Q、原発問題や一方で太陽光発電もある、またユニバーサルサービスで考えねばならないことは?
電力兵庫の会 速水二郎
Q 「電気代のコスト」を算出する方法はいつも問題ですね。
A いま政府や十電力会社・原発利益共同体は何がなんでも原発の再稼働に全力をあげています。環境コスト、つまり福島事故処理費用や原発廃炉から数万年後まで管理運営に要する天文学的なコストを何ら考えない現実、これを正しく料金コストに反映させる指摘を続けないといけません。
一方、自由化により規制がなくなって市場が価格を決定しますが、それが適正価格かどうかはわかりません。
新電力から示される情報が環境コスト等も含めて開示されているかどうかしっかり見る必要があります。そうでないと発電コスト等の根拠となるデーターは企業秘密とされてしまうかも知れません。
*
Q 原発再稼働が安倍政権で顕著ですがどうなるのでしょうか。
A 関電の場合「原発が動かせないので火力発電の燃料代が高い」といって二度も大幅値上げをしました。そのため多くの顧客が逃げました。
高浜原発の再稼働強行によって、今後しばらくすると料金を値下げして顧客を囲い込もうとすることが予想され、新電力を倒産させることもありえるでしょう。
*
Q 新電力の発電量が小さい場合は、関西電力の電気で補充されるとも聞くが、それなら結局は原発の電力を使うことになるのではないか。再生可能エネルギーを伸ばすために、どのような選択が賢明か。
A 「少々高くてもいいから原発以外の電力を使いたい」という消費者は今後増えていくと思います。各地の再生可能エネルギー発電事業、自治体の取り組みなどとも手をつないで情報交換を強めていく必要があると思います。
ただ、電気は発電=消費で合算されていますので原発が再稼働されたなら、区別することが難しいことをよく知っておく必要があります。また、今後、太陽光発電の買い取り価格が政府によって安くされていくこともあります。
*
Q 大消費地の都会と過疎地帯で料金格差は出るのでしょうか。
A 「新電力百三十社」は首都圏、近畿、中京圏に集中し、ここで顧客獲得の乱売合戦となっていきます。
離島や過疎地域などにも都市部と同様の料金で電力を供給するというユニバーサルサービスについて、政府は二〇二〇年をめどに現在の規制料金を残しますが、そのあと全廃します。そうすると過疎地で電気料金が跳ね上がる危険性もあります。
つまり市民の強い監視ができないと、安い方の料金を引き上げ、高い方の顧客の奪い合いに終始することもありえるのです。
過疎地域や、単身者、省エネに努力している家庭ほど不利益をこうむることも考えられます。
(2016年2月21日付「兵庫民報」掲載)