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2016年6月5日日曜日

借り上げ復興住宅:西宮市も住民を訴え

西宮市が、借り上げ復興住宅シティハイツ西宮北口の住民に対し明け渡しを求め、神戸地裁尼崎支部に提訴しました。

訴えられたのは同住宅に継続入居を希望する七世帯十人。住民と、「西宮UR借り上げ公営住宅入居者を励まし、支援する会」、借上復興住宅弁護団は五月三十日、西宮市役所内で記者会見し、提訴に抗議する共同声明を発表しました。

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期限の記載のない入居許可書をしめす
入居者の中下さん(右)

声明は、全員継続入居を認めた宝塚市・伊丹市、不十分ながら一部入居者の継続入居を認めた神戸市・兵庫県とも異なり、一律全員転居を推進する西宮市は極めて特異だと指摘。

また、▽西宮市議会が三月議会で提訴を承認したものの、訴訟手続きと並行して引き続き代理人による協議の継続を求める決議をし、訴訟に至った後であっても話し合いによる解決を放棄すべきでないと市長に求めていること▽県弁護士会も四月、継続入居の必要性にもかかわらず自治体が明け渡しを求めることができる先例を残せば、復興住宅施策制度への信頼感を喪失させる懸念が大きいとして、個別事情に配慮するよう意見書を発表していること▽同様に住民を訴えた神戸市に対し「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」が進める「戸別借りによる継続入居を求める」署名がこの二カ月半あまりで四十四都道府県から約六千五百筆よせられていること―をあげ、継続入居を求める世論が広がっていることを示しています。

その上で声明は、入居者の居住の安定のために早期解決が望まれるにもかかわらず、訴訟は手続きの性質上、早期解決の道を閉ざす「最悪の選択」であり「復興災害の最たるもの」だと強く批判し、災害復興住宅などを「終ついの棲家すみか」として暮らし続ける「被災者居住権」を獲得するため力をあわせてたたかっていくと決意を表明しています。

記者会見する入居者ら

住民のひとり中下節子さん(78)は記者会見で、「私たちは、市営住宅として許可をもらって入居しました。期限があるとは聞いていなかったのに、三年前になって『出て行ってくれ』と言われました。こんなことが世間で通りますか。私の方が市長を訴えたいぐらいです」と訴えました。

住民には何の落ち度もない


支援する会で報告する杉山議員

「支援する会」は五月二十九日に報告集会「借り上げ住宅問題のこれまでと今後」を開催し、西宮市議会でのこれまでの論戦を日本共産党の杉山たかのり市議が報告、市との交渉経過と今後の対応について借上弁護団事務局長の吉田維一弁護士が報告しました。

また、五月十七日に第一回弁論が行われた神戸市との裁判をたたかっているキャナルタウンウエストの丹戸郁江さん(72)も挨拶しました。

吉田氏は、入居期限の記された入居許可証は一枚も存在しないことが情報公開でも明らかになっていることもあげ、入居者には何の落ち度もないと指摘し、裁判では神戸と同じ論点での争いとなるとの見込みを述べました。

西宮市長あての署名運動

その上で、シティハイツ西宮北口は全国で最初の借り上げ復興住宅であることから全国的な注目が集まっていること、いち早くこの問題をとりあげてきた日本共産党西宮市議団の努力もあり、市議会各会派も借り上げ住宅問題について認識を深め、話し合いによる解決を求めていることをあげ、市民に知らせ、世論を広げることが神戸以上に有効になると指摘し、継続入居を求める市長あて署名運動の大きな取り組みを呼びかけました。

また、神戸でも西宮でも傍聴席をあふれさせ、裁判官に世論の高まりを伝えることも重要だと指摘し、傍聴支援を広げることを訴えました。

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なお、神戸市議会の現状について吉田氏は、弁護団が一月に行ったアンケートに対し、自民党議員団が「入居募集時より、借上復興住宅には期間があることを明示されており、一般市営住宅とは区別されていることから公平性が問われるものではない」と事実と異なる認識を示していることや、一般の公営住宅入居者と借り上げ住宅入居者との公平性について、公明党議員団が「これらの住宅に入れなかった被災者との公平性」があると述べ、公営住宅を十分に提供できなかった市の責任を棚上げにしていることを批判しました。(アンケートへの回答全文は、神戸あじさい法律事務所サイトの「活動報告」で公開されています。PDF版のURLは http://ajisai-law.jp/20160208.pdf

(2016年6月5日付「兵庫民報」掲載)

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