記事を検索

2017年7月23日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記2017-07-13

裁判所は被爆の実相に謙虚に向き合うべし

副島圀義

七月十三日、大阪高裁での最終弁論。五月の本欄で「(弁護団は)映像も駆使して被爆の実相を訴える」と報告しましたが、ギリギリになって裁判所が許可しない結果になってしまいました。六月にも地裁・裁判長が意見陳述でスライドを使わせない、ということがありました。

「被爆者の病気が原爆放射能に起因するかどうか」の判断で、発症メカニズムがしばしば争点になります。裁判所が個々の争点だけに目を向けてしまうのでなく、被爆の実相に謙虚に向き合うことを、弁護団は強く求めています。
映像を使っての弁論不許可に対して弁護団は
―原野さんは判決を待たずに死去。川上さんは体調不良で法廷にくることができなかった。そのようななかで、一日も早く判決を求める。
―裁判官には、提出した映像を見てもらっている。
として、遺憾の意を表明のうえ、この日での弁論終結を了承。来年一月十六日に判決、となりました。

原告・原野宜弘さん。被爆時は生後十カ月(長崎)。行方不明の父を探す母に負ぶわれて爆心地近くを一週間歩きまわります。脱毛などの急性症状が出たと姉は話しますが「原爆手帳申請書にはそんな記載がない」と国は否認。一審判決は「被ばくによって発症感受性が高くなることは認めても、直接の発症原因は他にある」として国の却下処分を認めました。高裁での国の言い分も同じことの繰り返しでした。

―原爆は瞬時に大都会を壊滅させ、救援・救護もできない状況をつくりだした。
―生き延びられた被爆者への救援も、実態調査・研究・公表も、占領軍は抑止。
―その結果、被ばくにより低下した免疫力の回復が阻害された。
―放射線の種類・強度、内部被ばくの影響等々についての科学的知見の多くは、広島・長崎以後に得られたものであり、それもしばしば、核開発をすすめる側だけが占有。
このような被爆の実相に謙虚に向き合うことがなければ、被爆者の訴えへの公正な判断はできないと、強く思います。

十四日には大阪地裁での弁論がありましたが、傍聴できませんでした。原告・宮本義光さんが意見陳述で「生きている人が『水ばくれんね。水ばくれんね』と言っていたが目をそらして歩き続けるしかなかった」など生々しい体験を語られたこと。もともとこの日で結審の予定だったが国側が反論したいと続行を求めたこと、などを伺いました。

2017年7月23日付「兵庫民報」掲載

日付順目次