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2017年8月6日日曜日

もともと低い従来の生活水準をいっそう低下させた基準引き下げ

新生存権裁判――原告側が実態を裁判所に示す

「新生存権裁判」(生活保護基準引き下げ違憲訴訟)の第九回期日の弁論が七月二十日、神戸地裁で行われれました。
原告側は、第七準備書面(生活保護を利用する人たちがどのような世帯であるのかを明らかにして、今回の生活保護引き下げで原告らが被った被害の実態を論じる)と第八準備書面(生活困窮の要因が基準額の低さにあることを指摘する)と第九準備書面(今回の基準引き下げが、なおいっそう生活を困窮させていることを明らかにする)を陳述しました。
「陳述」を口頭で行わず書面を提出するだけで、傍聴者にその内容がわからない裁判もありますが、今回、原告側弁護団はこれら準備書面の要旨をスライドにし、法廷で上映しながら口頭で陳述。傍聴者にもわかりやすい裁判となりました。
そのうち第九準備書面部分の概要を紙面で再現してみました。
(文責編集部)
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原告第九準備書面は、日本福祉大学社会福祉学部の山田壮志郎准教授の意見書「生活基準引き下げの生活への影響」に即して、生活保護基準引き下げが、憲法二五条の保障する「健康で文化的な最低限度の生活」のうち、従来から低い水準に置かれていた被保護世帯の生活の質をいっそう低下させ、最低限度すなわち「生活必需項目」の側面すら脅かすものであったことを明らかにしています。
生活保護基準の引き下げは二〇一四年八月から実施されました。山田氏は、厚労省が引き下げ前の二〇一〇年に実施した調査と同じ項目について、引き下げ後の二〇一五年九月から十六年一月にかけ再調査しました。一〇年調査は生活保護を利用する世帯と利用していない世帯を対象とし、一五~一六年調査は生活保護基準引き下げ違憲訴訟の原告を対象に行われています。

○普段の生活




食事については、食材の新鮮さ、栄養バランスで三〇㌽近く下落。規則正しい食事も二〇㌽下落しています。
被服については、外出着の購入や、年一~二回の下着購入で二五㌽以上の下落があります。
二~三日に一回以上の入浴は一六㌽低下しています。(スライド①②、数字の単位は%と㌽)

○家族・親族・近隣の人々とのお付き合い



家族・親族・近所の人々の交流は二〇㌽前後の下落が見られ、プレゼントや会食招待などをしている生活保護世帯はもはや一割程度にとどまっています。(スライド③)

○臨時の支出



臨時の外食、雑誌購入や正月行事のお祝いなども二〇㌽以上の下落があり、三割程度にとどまっています。(スライド④)
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こうした実態から、生活保護基準引き下げは、生活保護費によっても「健康で文化的な最低限度」の生活を下回るような過酷な状況のなかで、なんとか生活をつないできた世帯に対し、誤った検証に基づき生活保護基準の引き下げを断行し、その結果、これまでの水準を下回る生活を余儀なくされた人びとが続出していることが明らかであり、この裁判で争われている生活保護基準引き下げ処分が違法であることを示しています。

(兵庫民報2017年8月6日付)

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