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2016年5月1日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2016-4-21

「被爆の実相」が原点:司法判断の後退を押し返す

副島圀義

四月二十一日。大阪高裁(大法廷)では、四月十一日の福岡高裁判決の特徴点を愛須弁護士が説明。さらに弁護団は、被爆者医療に携わってきた医師の意見書提出や証人申請も検討中、と述べました。

大阪高裁での「二連敗」を押し返すうえでも、あらためて「被爆の実相と司法判断の到達点を、裁判所がしっかり理解するよう求める」立場にたったものでした。


福岡高裁の判決は「被爆者の病気と被爆の関係は、具体的総合的に考慮すべきだ」「国が援用する被ばく線量の推定方法は一応の目安にとどめるべきだ」とし、一審勝訴原告に対する国の控訴を退けました。

一審で敗訴した原告の訴えを退けた判決でもありましたが、「原爆放射線の起因性」についての判断基準は、明快に、国の主張を打ち破るものとなっています。

大阪高裁が、国の主張を鵜呑みにした判決を出したあとで、再び、「集団訴訟」以来の司法判断の流れにそった判断を、福岡高裁が下した意義は大きいものがあります。

この訴訟を担った熊本の弁護団は、熊本大地震でたいへんな被害をうけています。

そのこともあって「熊本のたたかいの成果をぜったいに生かさねば」との、関西弁護団の熱意が伝わってくる弁論でした。

報告集会での補足報告では「原爆症と認定させるのがなかなか難しく、我々なら提訴をちゅうちょしたような事例でも、熊本弁護団が取り組んできた。その姿勢に学ばねばならない」との発言もありました。


報告集会で藤原弁護団長は次のように訴えました。

―我々の運動の二大目標は「核兵器の廃絶」「被爆者に対する補償」だ。広島・長崎での被爆は「核廃絶」に立ち向かう原点であり、そのたたかいは途上にある。

裁判所がそれなりの努力をしているのに、政府はいまだに核被害に向き合おうとしない。この状況を打ち破るために、さらに努力していきたい。

(2016年5月1日付「兵庫民報」掲載)

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