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2016年4月17日日曜日

憲法が輝く兵庫県政へ[25]:私学

狙われつづける私学助成

兵庫県私立学校教職員組合連合副委員長 永島徳顕

兵庫県における私学助成は、2000年度の「行財政構造改革」から始まり、現在の第3次行革プランにおいても、削減の標的とされていると言えます。学園運営の経費(教職員人件費を中心)に対する経常費補助(生徒一人当り単価)は、確かに1999年度の32万3309円から2016年度は34万5786円と増額していますが、県独自の積み上げ分(県単分)は、1999年度の7万2069円から2016年度は3万7614円となり、16年間の県行革で約半分となっています。

2010年度に前年比516.8%?


一方、生徒への直接助成である授業料軽減補助は、2010年度の「高等学校等就学支援金制度」の導入により、学費負担が一定程度軽減されましたが、2009年度まで約12億円だった県予算は、制度の導入により約6億円に減額され、2016年度も約6億円の予算となっています。なお、県はこの大幅な削減をごまかそうとしてかどうか定かではありませんが、2010年度当初予算発表において、国の就学支援金を含むとの表記のもと、2009年度予算額12億1441万3千円に対し2010年度62億7665万4千円、前年度比516.8%と発表しました。後に国庫分と県費を別建て(別項目)にして訂正しました。

交付税措置と一般財源化


経常費県単分の削減について県の説明では――総務省の地方交付税措置単価に生徒の授業料軽減分が含まれており、兵庫県では授業料軽減補助を経常費補助とは別途補助しており、支援措置が重複(額は不知)することから、第3次行革プランでその解消を段階的に図る――としています。しかし、何度、説明を聞いても釈然としません。

表は、私立高校生1人当りの経常費補助に対する総務省からの交付税措置分Aと兵庫県が実際に措置した分Bの金額及びその差額です。また、授業料軽減分は、総務省Aの単価とは別に交付税措置されています。

年度 総務省(A)   県(B) 差額(B-A) 授業料軽減分
2012年度 257,300円 248,845円 -8,455円 9,100円
2013年度 259,900円 253,445円 -6,455円 11,100円
2014年度 263,300円 253,445円 -9,855円 12,800円
2015年度 266,700円 253,445円 -13,255円 12,800円
2016年度 269,900円 253,445円 -16,455円 12,800円

2016年度では総務省から経常費として26万9900円(算定基準額)が交付税措置されていますが、県は25万3445円しか使わずに、1万6455円を授業料軽減補助との重複解消分とされます。また、授業料軽減分は別途1万2800円措置されているので合計2万9255円となります。これに生徒数3万5千人を掛けると、10億2392万5千円となり、単年度の授業料軽減補助予算の6億円を軽くオーバーします。なお、少なく見ても授業料軽減分の1万2800円で計算しても4億4800万円で約75%をカバーしています。

この問題をややこしくしているのは、地方交付税の一般財源化にあります。いわゆるひも付きではない交付税は、その使途が地方自治体に任されています。それゆえ満額使わなくても良しとされます。しかし、交付税措置は、すべての地方団体が医療・福祉・教育等で一定の水準を維持できるように、普通交付税額を算定し、一定の合理的な基準によって再配分するものなので、一般財源化により、算定基準を無視する免罪符とはなりません。

憲法と地方自治


「国がやるべきことは国が、県がやるべきことは県が」、両方がやることは無駄で合理的ではないとよく耳にしますが、本当にそうでしょうか。

一時はやった二重行政の解消は、不要不急のものには大いに歓迎しますが、医療・福祉・教育等の本来国の責務におけるものについては、二重行政大いに結構です。

憲法の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の保障と、国から独立した地方自治が自らの権限と責任において地域の行政を担うことの両立に矛盾はありません。つまり、良質で堅固な土台を国が担い、その上にプラスアルファとして、より手厚い手当や地方に合った施策を自治体が担うことが求められています。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

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