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2016年5月1日日曜日

兵庫若者憲法集会:いま歴史を動かすとき

兵庫若者憲法デモ

「兵庫若者憲法集会&デモ」が四月二十四日、神戸・三宮で行われ、八十人が参加しました。

安倍政権が憲法に加えようとしている「緊急事態条項」の問題点や安保法制の問題点など、今年の参院選で問われる問題について考えようと、兵庫労連、兵商連青年部、兵庫民医連、民青同盟兵庫県委員会などでつくる実行委員会が開いたものです。

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神戸市勤労会館で開かれた集会では、明日の自由を守る若手弁護士の会の吉江仁子弁護士が、憲法の歴史と民主主義についての基本と、個人一人ひとりを尊重する現行の日本国憲法の仕組みを覆す自民党憲法改正草案の問題点を説きました。

「緊急事態条項」の危険性を説明する吉江氏

とくに震災など大災害を口実に持ち出されている「緊急事態条項」の憲法への導入については、先進国ではドイツ以外にはないこと、自民党草案では、緊急事態には内閣が法律と同等の効力をもつ政令を制定できるなど、国会を軽視し、権力を集中するものだが、災害時、実際に必要なのは、現場の自治体が実態に即して財政も含め、施策を行えるようにすることだと指摘しました。

80人が参加した

関西勤労者教育協会の中田進氏は、戦争法反対運動の意義について語り、「若者が動けば政治は変わる」「社会や政治のしくみを知り、周りに訴える力を鍛えよう」「選挙に行こう」と呼びかけました。

交流で、全港湾阪神支部の宿里和也さんは、「ベトナム戦争では神戸の港湾労働者も有無を言わさず米軍の兵站に従事させられた。その歴史を繰り返さないためにもと二千万署名に取り組んでいる」と話しました。

また、「ティーンズ・ソウル・ウエスト」で活動し、この春、大学に入学し神戸にやってきたユイさんも、「中高生の政治活動に『子どもが口出しすることではない』という人がいるけれど、私たちは有権者である前に主権者。民主主義を自分たちの手にとりもどそうと声をあげました」と報告しました。

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集会後、会場の勤労会館前から三宮駅前、センター街を通り、大丸前まで、ユイさんのリズミカルなコールで市民に訴えました。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

大震災経験した兵庫で救援募金

九州の被災者が勇気もち立ち上がれるよう


日本共産党県議団



「阪神・淡路の大震災を経験した神戸から救援募金のご協力を」―日本共産党県議団の五人は四月十九日昼、JR元町駅前で、熊本県を中心とする九州地方の地震被災者への救援募金を訴えました。短時間でしたが、高校生など若い人も含めて、二万三千円の募金があつまりました。

復興県民会議



阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は四月二十日、元町商店街東口で募金活動を行いました。

「九州地方の被災者が勇気をもって立ち上がれるようぜひ、ご協力を」と岩田伸彦事務局長や安田秋成被災者ネットワーク代表らがハンドマイクで訴えると、買い物・観光客などが次々と募金箱に寄付を寄せました。

九団体三十三人の参加で十四万六千五百五十九円が一時間で集まりました。
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(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ[まとめ]

憲法が輝く兵庫県政に向けて


憲法県政の会代表幹事・神戸女学院大学教授 石川康宏

「兵庫民報」のWeb版を利用して、この連載をあらためて読み返してみました。いろいろな発見がありましたが、特に印象に残ったのは、農民連の田中眞一郎さんが書かれた次の文章です。

「七十年前、新しい憲法とともに、すばらしい未来像を持っていたはずだ。もう一度、日本社会に望ましい未来像を思い出し、今度はシッカリ持たなくてはならない」。

憲法が輝く兵庫なのか、憲法を投げ捨てる兵庫なのか――兵庫の県政とこの県にくらす県民の生活全体が、いま大きな分岐点に立たされています。

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軍国の独裁政治に国民が支配された戦前社会への深い反省から、戦後の日本は「国家が主人公」から「国民が主人公」(主権在民)への政治制度の根本的な転換を行いました。そして国には国民生活を支える責任があるとの理念から、国が国民の最低限のくらしを守る(憲法二五条)、教育を受ける権利を守る(二六条)、はたらく者の労働条件とたたかう権利を守ること(二七・二八条)を憲法に書き込みました。

