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2016年8月28日日曜日

観感楽学:美しい言葉と染みる言葉

「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」―『ウルトラセブン』第二十六話「超兵器R1号」(一九六八年放映)でのモロボシ・ダンの台せりふ詞です。惑星を吹っ飛ばすほどの兵器を地球防衛軍が完成し「これで平和が保たれる」と他の隊員が喜んだのに対し「地球守るためなら何をしても良いのか」「侵略者はもっと強力な武器を開発するはず」とダンが反論▼「なら我々はもっと強力な武器を」の再反論にダンが静かに語ったのが冒頭の言葉。八月十七日の毎日新聞夕刊に掲載された同編集長の随筆からの引用です。核兵器廃絶の強力なメッセージだと同氏は指摘しています。その文章の題は〝危うい時代に染みる言葉〟▼ところで、芥川龍之介の『侏儒の言葉』にこんな一節があります。「文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ」。でも美しさはどこから?▼芥川自死から二年後、文芸評論家・宮本顕治は「我々は如何なる時も、芥川氏の文学を批判し切る野蛮な情熱を持たねばならない」と書いています。さて、真に美しい言葉、今をいっしょに生きている人々に染みていく言葉はいかにすれば紡つむぎだされるか。 (T)

(2016年8月28日付「兵庫民報」掲載)

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