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2016年4月24日日曜日

どんな人?/こんな人!/金田峰生さん〈下〉

阪神・淡路大震災の救援・復興に奔走/個人補償・公的支援を求め全力

熊本地震救援募金にとりくむ金田さん

―二十一年前の阪神・淡路大震災のときは、どこにいたのですか

自宅にいました。その日はちょうど朝の宣伝に行く日でした。目覚まし時計をパンとたたいて止めたと同時にドンっときて、ダンプか何かが家に突っ込んできたんかなと思うような。そのあと天井がグルグル回っていました。

―当時、どういう活動をされましたか

とりあえず、高齢者がいる家とか、一人暮らしの方とか、思いつく限りバイクで回って、そのご近所の要望も聞いて、まだ行政に行くという知恵がまわらずに、知っているところに「何とかなりませんか」とか連絡をとっていました。

そうこうしているうちに地元の南原富広市議(当時)と連絡が取れて、神戸西区災害対策本部を立ち上げて、本格的に救援活動を始めました。

当時の後援会長さんが大きなタンク持っていました。お宅が井戸水だったので、一晩そこに置いて、満杯のタンクをワゴンに乗せて運びました。

冬でもあり、弁当も冷たいので、温かいものがいいだろうと、みそ汁や豚汁やうどんの炊き出しをしました。白菜や大根を農家から「抜いて、持ってけ」と言っていただき、隣町の味み噌そ屋さんは、私たちの活動を知って、味噌を二樽たるも下さいました。三木市に、兵庫県の支援物資のストックヤードがあり、被災者から要望を聞いて、トイレットペーパーやおむつ、布団を届けて回りました。

一方で兵庫県は、復興ではなく「創造的復興だ」と言い出し、神戸市は、「空港をつくる」と言い出しました。国では住専には税金をつぎ込むが、被災者支援はケチる。なんやねんそれはってことで「空港より住宅を」「住専より個人補償を」と。「へぇ~。共産党が個人財産を守れと言い出した」なんて驚かれたこともありました。

私は、この救援・復興のたたかいは、「この国に新しい社会保障をつくるたたかいだと」感じました。被災者生活再建支援法ができました。今度は全壊五百万円に引き上げる動きが強まっています。

―借り上げ住宅では、入居者を裁判で追い出そうとしていますね

被災者を被告人席に立たせようとするとは度し難い。満身の怒りを込めて抗議しています。阪神・淡路大震災の教訓は、「生活再建なくして復興なし」「生活再建の基本は住居であり、住居は人権」であり、コミュニティの大切さです。この教訓に背をむけて、被災者を追い出し、借り上げ住宅をなくすことで、阪神・淡路大震災を終わった事にしようとするのは、まさに棄民政治であり、許せません。希望者全員の継続入居を保障すること、 少なくとも被災者の実情に配慮した、血の通った対応を行うよう、強く求めていきたいと思います。

すべての被災者が幸せな暮らしを取り戻せる日まで支援したい


―阪神・淡路の経験も生かし、東日本を支援してきたのですね

郡山市内の仮設住宅で被災者から話を聞く金田さん(右、13年9月)

東日本大震災では、福島県への支援を担当していました。仮設住宅などを訪問して、戸口で「兵庫から来ました。阪神・淡路大震災の時にたいへんお世話になりました。恩返しに参りました」と挨拶します。打ち合わせた訳ではなく、みなさん自然に言うんです。本当にそういう気持ちなんですね。すると、東日本の被災者のみなさんとの距離がグッと近くなりました。

皆さんから寄せられた義援金で支援物資を調達して届けるのに、条件が限られていますから、何がいいか色々悩んで、「やっぱり基本は米だ」と。それから私自身が初めてボランティアに行った時にみかけた、赤ちゃんをおぶって、片手で小さい子の手を引いて、もう一方の手でミルク用に買ったペットボトルをさげて、階段をのぼる母親の姿を思い出して、「水だ」と。

はじめは、いわき市に行きましたが、郡山市にも支援に入ってほしいと言われて。郡山への支援の打ち合わせに行ったとき「住宅は人権です。たとえ仮設でも、憲法二十五条の人権が保障されなければならない」「物資を届けるだけでなく、共産党だからできるボランティアを一緒に考えたい」とえらそうに言ってしまいました。支援センターの皆さんは「このやろう」って思われたかもしれません。でもずっとお付き合いいただいて、前回も今回も、「兵庫でぜひ勝ってほしい」とエールを送ってもらっています。本当にうれしく思っています。

―東日本はひきつづき支援していくのですか

いまどんどん避難解除がされていますが、帰るに帰れない状況も続いています。将来は帰りたいという人もたくさんいます。これからどれくらい先になるかも分かりませんが、そこで人が住み、生活ができるようになって初めて復興であって、そこを放置して、成しえないままで、事故が収束しました、復興しましたと言われても、福島の方がそれでいいというなら黙りますが、それでも私は認められません。いずれにせよ、すべての被災者が幸せな暮らしをとりもどす日まで続けます。