憲法が定めた基本的人権の中でも、これらは特に社会権と呼ばれ、国民がもつ自由権(それを国家が保障する)と区別されます。国民は自由の権利だけでなく、人間らしい生活と教育と労働の保障を国に求める権利を持つということです。

地方政治は本来、地方の実情にそって、こうした権利を守ることを仕事の中心とするものです。

その地方の平和と安全を守り、赤ちゃんからお年寄りまですべての人のくらしを支える。そのために必要な医療や社会保障を充実させる。あらゆる教育現場を支援し、子どもから大人まで教育を受ける権利を拡充する。労働者、農家、中小業者、アルバイト学生など「はたらく人/はたらきたいすべての人」に、仕事を提供し、人間らしい労働条件を保障する。これが地方政治の仕事の核心です。

したがって、今日の安倍政権のように、国が憲法の精神から逸脱した誤った政治を行う時には、地方政治はそれに従属することなく、県民のくらしと権利を守る分厚い壁とならねばなりません。いわゆる「悪政の防波堤」になるということです。

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しかし、この連載がすでに具体的に示してきたように、兵庫県政の実態は、これにまったく反しています。憲法を投げ捨てようとする自公政権の動きになんら抵抗することなく、それどころか追従し、時にはこれを先取りまでして、県民の生活と安全を圧迫しています。

こうした政治はなんとしても止めさせなければなりません。

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いま全国に「立憲主義を取り戻せ」という声がとどろいています。憲法の平和主義を焦点に「憲法どおりの政治」を国に求める動きです。私たちはこの取り組みをさらに力強く育てる努力に合流しながら、あわせて「立憲」の内容を憲法の全面的な実施に広げ、「憲法どおりの政治」を国とともに兵庫県政に、県下のあらゆる自治体につくっていきたいと思っています。

「憲法が輝く日本と兵庫県政」をつくるため、目前の国政選挙にしっかり結果を出しながら、あわせて二〇一七年の兵庫県知事選挙に向けて、本気で準備を進めていきましょう。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

市民にあたたかい神戸市政を〈14〉:三宮巨大バスターミナル

巨大な中・長距離バスターミナルは必要か?(下)


日本共産党神戸市議 森本 真

新宿、天神と比べても遜色ない現況


現在三宮の中・長距離バス乗り場は、ミント神戸一階、空港リムジン(交通センタービル南西)、神姫バス(三宮駅東高架下)、夜行バス(三宮高架下商店街)、三宮東(そごうの東側)の五カ所です。

ミント神戸バスターミナルの案内板

一日約千三百五十便(ホテルバス含む)のうちミント神戸に七百八十便(約六〇%)が集中しています。ミント神戸には乗降場が十一バースありますが、高速バスには一バースのみ使用で、おりばが三バース、路線バス・ホテルバスに四、五バースも使っています。

ミント神戸:780便、11バース(のりば8+おりば3)
バスタ新宿:1625便、15バース(のりば1+おりば3)
西鉄天神高速バスターミナル:1600便、9バース(のりば6+おりば3)

最近テレビや新聞で紹介された四月四日オープンの東京・新宿の「バスタ新宿」は、新宿駅西口の十九の高速バスのりばを集約したもので、一日千六百二十五便、百十八社が乗り入れる日本一の高速バスターミナルです。ここのバスのりばは十二バース、おりば三バースの合計十五バースで日本一です。

その次に大きいのが、福岡・天神の「西鉄天神高速バスターミナル」で、一日千六百便で、のりば六バース、おりば三バースの九バースしかありません。

ミント神戸は、阪神・淡路大震災で倒壊した神戸新聞の社屋を、都市再生緊急整備事業に指定し、容積率を八百%から二倍の千六百%に緩和(二倍の建物ができる)して、神戸新聞社が約百億円をかけて建設しました。一階のバスターミナルを神戸市が公共施設として十五億円で買い取り、区分所有しています。

