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2016年4月17日日曜日

市民にあたたかい神戸市政へ〈12〉:災害復旧資金

緊急災害復旧資金は返済免除に

兵庫県商工団体連合会事務局長 那須由美子

阪神・淡路大震災から二十一年が経ちました。

「私有財産に公的資金は投入しない」と言った当時の村山富市首相。倒壊した工場や店舗、住居の再建には借入しかありませんでした。

私たちは、震災直後から、中小業者への「個人補償」を求めるとともに、県や神戸市へ「無担保・無保証人、無利子融資をつくれ」と要請を行い、国の復興基金を活用した「緊急災害復旧資金」が創設されました。それは、利子補給を行う実質、無利子融資の実現で画期的な制度でした。十年の貸付期間(据置三年)、利子補給は三年後、市町民税の所得割が課税されていない事業者へと縮小されていきました。県と神戸市などの緊急災害復旧資金の保証承諾は四万七千十一件、五千四百二十一億七千九百万円。十年の貸付期間は私たちの運動も影響し、九回延長され、二十五年返済となりました。

「借りた金は必ず返済して商売を続ける」と決意して営業再建した中小業者。しかし、消費税増税や円高、長引く景気悪化など、きびしさは地域経済を支える中小業者に容赦なくおそいかかっています。

昨年末、災害復旧融資の残高は神戸新聞では「一%を切った」と、報じられました。しかし、信用保証協会が融資先の破綻などで返済を肩代わりする代位弁済は件数で一五%にも及び深刻な現状です。

兵庫区で美容業を営むAさんは、震災で店舗兼自宅が全壊し、自己資金五百万円と信用金庫より一千二百万円の住宅ローンを借りて店舗兼自宅を再建、建設業の夫も災害融資一千五百万円を借入して営業再建しました。住宅ローンは元利五・五 万円を返済、残高は数十万円に。夫の災害融資は据置十年、その後返済をはじめましたが、条件変更を行い、元利四万円を返済するも残高は一千万円以上にのぼります。不動産は担保割れで、夫婦ともに七十歳を超え、「いつまで商売を続けられるか不安で仕方がない。震災で人生が狂ってしまった」と悩みを打ち明けます。

中央区で加工業を営むFさんは、災害融資一千五百万円を借り入れました。当初は借入利息のみを支払い、その後は条件変更しながら少額返済をしていましたが、七年ほど前に得意先が倒産。支払いが滞ることとなり金融機関と話し合った結果、代位弁済に。信用保証協会には毎月一万円を支払うことで話し合いましたが、それすらも滞ることも。現在は少し仕事が安定していることもあり、毎月支払っています。それでも元金の約一割を返済しているだけでまだまだ続きます。自分が亡くなったあとに息子へ債務が及ばないかと不安を募らせています。

久元喜造市長は、「神戸の街の復興は成し遂げられた」「ポスト震災二十年で神戸は新たなステージへ」として、震災復興施策からの撤退や縮小をはじめました。神戸市は、いまだ返済に苦しむ緊急災害復旧資金の借入返済の実態をつかみ、免除を行うなど、対応策を急ぐべきです。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

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