戦争法廃止へ野党が多数派に「この目標は譲れない、勝たないかん!」


―最後に、参議院選挙への意気込みを

このままでは戦争によって命が失われる。人の尊厳、国民の権利がふみにじられてしまう。だから戦争法を廃止する、そのために野党が多数派になる。この目標は一歩たりとも譲ってはいけません。前回は四位でした。前回から大幅に票を伸ばさないといけません。前回より激しいたたかいになります。私自身も変わらないといけない。「やれることはなんでもやる」。負ける訳にはいかない。勝たないかん。ほんまにそう思っています。

(終わり)
[三月初旬収録]

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

熊本地震被災者救援募金:日本共産党兵庫県委員会がとりくみ


日本共産党県委員会は四月十六日、十七日、熊本地震の被災者救援のための募金にとりくみました。

十六日は神戸・元町商店街で金田峰生党国会議員団兵庫事務所長(写真左から二人目)、庄本えつこ県議(三人目)、森本真神戸市議(左端)らが訴えました。金田氏は、亡くなられた方へのお悔みと被災者へのお見舞いを述べるとともに、阪神・淡路大震災を経験したものとしても力になりたいと、寄付を呼びかけました。大きな不安がひろがる川内原発の稼働中止も主張しました。

寄付は次つぎと寄せられ、なかには「阪神・淡路大震災の時には、お世話になった」と、募金に応じる人もいました。若いカップルや子どもたちも募金箱に寄付を寄せ、この日だけで六万九千四百六十三円が寄せられました。

十七日の月例「阪神・淡路大震災メモリアル宣伝」でも、寄付をよびかけ、一万二千四百八十七円が寄せられました。

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

市民と学者が手をつなごう:安保法制廃止・立憲主義回復へ


「安保法制廃止をめざす市民と学者の会」(主催=同実行委員会)が四月十六日、こうべまちづくり会館で開催され、会場いっぱいの百二十三人が参加しました。

冒頭、呼びかけ人の一人である森井俊行神戸大学名誉教授が主催者挨拶。「昨年の九月十九日、安保法制成立によりとんでもないことになった。われわれ大学人は、普段は、研究室中心で社会活動をやりたがらない人が多いが、この問題はだまっていられないと多くの方が立ち上がっている。市民のみなさんとの交流で力をもらえたらと思って企画しました」と開催の主旨を述べました。

*
仁比聡平参議院議員は、国会報告の冒頭に、熊本地震にふれ、「九州出身で、つぶれそうな胸をおさえながらかけつけました。救援募金などへのご協力もお願いしたい」と訴えました。仁比氏は、学者や市民の立ち上がりにより実った五野党(現四野党)合意が、与党勢力を追い詰めていることを紹介。安保法制の具体化について、民間船舶の動員、民間船員の予備自衛官としての徴用が狙われていると報告。神戸に資料館を置く全日本海員組合の不戦の誓い「海に墓標を」を紹介し、反戦の思いを代弁。野党共闘のかなめの政党として、安倍政権打倒のために頑張る決意を述べました。

池内了名古屋大学名誉教授は、「安保法制と大学――研究者の社会的責任」と題して講演しました。池内氏は、安倍政権のもとで科学研究の軍事利用が急速に推進される状況にあると警鐘をならすのと同時に、科学者自身が、その動きに抵抗することの意義を強調。科学とは、世界の平和と人々の幸福のためにあるべきもので、決して特定の国家や政党や軍に奉仕すべきではないと主張しました。そしてそのための市民との連携も強調しました。

*
第二部のシンポジウムでは、神戸大学平和フォーラムの井口克郎さん、安保関連法に反対するママと有志の会のメンバー、大学生を加えて、石川康宏神戸女学院大学教授の進行で、市民の側のこの間の運動、個人の思い、そして学者や政治家への質問や期待を語り合いました。

井口氏は、「科学者の社会的責任と同時に、我われは、(国立大学法人の教員として)憲法擁護義務がある。その憲法をないがしろにする動きを批判するのは当然だと考え、学内で安保法制法案に反対する集会をひらいた」と強調しました。

シンポジウムは、学者と市民がいかに手をつなぎ、この動きに対抗していくか、まずは次の参議院選挙が大事だと、奮闘する決意を固めあいました。

*
最後に日本共産党の金田峰生参議院兵庫選挙区予定候補が挨拶。兵庫選挙区で、立憲派の一人として必ず勝ち抜く決意を述べました。

閉会挨拶には、上脇博之神戸学院大学教授がたちました。ジャケットを脱いで「アベ政治を許さない」のTシャツを示した上脇氏は、「いまチャンスがひろがっている。今日の結論として、まずは次の参議院選挙で、安倍政権に痛打をあたえよう」とまとめました。

