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尼崎アスベスト訴訟(労災型):大阪高裁が控訴棄却

労災認定されていても石綿関連死を否定


石綿の規制を怠った国と加害企業・クボタの責任を問う尼崎アスベスト訴訟(労災型)の控訴審判決が五月二十六日、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)であり、被害者の控訴を棄却しました。

この裁判は、尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手の遺族が国とクボタに、耐熱材として石綿製品を使用し曝ばく露ろを受けて肺がんで亡くなった溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていたものです。

判決は、「石綿運搬作業での肺がん発症と本件(クボタ旧神崎)工場での石綿曝露との間には因果関係を認めるに足りない」、「溶接工の肺がん罹患は、従事していたと認められる石綿取扱業務との因果関係を認めるに足りない」と被害者を切り捨て、「原告の請求はいずれも理由がない」と言い切りました。神戸地裁判決が「低濃度の石綿曝露」、「具体的な曝露状況が不明」として国・クボタの責任を免罪しましたが、これ以上に不当なものです。

判決報告集会(発言するのは尼崎の会の船越正信会長)

判決後の報告集会で、原告団、弁護団、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は連名で「声明文」を発表。和田信也弁護団事務局長は、肺がんと明らかに曝露を受けていた石綿の因果関係を認めず、国とクボタの責任を否定した判決について、石綿に曝露したことを認めて労災認定されていることの矛盾を指摘。被害者に何十年もさかのぼって、具体的かつ詳細に立証責任を求める不当性を告発し、各地の裁判での石綿被害者救済の流れに逆行するものと厳しく糾弾しました。

声明文では「本判決に対し、直ちに上告を検討するとともに、国とアスベスト関連企業に対し、被害者に対する医療と生活面への全面的な保証制度」を求めています。

原告の二人が、傍聴、報告集会に詰めかけた百三十人の支援者に感謝するとともに、判決への思いを語りました。

(粕川實則=アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会事務局長)



(2016年6月5日付「兵庫民報」掲載)