国・県の支援制度拡充を――全国の台風被害などにも
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益城町を視察する災対連の人たち(九月二日) |
九月二日~三日、災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会(全国災対連)と阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議が共同して「熊本被災地視察」を行いました。
現地熊本をはじめ中央団体、宮城、福島、広島の被災地災対連、兵庫からは、労連、民医連、兵商連、保険医協会、共産党など四十人が視察・交流しました。
四月十四日に前震、十六日に本震が発生した熊本地震から約五カ月。熊本の被災地はどうなっているのか。二日は、激震地の益城町、西原村、南阿蘇町の被災現場、仮設住宅などを回りました。
全壊した家屋がそのままの状態で…
現在も多くの全壊した家屋が時間が止まったように震災後の崩れた状態(写真上)で、復旧・復興という状況はまったく感じられません。益城町の元町議・甲斐康之さんの説明では、「町が公費解体を委託できた業者は限られており、全壊は約二千七百棟。解体作業は分別作業も含めて一棟あたり二十日程度。一社ができるのは月二棟程度。公費解体はなかなか進まない」との話でした。
南阿蘇町では、東海大学農学部の学生下宿や阿蘇大橋の倒壊現場を視察。ここも時間が止まったかのように、倒壊した家、亀裂の入った学生マンションなど無人の地域が広がっていました。(東海大農学部は現在熊本市で授業を再開しています)。
仮設住宅の建設・入居は始まったが
西原村、益城町の仮設住宅も訪問しました。西原村の小森第一~第四仮設(合計三百二戸)では、一部県産杉を用いた「熊本型」木造仮設が建設されています。しかし、ほとんどは阪神と同じプレハブ仮設。コミュニティーの場として「みんなの家」(集会所)が五十戸に一棟の割合で建設されています。
益城町のテクノ仮設団地(五百十六戸)は、市中心部から数キロ離れた企業誘致の団地に建てられた大型仮設です。まわりに何もなく、仮設入口にコンビニ規模のイオンと数個の商店が工事中でした。
この仮設住宅は、遠くて不便ということで辞退者が続出。町は、洗濯機と冷蔵庫をつけるということで再募集をしたそうです。
住宅被害と宅地被害、再建をどう進めるか
熊本地震の特徴は、二つの断層に沿った住宅と宅地・農地の被害、それと二千回をこえる余震が今も続いていることです。同じ地域でも、被災の状況がまばらで、どう再建を進めるかということです。
熊本県は有識者会議(五百旗頭真座長)を開き、八月に「平成二十八年熊本地震からの復旧・復興プラン」を策定しましたが、その中身は「創造的復興」で、あそ熊本空港の拡張など大型開発中心です。
被災者の痛みの最小化なども掲げていますが、被災者の思いに寄り添った対応が急がれます。
被災者生活再建支援法の三百万円では到底、住宅再建もままなりません。
熊本では、「いのちネット熊本地震被災者支援センター」が中心となって、支援法の支給額の引き上げ、全体の八割を占める一部損壊の支援制度の創設などの要求を掲げ、運動を進めています。
全国での台風災害など、国と県など自治体の支援制度の拡充が求められています。
(森本真=神戸市議)
(2016年9月11日付「兵庫民報」掲載)