十一バースもあれば、千三百五十便のバスの集約は、ミント神戸で十分ではないでしょうか。

ミント神戸(左):国道2号線への出入り
三宮の再整備の論議の中で、バス事業者からでているのは、サイン(案内)とミント神戸のバスの出入りの使いにくさです。ここさえ改善すれば、中・長距離バスがミント神戸に集約できるはずです。

国施策や民間事業者の取り組みに便乗


久元市長をはじめ神戸市はなぜ、中央区役所や勤労会館をつぶそうとしているのでしょうか。それは、都市再生緊急整備事業(国の施策)の中身に起因しています。民間の都市再生事業者が行う、公共施設の整備を伴う事業において、既存の用途規制や容積率制限、高さ制限、日影規制が適用除外となります。

ここで、民間事業者に、「神戸市の勤労会館などの土地も含めて、大きなビルを創ってください。その一階は公共施設のバスターミナルにします。容積率が二倍のビルが建てられます。建物が完成したら、バスターミナルを買い取ります。また、中央区役所や勤労会館なども建物に入れてくれれば、それ相応な買い取りや賃料を払います」ということなのです。

それが久元市長のいう、国や民間事業者による取り組みの機運を逃さずプロジェクトを進めるということなのです。


「森本真ブログ」でさらに詳しく解説しています。
http://shin-morimoto.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-d4a2.html

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

神戸地検・大阪高検に請願:福崎町長選不当捜査事件

捜査適正化(終結)を求める


神戸地検へ請願に訪れた市民の立ち入りを制限しようとする職員

福崎町長選挙にかかわる公選法違反容疑事件について捜査を適正化(終結)するよう求め、国民救援会兵庫県本部などが四月二十日、大阪高等検察庁伊丹俊彦検事長に請願しました。


兵庫県警・福崎署は、昨年十二月の福崎町長選について、選挙期間中から全戸規模で聞き込み、投票日には投票所出口で「誰に投票したのか」と町民に尋ねるなど、選挙干渉ともなる捜査を行い、選挙後も橋本省三町長の後援会役員や嶋田正義前町長に対する尾行や連日の出頭強要をいまも続けています。

嶋田前町長への呼び出しは三月十日の福崎署抗議行動以後は止まりましたが、聞き込みの対象は、町長を応援した人々に広がっています。この人権侵害の不当捜査で深刻な病気になった人もいます。

この問題について三月二十三日には清水忠史衆院議員が衆議院法務委員会で追及。四月の国連人権理事会の来日調査にも報告され問題点が指摘されました。



県警ばかりでなく神戸地方検察庁も、出頭を拒否する被疑者に送検前から不当な出頭要請を行っていることから、国民救援会などは四月十三日、神戸地検に請願・要請。神戸地検では、職員が一列に並び立ち入りを制限するなどものものしい対応でしたが、平穏に請願しました。


大阪高検前で

今回の大阪高検への請願で高検側は、直ちに不当捜査中止を指示せよとの要請に、趣旨を受け止め上部に伝えると回答しました。


「不当捜査をやめさせる会」は五月十五日に福崎町文化センターで報告集会を開きます。それに先立って十一日に県警前抗議宣伝、県警・地検要請も予定しています。
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(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

新婦人内後援会が決起集会

女性の力で比例46万票以上金田峰生氏の勝利を必ず



兵庫県の新婦人内後援会決起集会が四月二十三日、神戸市内で行われました。

岸本友代代表世話人が開会挨拶で「性の不平等をただし、平和を願う女性たちが、積み上げてきたことを受け継ぎ発展させるために、この参議院選挙は特別の意味を持つ」と強調しました。

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金田峰生選挙区予定候補は、野党合意に至った経過とその力になった共産党の呼びかけの力と、新婦人などの粘り強い活動もふくむ、市民・国民運動の力が情勢を前に動かしていること、大義は私たちの側にあることに確信を持ち、さらに前に動かすため、参議院選挙比例での躍進と選挙区での勝利をと力をこめ訴えました。

