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観感楽学

「私は、この住宅に入居して穏やかに人生を終えられる場所として日々営み努力してまいりましたが、十数年を経て市長に裏切られました」。静かに語り始めた安田秋成さんの意見陳述に委員会は静まりかえった▼九十二歳の誕生日を迎えた安田さんは、「突然の転居通告以来、私の住宅でも二十四戸のうち九人が亡くなり、先月も七十歳の女性が転居準備中に倒れ、隣の女性が救急車を呼び入院しました。高齢者には移転準備そのものが苦痛なのです」と借り上げ住宅への継続入居と、「提訴」の取り下げを求めた。さらに、市民がどんな思いで陳情に臨んでいるか、こんな事実を紹介した▼二年前、「二十年の期限の時、私は八十四歳十一カ月、ひと月足りない、助けてください」と勇気を振り絞って意見陳述をした八十二歳の女性が、市議会議長からの「審議打ち切り」通知を見て卒倒し、「今も回復していないのです」と。悲惨な現実だった▼しかし、この委員会で市当局を追及し、陳情の採択を求めたのは共産党だけで、自・公・民・維の議員は一言も発しないまま「審査打ち切り」にした。傍聴者は、安田さんとともに意見陳述した四人の他、フェイスブックをみて参加したという女性二人だけだったが、初めて議会を傍聴したという女性は、「ひどい!これが実態なんですね」と語り、「安田さん感動しました。お誕生祝、私にお昼ご馳走させてください」と声をかけた。 (D)

(2016年11月6日付「兵庫民報」掲載)