再生可能エネルギー発電に関する要請書」を提出し、要請・懇談しました。関西広域連合に対しては、①政府に原発推進から自然エネルギー転換を求めること②再稼働差し止め判決を重く受け止めるよう政府に進言し、老朽原発の廃炉を求めること③昨年八月実施の高浜原発事故想定防災訓練の評価を明らかにすること④電力自由化後も料金が高止まりしているのは送電の託送料が高いからであり、この引き下げを求めること⑤再生可能エネルギー普及へ家庭用太陽光発電買取額削減に反対し、原発推進の住民への転嫁をやめること⑥もんじゅの即廃炉と無駄使いやめるよう政府に求めこと―を要請。
県知事には対しては、①原発事故シミュレーションにもとづく計画を県民に明らかにすること②篠山市が原発事故の放射能被害から市民を守るために安定ヨウ素剤を配布しているが、県もおこなうこと③県内の自然エネルギー普及へ今後五年でどこまで増やすのか明らかにすること④福島原発事故からの避難者施策打ち切り国に撤回を求め、県独自施策をおこなうこと⑤福島原発事故による避難者にに社宅の無償提供するよう関電に求めること―を要請しました。
懇談で、両方の会の代表である津川ともひさ氏が初めのあいさつで――核兵器をめぐって長年核兵器容認の論であった「抑止力」論を打ち破り、国連総会で核兵器禁止条約の論議がはじまるという画期的変化が起こった。原発でも「核抑止」と同じように「ベストミックス」論で再稼働を容認する論があったが、福島の深刻な事故を受けて原発からの撤退、自然エネルギーへの転換を求めたい――と述べました。
県の回答は、「原発・エネルギー政策は国が判断するもので、県はいう立場にない」「国が識者・専門家の審議を受けて決めたもの」など、政府の原発推進を代弁するものでした。
会側からの「再稼働も規制員会自身が新基準に合格しても、安全とは言えないと明言しているではないか」などの指摘にも、国が決めた再稼働に「反対しない」と答えました。
安定ヨウ素剤配布についても県は「否定はしないが、県の防災計画にはない」とする一方で「国も万が一に備え平成三十年度までにヨウ素剤を二百万玉備蓄を計画しており、県もそこから融通してもらう」と回答しましたが、会側からの「災害時に薬剤輸送ができなかったのは震災で証明されている」「屋内避難と言いながらヨウ素剤を受け取りに集まるのか」の指摘に答えられませんでした。
こうした県の回答に対し津川代表は、「住民の命や健康を守る責任のある県は憲法や地方自治法で独自の判断権限があり、国の出先機関ではない」と厳しく批判しました。
この要請には、会の構成団体のほか、日本共産党県議団からきだ結県議、いそみ恵子県議が同席しました。
兵庫労連が春闘と知事選の勝利へ臨時大会
持続可能な日本社会へ「富」の再分配求めるたたかい
兵庫労連は一月十四日、生田文化会館で、第五十三回臨時大会を開催しました。
冒頭、成山太志議長は今春闘は要求実現とともに、組織拡大が重要だと指摘。対話の中で信頼関係をつくろうと呼びかけました。また、七月の知事選挙に兵庫労連前議長の津川ともひささんが立候補を表明したことを紹介。知事選勝利で、政治と社会を変える一年にしようとあいさつしました。
方針提案をした北島隆事務局長は、格差と貧困が広がる中、日本の社会が持続可能な社会であり続けるために「富」の再配分を求める重要な春闘であると強調。最賃闘争を継続し、「働き方改革」では本質を見抜きながら本当のディーセントワークを求めようと提案しました。また、要求について組合員と対話し議論を深めよう。同時に政治の転換・世論形成のため、ビラの配布や三月十六日の一斉行動を成功させ全組合員の春闘にしようと提案しました。
また、衆院選では野党統一候補を求めるなど積極的に闘うことを説明。合わせて、知事選では津川さんの勝利に向け全力をあげようと述べました。
午後からの討論では、春闘の取り組みや仲間が増えたことなどが報告されるとともに、知事選挙勝利への決意を表明した代議員も多くいました。
議案がすべて採択された後に、津川さんが登場。決意の胸の内を語るとともに県政の転換を訴えました。続いて、兵庫労連は津川さん勝利に向けて全力で闘うこと、津川さんは兵庫労連の春闘を支持しともに闘うことを確認する書面に成山議長(写真左)と津川さん(写真右)が調印し、春闘と知事選を勝利する決意を固め合いました。
(土井直樹=兵庫労連事務局次長)
あったか神戸垂水区の会が市民要求掲げ定例街頭宣伝