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県本部内後援会が作製した金田氏を紹介する紙芝居が披露され、全班・小組などで無数に上演することが提起されました。

また、由利美香事務局長から、①一班百スポットの宣伝②読者数の二十五倍の対話・班内で三回の「つどい」③ニュースの発行④四月中に全支部内「しんぶん赤旗」読者増―などの行動が提起されました。

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▽二十二日に開催した「女性のつどい」には、小組の会員も参加し、熊本の救援カンパも二万二百円集まった(明石)▽一月三十日につどいを開催し、毎週火曜日に宣伝行動、熊本救援カンパと二千万署名にとりくんでいる(西)▽定時定点のハンドマイク宣伝と、学習会を二回おこない、二千万署名は二千目標で一千四百筆達成、一人で百五十筆集めた人も(中央)▽地域でパレードをしたら、フェイスブックをみてと、子連れの若いママが参加してくれた(須磨)―など各地の活動も交流しました。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

子どもたちに食事と居場所を:長田で「子ども食堂」開店

藤田さん(前列左)はじめ陽気なスタッフ

「子ども食堂」のとりくみが神戸市長田区でも始まりました。

アベノミクスのもと格差と貧困が広がるなか、無償で食事を提供して子どもたちを支えようという「子ども食堂」が全国各地で取り組まれています。

「子どもの居場所づくり はぐくみ」と名付けて子ども食堂を長田で始めたのは、神戸平和と労働会館(腕塚町二丁目)の軽食喫茶「若草物語」のスタッフたち。昨年末、藤田摩利子さん(71)の発案で準備してきました。

毎月第三土曜日の午前十一時三十分から午後二時三十分まで。小学生以下(入学前の子どもは保護者同伴)に無料でランチを提供します。(大人のランチ=四百五十円=もあります)。

初日はオムライス

初日の四月十六日には、看板をみて近所の親子連れが訪れました。

藤田さんは、「チラシをまいたり、初めから大規模にはできませんが、少しずつはじめて、一人でも多くの地域の子どもたちを支えたい」と語っています。

神戸市北区の佐藤麻由美さん(39)も「若草物語」の常連客の知人から聞いて、スタッフに加わりました。佐藤さんは福島原発事故で東京都墨田区から避難してきました。夫と三人の子どもの五人家族。

佐藤さんは、「夫の職もなかなか見つからず、私も出産で働けず、貧困そのものでしたが、なかなか周りの人にわかってもらえませんでした。でも、ここへ来るとスタッフのみなさんやお客さんが子どもたちを温かく見守ってくれ、安心できました。他の子どもたちも安心できる店にしたい」と語っています。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

ミャンマーの民主化と今後:AALA連帯委員会が講演会


兵庫県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会は、五十五年ぶりに民主的な選挙が行われ、軍事政権から文民政権に移行したことが、大きな注目を集めているミャンマーについて、「ミャンマーの民主化と今後」と題した講演会を四月二十三日、兵庫県中央労働センターで開きました。

講師には、ミャンマーの政治・歴史・経済などを専門にしている中西嘉宏京都大学准教授を迎え、質疑応答をふくめ、約二時間、じっくりミャンマーの政情について学びました。

中西氏は、はじめにミャンマーについて説明。人口は五千百万人、七つの地域と七つの州の地方単位があり、宗教は仏教中心、百三十五の民族がいる多民族国家と説明。

そしていまなぜミャンマーが注目されているかについては、昨年十一月の選挙が一九六〇年以来の自由で公正な選挙となり、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したこと、そして、四月一日からNLDを中心とした政府が誕生したことを紹介しました。

中西氏は、二カ月にもおよぶ選挙期間中や投票日に現地に行き、その様子を取材してきたエピソードにも触れながら、「国中がおまつり騒ぎだった」と語りました。

そこに至る背景には、長期間にわたり軍事政権が支配するなかで、長年の民主化をもとめる運動とともに、二〇〇八年につくられた憲法により立法府が設置され、一〇年の選挙を経て、一一年に政権が民政移管されたことをあげました。そのときに、アウンサンスーチー氏のNLDが合法政党となり、一二年の補欠選挙で大勝。そして、今回の総選挙での圧倒的勝利につながっていることを紹介しました。

