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2016年8月28日日曜日

神戸映サ9月例会『イロイロ―ぬくもりの記憶』

家族の姿に温かな余韻



シンガポールの小さな家族を描きながら、家族の問題・少年の成長・資本主義社会への疑問・移民や階層の問題といった、文化や国境を越えた普遍的な価値観を散りばめ、世界中の映画祭で絶賛された作品です。

「イロイロ」とはフィリピンの地名で、フィリピン人メイド、テレサの出身地です。公共住宅、共働きの夫婦、住み込み外国人メイド、中華・マレー・インドなどの異人種共存、複数の言語を随時使い分け、独自に進化した「シングリッシュ」を話すといったシンガポールの象徴的な日常が描かれます。

本作の中国語題は「父も母も不在」。舞台となる一九九七年はアジア通貨危機の年。厳しい経済状況の中、両親は神経をすり減らして毎日を過ごしており、とても息子のことにまで思いを巡らせることができません。そこへテレサという他人が関わることで、少しずつ登場人物たちの気持ちに変化が起きるのが、この作品の見どころとなっています。

シンガポールが舞台となっていますが、世界中の家族に通じる普遍的な物語『イロイロ ぬくもりの記憶』。私たちの心にじんわりと温かい余韻を残す作品です。
(桑田葉子)

神戸映画サークル協議会市民映画劇場9月例会

9月9日(金)①11時②13時30分③16時④19時、10日(土)①11時②13時30分③16時④18時30分/神戸朝日ホール4階/監督:アンソニー・チェン、出演:コー・ジャールー、アンジェリ・バヤニ/2013年、シンガポール、99分/一般1300円(当日1700円)、シニア・障がい者・大学生以下1300円/主催:神戸映画サークル協議会 ☎078‐371‐8550、http://kobe-eisa.com//今月は第2金曜日・土曜日の開催

(2016年8月28日付「兵庫民報」掲載)

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