ねりき恵子(日本共産党兵庫県議団長)
あらためて熊本地震で犠牲になられた方を心から追悼するとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
四月二十七、二十八の二日にわたり被災地を訪問して、この間、日本共産党兵庫県委員会に寄せられた救援募金、缶詰や衛生用品、子ども向け風船・折り紙、ケミカルシューズメーカーから神戸市長田区真陽防災福祉コミュニティに提供された婦人靴などを届けてきました。
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神戸市議団に見送られ出発する一行 |
党兵庫県委員会被災者支援・復興対策委員会責任者の森勇治さん、森本真神戸市議、藤田治同市議団事務局員が、車に救援物資を積み込み四月二十六日夕、フェリーで出発。私は鉄道を使い、翌二十七日に現地で合流しました。
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上野熊本市議に救援物資を手渡す森本神戸市議 |
まず、熊本市中央区にある帯山小学校避難所に向かいました。ここでは日本共産党の上野みえこ市議が、自宅も被災しながらも、地域の方々の救援に奔走されていました。まだまだ先の見通しも立たないなか、避難所を閉鎖するといわれ対応に追われていました。
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熊本県委員会での物資の配布 |
その後、党熊本県委員会を訪問し、救援物資と救援募金を手渡しました。熊本県委員会には全国からの救援物資が集まり、行政では手の届かない避難所や車中で避難生活送っている方、自宅に留まっている方へ物資を届けたり、県委員会を訪ねて来た方に必要なものを持って帰ってもらったりもしています。
私たちの滞在中にも、若いお母さんが「小さい子どもがいるのでとても助かる」と、離乳食や紙おむつなどを抱えて避難所へ戻っていきました。
被害のひどい益城町へ入ると、軒並みの全壊家屋が目に飛び込んできます。その様子は二十一年前の阪神・淡路大震災の被災直後を思い起こさせます。
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炊き出しをする三田市商工会のみなさん |
全壊した益城町役場前の広場では三田市商工会の炊き出しボランティアのみなさんに出会いました。同町の避難所でもボランティア休暇を取って支援に駆けつけた神戸市職員の方に出会いました。
益城町保健福祉センターには町の仮庁舎と災害防災本部が置かれ、全国から自治体職員や保健師、日赤医療チーム、自衛隊などが役割分担して支援にあたっています。兵庫県職員も関西広域連合の一員として常駐し、支援の中心となっています。
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益城町役場前で住民から話を聞くねりき議員(右)ら |
私たちが訪れた時期、避難所はまだ劣悪な環境でした。間仕切りや段ボールマットなどなく、冷たい体育館の床に毛布一枚で寝起きする。食事はおにぎりやパン一個のみ配られ、温かい汁物はボランティアの炊き出しに頼る状態が長く続いていました。
なぜ、阪神・淡路大震災で私たちが国や行政に必死で働きかけ、前進させてきた救援や復興の取り組みが十分に実行されていないのか、と怒りに似た疑問がわいてきます。
山本信裕熊本県議、なすまどか・山部ひろし両熊本市議、熊本県委員会の松岡勝書記長や熊本地区委員会の重松孝文委員長との懇談では、行政が被害の実態を把握できず、避難所の運営も避難所任せ、行政の危機管理に基づくイニシアチブが取れていないこと、避難所の閉鎖が進められようとしているが、不安を抱えている高齢者、子ども、障害者など行政が支援しなければならない災害弱者を切り捨てようとしている―など、行政の対応の実態が報告されました。また、この間の市町村合併や行財政改革で自治体職員数が減らされてきたのが人手不足の大きな要因であることも指摘されています。
これから被災地では、高齢者や障害者をはじめ医療や介護などのきめ細かな支援、避難所の集約化、仮設住宅・復興住宅の確保、二重ローン対策、生業の支援など、継続的な取り組みが求められます。
私たちも、阪神・淡路大震災の教訓と経験をいかし、生活再建、まちの復興に力をつくすとともに、防災対策の強化や被災者支援の拡充にとりくまなければ、との思いを改めて心に刻んで帰路につきました。
(2016年5月15日付「兵庫民報」掲載)