中西氏は、民主化の流れをうけ、新たな政権が樹立したことで、「政治上重要な移行期を迎えている」としたうえで、今後の注目点として、アウンサンスーチー氏頼みで経験の浅いNLDの政権運営能力や、新たな法律をつくり国家顧問に就くアウンサンスーチー氏の指導力が強すぎることなどを挙げました。

質疑応答では、ミャンマーの経済や行政改革、過去の汚職・贈収賄や麻薬産業の問題など多岐にわたる質問が寄せられましたが、中西氏は、一つ一つに丁寧にこたえました。

感想には、「ミャンマーのことは、ほとんど知らなかったけど、非常にわかりやすく説明していただけてよかった」「現地に行かれて雰囲気も含めて語られたのがよかった」などが寄せられました。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

篠山市議選:前田氏3選、議席増はならず

前田えり子氏
篠山市議選(定数十八、立候補二十人)は四月二十四日投開票で行われ、日本共産党の現職・前田えり子氏(65)が当選、現有議席を確保しましたが、新人の山田潔氏(67)は及びませんでした。日本共産党の得票合計は千五百六十三票・得票率七・三〇%。前回より一・四倍に伸ばしましたが、議席増はなりませんでした。また二〇一四年衆院選比例票の七八%でした。(投票率六一・九四%)




(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2016-4-21

「被爆の実相」が原点:司法判断の後退を押し返す

副島圀義

四月二十一日。大阪高裁(大法廷)では、四月十一日の福岡高裁判決の特徴点を愛須弁護士が説明。さらに弁護団は、被爆者医療に携わってきた医師の意見書提出や証人申請も検討中、と述べました。

大阪高裁での「二連敗」を押し返すうえでも、あらためて「被爆の実相と司法判断の到達点を、裁判所がしっかり理解するよう求める」立場にたったものでした。


福岡高裁の判決は「被爆者の病気と被爆の関係は、具体的総合的に考慮すべきだ」「国が援用する被ばく線量の推定方法は一応の目安にとどめるべきだ」とし、一審勝訴原告に対する国の控訴を退けました。

一審で敗訴した原告の訴えを退けた判決でもありましたが、「原爆放射線の起因性」についての判断基準は、明快に、国の主張を打ち破るものとなっています。

大阪高裁が、国の主張を鵜呑みにした判決を出したあとで、再び、「集団訴訟」以来の司法判断の流れにそった判断を、福岡高裁が下した意義は大きいものがあります。

この訴訟を担った熊本の弁護団は、熊本大地震でたいへんな被害をうけています。

そのこともあって「熊本のたたかいの成果をぜったいに生かさねば」との、関西弁護団の熱意が伝わってくる弁論でした。

報告集会での補足報告では「原爆症と認定させるのがなかなか難しく、我々なら提訴をちゅうちょしたような事例でも、熊本弁護団が取り組んできた。その姿勢に学ばねばならない」との発言もありました。


報告集会で藤原弁護団長は次のように訴えました。

―我々の運動の二大目標は「核兵器の廃絶」「被爆者に対する補償」だ。広島・長崎での被爆は「核廃絶」に立ち向かう原点であり、そのたたかいは途上にある。

裁判所がそれなりの努力をしているのに、政府はいまだに核被害に向き合おうとしない。この状況を打ち破るために、さらに努力していきたい。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

経済論戦でも安倍内閣を追い込みます:大門みきしエッセイ(7)

約三か月の入院・療養生活を終え、四月半ばより元気に活動に復帰しました。ご心配頂いた皆さん、温かく支えて頂いた皆さんに心から感謝を申し上げます。本当に有難うございました。

胆管がんという自覚症状のない難しいがんでしたが、運よく初期の段階で発見され、他に転移もなく、手術も成功しました。発見されないまま推移すれば予後一、二年だったそうです。この歴史的な情勢のもと、もう少し世の中のために働けと、お天道さまに言われたような気がしました。

