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2016年5月22日日曜日

市民にあたたかい神戸市政を〈16〉:神戸の地域経済(2)

中央駅周辺の再開発の是非


兵庫県中小商工業研究所所長 近藤義晴

ドイツでは、大都市の鉄道中央駅が巨大ショッピング・センター化(飲食業やサービス業を含む)している。

ドレスデンでは、駅を起点として旧市街までの地域が新たなショッピング・ゾーン(ホテルを含む)として再開発されている。

人々の住居が旧市街地から周縁化し働き場所と隔たるほどに、他の交通手段とも連結し、中央駅は従来以上に人々が行き交い交流する中心的場となる。そこでは、スーパーや専門店の営業時間は長いし、ホールがイベント会場ともなる。多様な生活欲求を充足する総合的な大規模施設が駅に付加されると、生活者の動線は大きく変化する。

この変化により、旧市街等の既存店舗は影響を受けることになるが、その程度は、都市全体の街づくり計画によっても異なる。旧市街地やその周縁、さらには郊外に、スーパー、専門小売店、個人商店等を含む多様な形態の店舗が共存したショッピング・ゾーンが単位地域に応じた規模で形成されるならば、近場での買物も可能である。人々は、欲求・必要に応じて、用足しの場を選択することができる。

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三宮周辺地区の「再整備構想」(再開発構想)が浮上している。

前回の市長選では、この構想を基本的に是とする候補者が多数の票を得た。

しかし、この構想には問題がある。①この地域の再開発に巨額の資金を集中投下することの是非、②構想実施に伴う当該地域内および周辺地域の既存施設へのマイナス作用の評価―である。

①については、さらに緊要度の問題と市内の他地域との兼ね合いの問題がある。財政状態が悪いのに、将来的に投資効果が見込めるか? 市民生活上緊急度の高い他の分野への財政支出の必要はないのか? 三宮周辺地域の再開発により、神戸市内各区ないし各地域の生活の豊かさの向上がどのように実現するのか? これらの諸点の解明が必要である。

②についても、実施に向けた具体的なプロセスの明示と地域のコンセンサスが必要となろう。ドレスデンの場合、市全体の土地利用(機能分け)計画を含む、街づくり基本計画を策定して、再開発が進んでいる。

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三宮への一極集中に対する批判においても、市内におけるバランスのとれた街づくりが重要であるというなら、各地域の住民要求を基礎としつつも、それらの羅列を超えて、より具体的な全体構想の提起が必要となる。

都心住民の声と他地域住民の声と、またマイナスの影響を被りうる業者と便益を享受しうると考える生活者・需要者とは対立しうる。少数者の声が多数になるには、当事者の主体的働きかけと異なる立場間の調整過程が不可欠な作業となる。

(神戸市外国語大学名誉教授)

(2016年5月22日付「兵庫民報」掲載)

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