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2016年6月19日日曜日

「部落差別解消推進法」は部落差別の固定化・永続化法案

――広範な共闘で廃案めざそう


兵庫県地域人権運動連合事務局長 前田 武

二〇〇二年三月末で三十三年間にわたった国の同和に関する特別法が終結して十四年目となります。それなのに突然、自民党、公明党、民進党が通常国会に「部落差別の解消の推進に関する法律案」(部落差別解消推進法案)を提出してきました。部落解放同盟(解同)の機関紙「解放新聞」(五月二十三日付)には、「法制定へ前進―国会議員に要請行動」と報道しており、解同等の要請であることは明白です。

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昨年十一月十六日、自民党の二階俊博総務会長らによる「人権問題解決に向けた和歌山県集会」が東京・千代田区のホテルで開催され、この集会で稲田朋美政調会長が講演し、「匿名によるインターネット上の不当な人権侵害等が広がっている」と述べ、部落差別の法規制の必要性に言及しました。これを受けて二階総務会長の指示で自民党内に「部落問題に関する小委員会」を立ち上げ、山口壯つよし衆院議員(兵庫12区選出)が委員長に就任し、「部落差別解消推進法律案」をまとめたようです。さらに同党の政務調査会に「差別問題に関する特命委員会」(平沢勝栄委員長)が設けられ「議員立法を検討し、今国会中の成立」を目指す動きが作られました。

これが法案提出の経緯です。そして、同法案が衆院法務委員会で提出されていない五月十八日の段階で、理事会協議とした上で、翌日十九日には、自公・民進の三会派が法案を共同提案し、趣旨説明を行い、拙速にも二十五日の法務委員会で採択強行の動きが作られました。

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同法案には、部落差別の解消に向けて「国と地方公共団体の責務」「相談体制の充実」「国民の一人一人の理解を深める」「部落差別を解消するため教育及び啓発」「地域の実情に応じた施策」「部落差別の実態に係わる調査」などが含まれています。この法案制定を許すと、部落差別の固定化・永久化となり、事実上「同和行政」が復活されます。

そして、国民には、差別問題に特化した「人権教育・啓発」が際限なく強化され、国家による「思想統制」が強まることは必定です。同時に憲法で保障された基本的人権の具現化を求める要求や運動が抑圧されかねません。

そこで、全国人権連は二十四日、急ぎ上京し、衆参法務委員の五十五人の議員に対して、法制定に反対の要請行動を展開しました。二十五日の衆院法務委員会では、日本共産党の清水忠史議員がただ一人、四十分にわたって法制定反対の明快な質問を行いました。

結局、法案は継続審議扱いとされ、火種は残されています。次期国会に向けて、廃案に向けての広範な共闘の運動が求められているところです。

(2016年6月19日付「兵庫民報」掲載)

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