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

ラストスパート2千万署名

5・3兵庫憲法集会成功、二千万署名推進の宣伝・署名行動が四月十二日夕方、県下約七十カ所で行われました。

この行動は、兵庫労連・新婦人・兵商連などでつくる「兵庫県憲法共同センター」と自治労・兵教組など旧総評系でつくる「1000人委員会ひょうご」と各地の九条の会や市民団体をベースにした「九条のこころネットワーク」の三団体が今までのいきさつを越えて戦争法廃止へ「戦争させない、九条壊すな! 5・3総がかり行動兵庫県実行委員会」を結成、この実行委員会が呼びかけたものです。

各団体が各地の駅頭での準備を分担し、会員・組合員は、おのおのの最寄り駅頭での行動に参加するようにしました。日本共産党や兵庫労連が準備した駅に兵教組組合員も参加し、いっしょに集会参加と署名を訴えるなど歴史的な共同行動となりました。

署名を呼びかける金田氏(左)と松田氏(右)
(12日、交通センタービル前)

神戸市中央区の交通センタービル前は共産党が受け持ち、松田隆彦県委員長、金田峰生参院選挙区予定候補がマイクを握り、戦争法をただちに廃止するための二千万署名への協力と「5・3憲法集会」参加を訴え、労組からの参加者といっしょに宣伝。「自衛隊に入隊するつもりでいた友人が、戦争法ができて、やめた」など若い人が次つぎと署名に応じ、三十七筆が集まりました。

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ[26]:介護

介護現場の労働実態から介護を受ける権利の侵害を考える

全国福祉保育労働組合兵庫地方本部 東條 進


特別養護老人ホーム待機者全国五十二万人、介護離職者年間十万人と介護を受ける権利が侵害されています。介護現場は有効求人倍率二倍(全国)と人手不足だからです。特別養護老人ホーム(以下、特養)を例に、介護労働の実態から介護を受ける権利を考えます。

過酷な労働と低賃金


特養の夜勤日数は、明けを含めると月の半分を占めます。夜勤の及ぼす身体への害を考慮すると深刻です。さらに、国が進めるユニットケア(利用者二十名程度の少人数介護)を実施すると夜勤は一名体制――昨今話題の「ワンオペ状態」――となり実質的な休憩時間はありません。

コール対応や定期的な排泄介助、認知症高齢者の見守りなど実際に計測した歩数も一万歩以上(約七㌔㍍。一時間三十分以上休まずに歩く距離)と過酷です。また、人員配置基準(国は利用者:職員=三:一を基準としているが二:一は必要と言われている)が低いため、関わる利用者数が多く身体介助への負担も無視できません。

「アンケート」では首、肩、腕の痛みのために頚腕・腰痛の治療を受けている仲間が半数以上に上ります。

過去1年間に頚腕、腰痛の治療

  • 定期的に受けている20%
  • 受けていない47%
  • 受けたことがある32%


首、肩、腕の痛み

  • めったにない9%
  • いつもある26%
  • 時々ある35%
  • よくある30%


疲れぐあい

  • 感じない2%
  • いつも疲れている27%
  • 一晩でとれる23%
  • 翌日に残ることが多い48%


一方、賃金は、全産業の平均賃金三十万円に対して福祉施設介護職員は二十一万円と九万円もの差があります。そのため、平均勤続年数は全産業平均十二年に対し六年。高い離職率です。過酷な労働の割には低賃金のためせっかく就職しても希望をなくし退職する、欠員が出ても新規採用希望者がなく過重な労働により体を壊して辞めていく仲間が多くいます。

「アンケート」では九二%が仕事にやりがいを感じているのに六六%がやめたいと思っている背景には、介護の担い手自身の心も体も生活もぎりぎりの実態があります。

仕事のやりがい

  • とてもやりがいがある21%
  • いまの仕事がいやだ3%
  • やりたいことが違った4%
  • やりがいがある71%


仕事をやめたいと思ったことは?

