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2016年9月25日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟傍聴記:2016-09-16

「放射線起因性」と「要医療性」の判断をめぐって

副島圀義

九月十六日、大阪地裁では豊島達哉弁護士が、十四日の名古屋地裁判決を紹介して意見陳述しました。
名古屋地裁は原告四人のうち二人は訴えを認め、二人は退けましたが、全員について発病が被爆によることは認めています。
「被爆者の発病原因を考える時に、爆心地からの直線距離だけではなく、放射線感受性の個人差、被爆状況、被爆後の健康状態、疾病歴などを総合的に判断する」との司法判断の流れは動かしがたくなっています。
いっぽう「要医療性」を個々の被爆者についてどう判断するか、は司法判断も分かれ、名古屋地裁は「術後の経過観察」は医療とは言えない、としました。
豊島弁護士は健康な人が定期的に受ける健康診断と、がんなどにかかった被爆者が術後に「経過観察」を受けるのとは意味が違う、と主張しました。

傍聴していて感じることが三つありました。
①「個々の被爆者が発病したメカニズムを解明しなければ、被爆との因果関係は認めない」という国の主張は、もはや被爆者に対するいやがらせでしかありません。
日本被団協の提案のように、被爆者が病気になったら、その重さに応じて手当てを支給する(結果的に今の手当額より低くなる場合もある)という実際的な制度に切り替えるべきです。
②国側が好んで使う言葉に「科学的知見」というのがあります。が「結論先にありき」と利用する「科学的知見」は、せいぜい「ひとつの学説」です。核開発につきまとってきた秘密主義・被害の隠蔽のもと、放射線の人体影響についての科学的解明は大きな制約をもっています。
「わからないことを率直に認める」「あくまで事実から出発する」―こういうことこそほんとうの「科学的な態度」でしょう。国側が「科学的知見」といったら「そういうのは科学的とは言わない。被爆者から被爆の実相を謙虚に聞き、学び、受け止めることこそ、科学的な態度というのだ」と言い返してほしいな、といつも思っています。
③「裁判…は公開法廷で…行ふ(憲法八二条)」はずなのに、実際の真理のほとんどは、双方からの書面や証拠を裁判官だけで読んでやっています。最高裁にいたっては公開の弁論自体が例外的。これって憲法違反じゃないですか? まして、公開法廷で何も言わずに座っているだけの訟務官。税金のムダ遣いじゃあ、ありませんか?
治安維持法国賠同盟県本部が総会
歴史認識学習の必要性を強調
――新会長に戸崎曽太郎氏
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部は九月十一日、神戸市内で第三十五回総会を開きました。
総会では、昨年来の「戦争法」廃止の運動から参院選にいたる活動で、同盟の組織も拡大したことが報告されるとともに、選挙後、安倍内閣による、改憲の動き、「共謀法」制定の企みがあることに対し、各分野・各地域の運動と連帯して、同盟の運動を進める活動方針をきめました。
特に、安倍総理とその背後、補完勢力は歴史修正主義者であり、正しい歴史認識で対抗するため、学習を進める必要を強調しています。
二〇一八年春に「同盟結成五十周年」、同年秋に「県同盟発足三十五周年」を迎えるのに併せて記念行事を展開することとし、必要な資金百万円を集めることも決めました。
また、新役員を選出し、新会長には戸崎曽太郎氏を決めました。
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議事の後、平野喜一郎氏が「治安維持法を生んだ近代日本の闇」と題して記念講演。氏は一九三〇年代のドイツと日本の情勢を対照し、安倍氏らはかってのドイツの道を進もうとしているが、今日の日本はそれを許さないだけの力がある。「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、二度目は茶番として」にしなければならないと締めくりました。
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総会では、日本共産党の金田峰生国会議員団兵庫事務所長が来賓あいさつとして参院選結果を報告し、国民は決して負けていないと強調しました。

(2016年9月25日付「兵庫民報」掲載)

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