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2016年7月24日日曜日

観感楽学

「一九六〇年六月十八日、その〝自然成立〟を前に徹夜で国会前に座り込んだ、万を超えるデモ隊の一人であった私は、まだ二十五歳の自分の一生の学問的課題の一つを、いわば〝真実は隠蔽しウソは誇大に宣伝する〟本質的属性を持つ国家権力の歴史的な分析・批判に充てようと決意した」▼かつてその著作を少しかじるも歯が立たなかった歴史研究者の芝原拓自。雑誌『経済』八月号冒頭の随想筆者としてその名前を久しぶりに目にしました。六〇年の安保改定の際にとった岸信介の対応と今回の戦争法強行に続く参院選でのアベ首相発言はまったく同じ。芝原はそのとき見破ったものを研究者としての生き方の基本にすえました▼いまの社会はどうか。「だれの子どもも、ころさせない」と、ママたちは戦争反対を被害・加害の統一思想として発信しました。「二〇一五年十一月二十三日、わたしは戦争法に反対します」と、シールズのメンバーは自立思想で意見表明しました。そして「総がかり行動実委」から「市民連合」へ、さらに参院選の野党共闘は共同思想を飛躍させました。その思想は日本社会の中に、また芝原と同じように各人の生き方の中に。(T)

(2016年7月24日付「兵庫民報」掲載)

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