存続求め地域に広がった署名
日本共産党神戸市議 林まさひと
「神戸市教育委員会が市立幼稚園の九カ所が閉園を決定」―昨年六月、新聞報道で表面化しました。この突然の決定は、幼稚園に子どもを通わせている保護者はまったく知らされていませんでした。
教育委員会は、幼稚園を希望する園児が減少する中で、私立を含めた幼稚園の供給が過剰などとして、その調整に公立幼稚園を削減。その手始めに、東灘・須磨・垂水の三区で二カ所ずつ、中央・北・西の三区で一カ所ずつの合計九カ所の廃園を計画しました。
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神戸市の幼稚園廃園に反対するお母さん方や自治会などは、廃園の中止や延期を求める署名を集め、短期間で二万筆の賛同が集まりました。
私も西区の木津幼稚園のお母さん方といっしょに署名を集めました。
九月に開かれた神戸市議会には、東灘区からは九つの地区協議会(自治会)の区長連名の「閉園中止を求める陳情」、北区や西区などからは幼稚園の保護者会代表の「園の存続」「閉園の撤回または延期」を求める陳情が提出されました。
議会で陳情は採択されず審査打ち切りになったものの、教育委員会は、九園のうち三園の閉園時期を一年遅らせるよう計画を変更しました。それでも、保護者や地域の反対の声は収まらず、署名に協力する市民も広がりました。
運動が広がることを恐れた久元喜造市長は、今年二月の予算議会に、九つの幼稚園を二〇一七(平成二十九)年度から二〇二〇(平成三十二)年度にかけてそれぞれ閉園する計画を盛り込んだ条例案を議会に提出しました(これまでは、個々の幼稚園が閉園する年度末に条例化していました)。
二月の予算議会には、八人の方が見直し・存続を求めて陳述されました。幼稚園児の現役のお母さん、以前に子どもを預けていたお母さん、また、神戸市立幼稚園連合会の会長を先頭にしたすべての園連名の陳情が出されました。陳情のどれもが感動的なものでした。
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陳情者の陳述は、運動を通しての保護者の認識の深まりを感じさせました。神戸市の「神戸創生戦略」の人口目標(四十五年間で十四歳以下の人口を五%しか減らさない)と廃園の事業計画との矛盾や、全国の公立廃園の流れに対して市立幼稚園存続の意義を指摘したことは、的を射たものでした。 (続く)
(2016年5月29日付「兵庫民報」掲載)