国会に来て十五年四か月、経済論戦では負けたことがありません。小泉・竹中路線の欺瞞を暴露し、アベノミクスについても当初から亡国の経済政策だと指摘しました。非正規雇用問題を国会でいち早く取り上げ、現場の労働者と一緒にたたかい続けてきました。東日本大震災の復興支援では政府を批判するだけでなく、被災事業者を応援する具体的な制度づくりをすすめました。予算委員会での数度にわたる最低賃金引上げの政策提案は政府も無視できなくなっています。今までの経験と知恵をさらにバージョンアップし、経済論戦でも安倍内閣を追い込みます。

日本共産党の「戦争法廃止の国民連合政府」の提案、野党共闘の呼びかけが政治を大きく動かし、「政治は変えられる」という希望が広がっています。参議院選挙での野党共闘の勝利、日本共産党の大躍進、新しい時代をきりひらくため全力を尽くします。今後ともよろしくお願い致します。

(日本共産党参院議員・参院選比例予定候補)

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

俳句:新俳句人連盟兵庫支部

署名行動の朝芽吹きの谷登る
山明

「番号ッ」に高低返るボランティア
冬木

デモのあとグラッセの艶太穂の忌
俊子

五年目の母の海馬の春深し
由美子

春夕焼避難所に着く紙おむつ
淳一

震度七・六・五・四・三きょう穀雨
邦子

被災地にオスプレイ救援四月馬鹿
その子

亀鳴くや徘徊人の靴の穴
好子

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

兵庫山河の会「山河」より

春風と共に道行く若者よ君のちからがあしたをつくる
山下 勇

いかなごの解禁日なり店内の行列に知る三月七日
塩谷凉子

御水取り終わりし後に紫陽花の芽吹き鮮やか庭活気づく
鵜尾和代

たんぽぽが咲いていたよと君に告ぐ会議続きの心鎮めよ
山下洋美

大義なく死ぬのは嫌だ誰だって防大任官拒否の倍増
古賀哲夫

戦争法廃止の世論盛り上げる二〇〇〇万人の力をば見よ!
西澤 愼

戦争法廃止の政府作ろうと訴う駅頭春雨の来る
岸本 守

アベやめろ五党共闘成立しこの一戦に明日の日本が
大中 肇

訴えても訴え足りぬアベ政治糾弾ゆるめぬ命尽くるも
安武ひろ子

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

川内原発「停止する理由はない」:平気な顔の官房長官


段 重喜

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

「え! おたく共産党? 区役所に水がほしい言うたら、ここに電話して、言われたんやけど、共産党かいな、ほな結構ですわ」と言って電話が切れた。阪神・淡路大震災の救援活動中の一コマである▼二十一年前、地震で壊滅的な被害を受けた神戸の中心市街地に、大量の水や食料を、軽トラックに満載して真っ先に届けてくれたのは播磨町の金岡利春町議(当時)らと共産党後援会だった。震災三日目には広島県党から二十トントラックと給水タンクを積んだ車が到着した▼こんな支援を受けた共産党の救援隊は、区長に会って「水の手配など、必要なら共産党が対応しますよ」と申し入れた。区長は「市民から依頼があれば電話してもらうのでよろしく」と喜んで受け入れた▼冒頭の電話だが、「水が出ない。何とかしてほしい」と区に要請したマンション管理人が、区長の紹介で電話したら共産党だったので驚いて断ったのである。区役所で事情を聞いたマンション管理人が再度電話をかけてきたのは夜十時すぎ、水はすっかりなくなっていた▼電話の向こうでがっかりする管理人に、「今から水を汲んできて遅くなっても届ける」と約束し、それから山越えで北区まで水を汲みに行き、届けたのは午前二時、マンションの人たちは全員起きて待っていた。感激したこのマンション管理人からは、今もなお年賀状が届く。(D)

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

次号は5月15日付

次号は5月15付です。8日付の代わりに29日付を発行します

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)