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2016年5月29日日曜日

観感楽学

五月十五日、東京で開かれた「若者憲法集会2016」が採択したアピール文に次のような行(くだり)があります。「私たちは、広がる運動を通して、憲法に刻まれた平和と民主主義の理念、個人の尊厳を守るという意味をあらためて心に刻みました」▼憲法に「規定された」ではなく「刻まれた」と表現し、あらためて「理解」ではなく「心に刻み」としています。日本国憲法を作り守ってきたのは誰かということと、その憲法を自分たちが実現していくのだという意思を「刻」という字に込めているのです▼さて、その刻を使った中国の故事に「刻舟求剣」というのがあります。秦の時代の『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』にでてきます。長江を進む舟から剣を落とした者が舷(ふなばた)に印を付け、舟が止まった時点で印の下の水底を探すというもの。古い法で政治を行うことの愚かさを説いたものです▼歴史に逆行し、「戦争する国」の印を今の日本社会に無理矢理刻もうとする輩(やから)たち。これに対して日本国憲法を心に刻んだ若者は、十五日の集会後のパレードでこんなスピーチをしています。「この国を私物化してきた雑草たち。地道に抜いていきましょう。ここは、私たちの国なのですから」 (T)

(2016年5月29日付「兵庫民報」掲載)

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