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2016年4月10日日曜日

憲法が輝く兵庫県政へ[24]:障害者

憲法に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する県政を

兵庫障害者連絡協議会事務局長 井上義治

人口減のもと、増え続ける障害者


二〇一四年度末現在、兵庫県における身体・知的・精神等の障害者手帳所持者は三十二万六千四百九十六人となっている。兵庫県の人口は二〇〇五年以降減少しているが、障害者手帳所持者は増え続け、特に精神疾患による手帳所持者はこの一〇年で二・二倍と急増している。改正障害者基本法により障害者の範はん疇ちゆうとなった難病患者三万九千人(一四年度末現在)を加えると実に県民十五人に一人の割合で障害者が兵庫県で暮らしていることになる(表1)。

今後も障害者は増え続けると予想され、今や障害者問題はひとごとではない。

表1 障害者手帳所持者数
年度身体障害者手帳療育手帳精神保健福祉手帳合計所持者率障害者1人当たり県民数
2005年3月末211,098人27,757人16,554人255,409人4.60%21.9人
2015年3月末245,476人44,455人36,565人326,496人5.90%17.0人
10年間の増加率1.16倍1.60倍2.21倍1.28倍

「すまい」は福祉の基盤


障害のある人が必要に応じて各種制度を利用し、どこでどのように暮らすかの「自己決定」の基盤は、「すまい」の保障が必須である。

県は第三期兵庫県障害福祉計画(二〇一〇年度~一四年度)の五年間でグループホーム・ケアホームの設置目標を二千八百五十人分としていたが、実績は二千五百四人分であり、もともと目標設定が低いにもかかわらず八七・九%の達成率にとどまっている(表2)。

県は、自ら設定した目標がなぜ達成することができなかったのかを検証し、グループホームの建設や当該職員の劣悪すぎる処遇を改善するための県独自の助成制度を創設する必要がある。

表2 グループホーム・ケアホームの目標と実績
2010年度2011年度2012年度2013年度2014年度
目標1,959人分2,795人分2,256人分2,363人分2,850人分
実績1,586人分1,771人分2,283人分2,299人分2,504人分
達成率81.00%62.40%101.20%97.30%87.90%

自立生活・社会参加の第一歩は移動の保障


障害のある人が普通に地域で暮らし、余暇活動を含め社会参加をするためには移動を可能とする制度保障が必要である。

その一つとしての移動支援は、障害者総合支援法(以下、支援法)の地域生活支援事業に位置付けられ、市町が独自にさまざまな条件を設定し実施されている。そのために市町間の格差が生まれている。

例えば、移動支援の利用時間の上限の設定のないのは十三市町、通所・通勤・通学も利用可としているのは三市町であり、事業単価も身体介護ありで三十分あたり八百二十円から四千円、身体介護なしで五百五十七円から一千九百六十円となっている。

これだけの格差があれば、サービス提供事業者の参入やサービス提供体制づくりに困難さが生じ、障害者自身の移動支援に影響が出てきている。

県は、県内どの市町に暮らしていても、必要な時に必要な移動支援が気兼ねなく利用できるようガイドラインを策定し、必要な財政支援も行うべきである。

医療費助成制度は障害者・子どものいのちづな


障害者は障害があるがゆえに、一般の医療はもちろん、専門的な医療やリハビリと生涯縁が切れない。

井戸県政は、「行財政改革」の名のもとに二〇〇四年に一部負担金の導入、〇九年に所得制限の引き下げと負担金の増額、一一年には「世帯構成員相互に支え合う」として所得判定単位を「同一世帯の最上位者」から「世帯合算」へと、連続して改悪し、全国一厳しい重度障害者医療費助成制度にしてしまった。

障害当事者の障害や疾病等に関する医療ニーズを何ら考慮することなく、家族に責任を押し付け、医療費助成制度に所得制限を課すこと自体問題である。そして、乳幼児等・こども医療費助成制度にも「世帯合算」による所得制限を導入し、多くの乳幼児・子ども、障害者をこの制度から排除してしまった。

憲法・障害者権利条約を一人ひとりの障害者に


我が国は、国連・障害者権利条約(以下、権利条約)を二〇一四年一月に批准し、二月に発効した。権利条約は障害者に新たな権利を保障しようとするものでなく、障害のある個人が人間として普通の生活を送ることができるようにするために、国(政府)にそれを実現する責務を課したものである。

国(政府)も地方自治体も、憲法と権利条約に基づき障害者の権利保障の実現に向け、それぞれの役割を果たさねばならない。県行政としては、国の制度による悪影響を取り除き、県内の障害のある個人一人ひとりの尊厳を最大限確保するための施策の拡充に努めることが求められる。例えば、医療費助成制度に所得制限として導入した家族責任とする「世帯合算」は直ちにやめるべきである。

障害のある人の問題は、生命が母胎に宿った時から墓場までの全ライフステージにおいて、それぞれに課題がある。私たちは障害のある人たちが希望をもって普通の暮らしができるよう、多くのみなさんと力を合わせたい。障害のある人が安心して暮らせる社会はすべての人々が幸せに暮らせる社会であると考えている。

(2016年4月10日付「兵庫民報」掲載)

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