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2017年9月10日日曜日

「生まれてきてよかったねと」大門みきしエッセイ20

日本共産党参院議員 大門みきし

知人の息子さんがこの春からうつで会社を休んでいましたが、医師も家族も復帰は無理と判断し、八月末付けの退職届を郵送で提出されましたとのこと。まだ三十二歳。頑張って有名私大の理工学部を出た努力家でした。もう頑張らず、人生色々とおもってほしい。
NHKの元アナウンサー、加賀美幸子さんが著書のなかで、いまの子どもたちへのおもいをつぎのように語っておられます。「『世の中大変なんだ。そんな事で生きられないよ』と子どもたちのお尻を叩くより、『気の遠くなる様な時間の流れの中、大変な確率で、今やっと生まれてきたんだよ。生まれてきて本当によかったね』と大人は心をこめて子どもたちに伝えたい」(『こころを動かす言葉』)。
けれど、雇用不安をあおり、若者を追い込むいまの日本。過労死も後を絶たない。人間が人材ではなく、ただのコスト(費用)扱いにされている。子どもたちに生まれてきてよかったねといえる社会になっているのか、経済が人間を不幸にしているのではないか。
働く側のたたかいだけでなく、いま保守の側からも「人間を踏みつけにして企業の発展はない」という声が上がりはじめています。理想論ではなく、人間を大事にする企業こそ、未来志向の企業であり、中長期的に発展していくと信じたい。
人の世に熱あれ、人間に光あれ。おかしいことは正される、変えられる。目の前の現実はきびしくとも、希望があることだけは子どもたちに伝えたいとおもいます。


(兵庫民報2017年9月10日付)

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