小学校給食費値上げみんなの力でやめさせよう
「市民にあたたかい神戸をつくる垂水区の会」は、定例の街頭宣伝をすることを決め、一月十二日午前にはその第一回目として、垂水駅前商店街付近で小学校給食費の値上げに反対する署名宣伝をおこないました。
神戸市教育委員会は今年四月から、現行の三千九百円を四千三百五十円にすると発表。子どもの貧困問題が深刻になっているなかで、このような値上げは、経済的に苦しい家庭ほど大きな負担になります。充実した給食にするために、公費を使って、給食費を減額したり、相生市のように無料にする自治体も増えてきていますが、神戸市教委の発表はこうした流れにも逆行するものです。
この日は六人で宣伝し、約四十筆の署名が寄せられました。二歳と四歳のこどもと買い物に来ていたお母さんから、「小学校に上がってますます子育てにお金が掛かるのはとても心配です。頑張って下さい」との声も寄せられました。
宣伝には今井まさこ・赤田勝紀両市議も参加しました。
兵庫・憲法県政の会政策充実へ各地域・各団体と懇談
1月15日は淡路島を訪問
「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」(略称=兵庫・憲法県政の会)の津川ともひさ代表幹事は、一月十五日、淡路島を訪問し、各団体との懇談、宣伝行動に取り組みました。懇談には、年金者組合淡路支部、淡路民商、新婦人淡路支部、淡路原水協、日本共産党市議など十二人が参加。「兵庫・憲法県政の会」からは津川代表幹事、東郷泰三事務局長、田中邦夫事務局次長が出席しました。
最初に、「兵庫・憲法県政の会」から、知事選挙勝利をめざすたたかいの基本、基本政策の柱などを報告した後、参加した各団体から地域経済や介護・医療問題などの要望などが話され、意見交換しました。
参加者からは、「農業、漁業を元気にする政策の打ち出しを」「淡路は自然災害が多いので、その対策を政策に」「兵庫は『戦争する国づくり』の拠点にされようとしている。『平和にこだわる県政』への強い発信を」などの要望が出されました。
また、「共闘の広がりを感じる、新しい時代になった」「県が変われば暮らしが変わることを訴えよう」「地方自治体は住民の暮らしを豊かにする役割を果たしているが、一方では数の力で押し切られる。トップを取る、これ程力強いことはない、勝てる展望はある」などの抱負も語られました。
これを受け、津川代表幹事は、「今日お聞きした要望を持ち帰り、政策に反映させていきたい。そのためにもご協力をお願いしたい」と発言しました。
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伊弉諾神宮前で宣伝・対話する津川氏(右から2人目)ら |
懇談後は、「農林水産祭」が開かれている、伊弉諾神宮前に移動し、約二十人で宣伝・対話をおこないました。
津川代表幹事は、淡路で生まれ、育ったことも話し、「ごいっしょに兵庫県を、『生活をささえる県政』『平和にこだわる県政』『原発ゼロをめざす県政』に変えていきましょう」と呼びかけ。
島内各地からの参加者でにぎわう中、「会報№2」を配りながら、多くの地元住民と対話し、激励を受けました。
(田中邦夫=憲法県政の会事務局次長)
ひなたぽっころりん〈590〉
神戸映サ2月例会『ニュースの真相(Truth)』
報道の限界とその内幕描く
二〇〇一年・ニューヨーク同時多発テロ。半ば、廃墟と化した貿易センタービルの現場から発せられたブッシュ大統領のメッセージは多民族国家アメリカをメディアも含め、ひとつにしていった。それを契機にアメリカはアフガニスタン、イラクというイスラム世界へ若いアメリカ兵を送り出していく。二〇〇四年、二期目の大統領選挙をたたかうブッシュ。そんな中、飛び込んできたのは「ブッシュ軍歴詐称」という衝撃の報道だった。それをTVで報じたのはCBSの看板キャスター、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)。
「権力の監視」がジャーナリジムの原点とするなら、この映画中のTVメディアは、かつてワシントン・ポスト紙の若き新聞記者たちが「ウォーター・ゲート事件」の真相を追究し、ニクソン大統領を辞任に追い込んだ時のように、「元軍人のメモ」を下に調査報道という地味な作業を通してピースを組み合わせ、「ブッシュ軍歴詐称」というジグソーパズルを完成させることが出来たのだろうか?
