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2016年8月7日日曜日

神戸映サ8月例会:『野火』


アジア太平洋戦争末期のフィリピン、レイテ島。生還率が三%といわれる地獄の戦場です。

映画は日本軍の抵抗がほぼ壊滅した後、米軍との戦いは虐殺のような一方的な戦闘シーンがわずかにあるだけで、あとは熱帯の原野をさまよう敗残兵たちの姿、生死の極限に追い詰められた人間が映し出されます。
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一九六〇年生まれの塚本晋也監督は、高校時代に大岡昇平の小説『野火』を読み、衝撃を受けます。映画化の企画は二十年ほど前から出し続けます。

そして戦後七十年間近の日本を見て「今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません。今作らなければもうこの先作るチャンスはないかもしれない」と思い、私財を投じて完成させました。

昨年公開された『野火』は、キネマ旬報ベスト・テン二位に選ばれ、この夏には各地の映画館でアンコール上映されています。
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例会では二十日十五時十五分から京都歴史教育者協議会副会長の家長知史さんによる講演「アジア太平洋戦争と『野火』」も行います。
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青い空、流れる白い雲、真っ赤な夕焼け、緑の木々。生命力漲みなぎる自然の下、戦争を始めた時の大義名分はいつの間にか消え去り、見捨てられた兵士たち。ヒーローなんて現れないし、センチメンタリズムもありません。戦争の痛みを直視し、語り継ぐ責務が私たちにはあります。
(木村百合)

神戸映画サークル協議会8月例会

2014年日本映画、87分、原作=大岡昇平、製作・監督・脚本・出演=塚本晋也、出演=リリー・フランキー、中村達也ほか/8月19日(金)①11時②13時30分③16時④19時/20日(土)①11時②13時30分☆講演15時15分~16時15分③16時30分④18時30分/神戸朝日ホール/一般当日1,700円(前売1,300円)、シニア・障がい者・大学生以下1,300円/☎078‐371‐8550、URL http://kobe-eisa.com/

(2016年8月7日付「兵庫民報」掲載)

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