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2016年5月22日日曜日

神戸市借上復興住宅強制退去裁判始まる

被災者の居住の権利、生命と健康守れ


5月12日の裁判の報告集会

神戸市がURからの借り上げ期間満了を理由として、借り上げ復興住宅キャナルタウンウエスト(神戸市兵庫区)に入居する被災者に明け渡しを迫る裁判が始まりました。

五月十二日には改正公営住宅法施行(一九九六年八月)後の九九年に入居した男性(65)を被告とする訴訟の第二回口頭弁論が神戸地裁で行われました(三月十七日の第一回期日では神戸市側が訴状を陳述)。神戸地裁は当初、一人の裁判官の取り扱いとする予定でしたが、被告側弁護団がこの訴訟の社会的意味・結果の重要性を主張し、第五民事部の裁判官三人の合議で進められることになりました。

男性は意見陳述で、入居許可証には明け渡し期日はかかれておらず、入居後も説明はなかったこと、同住宅で終身生活できるものと信じて生活し、腰椎ヘルニアはじめ持病治療のため近隣の医療機関を利用するなど環境をつくりあげてきたことなどを述べ、「ついのすみか」での静かな生活を返してほしいと主張しました。

また、被告代理人の佐伯雄三弁護士も意見陳述し、この訴訟が我が国における被災者の居住に関する権利とともに生命と健康が問われていると、この訴訟の意義についても指摘しました(味口市議の傍聴記参照)。

五月十七日には、改正公営住宅法施行前に入居した女性二人を被告とする訴訟の第一回口頭弁論が行われました(詳しくは次号)。



神戸市だけの問題ではない絶対負けられない裁判


味口としゆき(神戸市議)

被災自治体である神戸市が、被災者である借り上げ住宅入居者を訴えるという文字通り暴挙というべき裁判が始まりました。

被告代理人・佐伯雄三弁護士の意見陳述は、道義的にも、法的にも、「二十年の期限」を口実に、入居者に退去を迫る事に、一片の道理もないことを示すものでした。また、「阪神・淡路大震災から二十一年が経過する中で、被災自治体としての経験を有していたはずの神戸市が、長年にわたり、地域の中で育まれてきた入居者の様々なつながり(コミュニティ)を破壊することについて何ら躊ちゆう躇ちよすることもなく、訴訟を提起し退去を強制しようとする暴挙に、現在、東日本大震災の被災地などの被災者らを始めとして全国の国民が驚きをもって注視している」(意見陳述)を聞き、熊本地震で避難生活を余儀なくされている被災者の方々は、この裁判をどう受け止めるだろうかとの想いが頭をよぎりました。

震災で、家を失い、途方にくれるなかで、二十一年間、苦労に苦労を重ねてきた被災者を追い出すことが合法であるなどと決して認めさせるわけにはいきません。この裁判の行方は、ひとり神戸市の問題ではなく、「我が国における被災した者の居住に関する権利とともに、生命と健康が問われ」(意見陳述)ています。絶対に負けられません。神戸市の施策が間違っていることを司法の場で明らかにできるよう、私も、支援の輪を広げ、頑張ります。

(2016年5月22日付「兵庫民報」掲載)

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