今のアメリカTVメディア、特にTV報道の限界とTV界の内幕を描いて興味深い。
(松本正憲)
神戸映画サークル協議会市民映画劇場2月例会/2月17日(金)①11時②13時30分③16時④19時、18日(土)①11時②13時30分③16時④18時30分/神戸朝日ホール4階/脚本・監督:ジェームズ・ヴァンダービルト、出演:ケイト・ブランシェット/ロバート・レッドフォード/2015年、アメリカ・オーストラリア、125分/一般1300円(当日1700円)、シニア・障がい者・大学生以下1300円/☎078‐371‐8550、http://kobe-eisa.com/
「あさぎ」八十回 一月詠草 姫路年金者組合
一日に十五錠ずつ飲みつづけ愛しき命つづいておりぬロボットの赤き円盤掃除機のクルクルまわるをわれは見守る
藤原信子
赤白のシクラメン植えて雨上がり老い住む庭にクリスマス待つ
山畑を借りて玉ねぎ苗百本夕映えを背に植え終わりたり
山下直子
何処から白南天の種落ちて紅白並び熟るるめでたさ
新婚の孫の夫妻が正月に泊まりに来るよ嬉し忙し
衣川有賀子
どんよりと雲がたれこむ冬空は広く晴れたり曇ったりする
日がさして白く光る銀世界まばゆいばかり日差しが強い
江藤雅江
姫路市の一斉清掃を機会とし横の空き地の木を切り始む
空地の木鳥が運びし種により十年程で大木となる
常田洋子
肺腺癌治療薬なるイレッサの副作用にて筋力は落ち
テレビにて「ゆく年くる年」寺めぐり病癒えよの願い新たに
田渕茂美
ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記
裁判に臨む被爆者の思い、切に
副島圀義
新年最初の傍聴記は、病気の原告への「出張尋問」。といっても非公開なので、報告集会での原告のお話です。
―一歳四か月で被爆。直接の記憶がないことで救われた気持ちと、体験を語れないもどかしさが、いつも心のなかで交差する。
四歳の時に大阪に来たが病気がちで季節の変わり目には学校をよく休み、就職してからも仕事が続けられずに十四回も転職。被爆者と知られたら差別されるから話すな、と言っていた母が亡くなり、三十三歳で被爆者手帳を取得。
慢性腎炎で原爆症認定申請したが却下された。被爆者としてここまで生きてきた人生を否定されたようなもので引き下がれない。先人のたたかいを受け継ぎ、絶対悪である核兵器廃絶のためにも、何としても勝ちたい。
国側の反対尋問では〝発病原因は高血圧とか高脂血症とかではないか〟というようなものだったそうですが、高血圧など自体、放射線被ばくとの有意の相関性が認められており、説得力がない「論難」です。
この日、原告のお一人・淡路登美子さんについて、国が自ら「却下処分」を取消して認定書を送ってきた、との報告がありました。国側は最初、胃がんについて放射線起因性を否認。十三年後の再申請(胃切除後障害で)に対しては発病の放射線起因性は否定しないがもう胃がんは直っているとしてやはり却下。
淡路さんが提訴に踏み切ったことに対して、カルテなどいろいろ「要医療性」を覆そうと材料集めをしたが、集めれば集めるほど、淡路さんの主張の正当性を立証するものばかり……という事情だったようですが、国の認定審査の「いいかげんさ」を如実に示すものでしょう。
なお、昨年十二月二十一日にも大阪地裁で審理があり、報告集会では、厚労大臣と日本被団協などとの定期協議での論点や国側の姿勢などが詳しく報告されました――
二〇〇九年、当時の首相が被爆者と「訴訟の場で争う必要のないように定期協議の場で解決をはかる」との確認を交わしたのに、以後七年間で原爆症認定申請の半数近くを「却下」。却下された被爆者は、泣き寝入りするか裁判を起こすか、の選択を迫られ、病躯をおして提訴できた人は一%。判決が出たうち、八五%は原告勝訴でした。
厚労大臣は「行政と司法とではやり方が違う」というが「訴訟の場で争わなければ、行政の誤りは正せない」現状は、国が「確認」を守っていないことを如実に示している。司法判断の流れを見れば、行政のやり方が誤っていることは明白である――。
観感楽学
沖縄配備の米軍輸送機オスプレイは、同じ空域で同じ訓練を実施した二機が墜落と胴体着陸という二つの重大事故を起こした。その直前には岩国基地配備のFA18が高知県沖に墜落し乗員が死亡した▼いずれも事故原因が究明されていないのに、安倍政権は米軍の説明をうのみにして飛行の全面再開を容認した。日本政府から米軍への抗議の声は聞こえない。国民の安全よりも「日米同盟」軍優先とは許せない▼米軍岩国基地は、横須賀を母港とする空母艦載機五十九機が移駐し、開発中にトラブルが相次いだF35Bも16機配備され百三十機規模の東アジア最大の軍事基地になる。米軍発表の報告書ではオスプレイも全国で年間三百三十三回の飛行訓練計画が公表されている▼兵庫県を含む中四国空域で低空飛行訓練がおこなわれる。米軍は訓練ルートを自由に設定しており、二十一県百三十八市町村にかかるとの調査もある▼井戸県知事は米軍艦を姫路港に受け入れた際、「現行の枠組み、米政府の基本的な考え方を前提に判断」「日米安保条約上の相互関係からする特定の理由なしに拒否する理由がない」と記者会見。県民の安全よりも「日米同盟」を優先する態度は安倍政権と同類だ。(K)(「兵庫民報」掲載)