  • いつも思っている10%
  • 全く思わない7%
  • あまり思わない27%
  • 時々思う56%


処遇改善によって介護を受ける権利が守られる


人員増により、夜勤の回数が減り、介護者の健康を維持する事ができます。食事、入浴、排泄など生存を維持するのに必要な最低限の介護で手いっぱいという状況が無くなり、生きる楽しみとしての余暇活動や外出など利用者の「文化的で普通の生活」を取り戻すことができます。また、認知症高齢者に個別にゆとりをもって対応できるため症状の改善につながり人権が擁護されます。

賃金増により職員の離職率が低下し、勤続年数が伸びることで利用者理解と専門性が高まり介護を受ける権利が豊かに守られます。

戦後、日本国憲法のもとで日本は人として生きる権利と暮らしを守る取り組みを広げて今日の長寿社会を作りあげました。安倍内閣は新「三本の矢」を重点政策として掲げ「介護施設増設」を打ち出す一方、介護報酬引き下げにより介護職員の処遇改善策は実感薄く、その上、介護の担い手をボランティアや外国人に求める始末です。

今こそ「権利としての福祉」を守るために国と自治体は抜本策を打つべきです。



グラフ】は福祉保育労働組合「福祉職場で働く仲間の頚腕・腰痛やストレスアンケート」(2014年10~12月実施、2967人の回答を集計)から [小数点以下切り捨てのため合計が100%にならない場合があります]

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

市民にあたたかい神戸市政を〈13〉:三宮巨大バスターミナル

巨大な中・長距離バスターミナルは必要か?(上)

日本共産党神戸市議 森本 真

久元喜造神戸市長が、二〇一三年十月の市長選挙で掲げた「輝ける未来創造都市――世界に誇れる夢のある街に」の構想は、「都心・三宮の再整備」として、「神戸の都心の未来の姿(将来ビジョン)」と「三宮周辺地区の再整備基本構想」(ともに二〇一五年九月策定)として進められています。

これらの計画は、JR三ノ宮駅、阪急三宮駅の建て替え(百メートルをこえるビル化)が基本となっていますが、両鉄道事業者は具体的な計画を発表していません。

区役所、勤労会館、サンパルを「ぶっ壊して」


そういう中で、中央区役所、勤労会館、サンパルを「ぶっ壊して」(三宮構想会議での委員の発言)、中・長距離バスターミナルを整備する構想がでてきました。

都心三宮推進本部の資料から(一部を拡大)

二〇一五年九月に開催された「将来ビジョン・三宮再整備」の合同会議で、久元市長は、「まず、着手ができる可能性が高いエリア、これが三宮駅の東南方向に当たる、現在の中央区役所、あるいは、勤労会館を含むエリアです。ここは、神戸市が主体的に進めることができる……種地の創出を含む事業着手ということについて、できるだけ具体的に進めていきたい」と語りました。

また、事業を進める担当課長は、「最初のステップとして、まずは、三宮東エリアでの(中・長距離)バスターミナルの整備が急務と考えております。バスターミナルの整備に向けて、中央区役所や勤労会館をどうするのか、検討を始めております。また、整備エリアの地権者の方々と一緒に事業化に向けた検討を行うとともに、バス事業者ともバスターミナルの機能的な整備、効率的な運営に向けた協議を始めてまいります」と発言しました。

現在は、市長をトップとする全庁横断の都心三宮推進本部に「新バスターミナル整備部会」を設置して、進められようとしています。

しかし、そんな大きなバスターミナルが必要なのでしょうか?

(次号に続く)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

但馬の医療・介護を考えるつどい:実行段階に入った病床削減

新たなたたかいのとき



但馬の医療と介護を考える集いが、地域医療をまもる但馬の会主催で四月十七日じばさん但馬交流センターで開催されました。司会は谷口真治香美町議が務めました。

千葉裕代表が、十年前の医師不足を起点とした但馬全域での病院再編とのたたかいを引き継ぎ、二年前の八鹿病院でおきた事件をきっかけに但馬の会が結成された経過を紹介し、いま新たなたたかいのときだと開会の挨拶をしました。

兵庫の地域医療を守る会代表の今西清(筆者)が、県内各地での公立病院統合再編を通じて病床削減が実行段階に入っていることを紹介し、国家戦略特区などを背景として医療の産業化が行われている実態をふまえ、地域医療構想による病床削減再編や新公立病院改革から但馬の地域医療をまもる課題が急務になっていると基調報告をしました。

また、医療費適正化、国保の都道府県単位化、介護制度改悪が連動し、戦争する国のための社会保障費抑制が大規模に仕組まれており、命を削る攻撃と対決するオール但馬のたたかいを開始しようと提起しました。

奥村忠俊豊岡市議は、豊岡病院も大きな病床削減の危機になることや、統合して新しくできた朝来医療センターが医師不足から四十床縮小し、MRIなどの医療機材も導入できない実態を報告しました。

藤原敏憲養父市議は、八鹿病院には五十名を超す医師がいたが現在は三十名になっていること、付属看護学校卒業生のうち八鹿病院に勤務するのは八名にとどまること、その中で新公立病院改革プランが作成されるが、地域医療をまもる新たなたたかいが必要で但馬の会の組織拡大が必要であることを報告しました。

谷口功新温泉町議は、浜坂病院、香住病院がベッドはあるものの現実には診療所機能中心で維持していること、救急は豊岡病院に依存しているが医療過疎は深刻で、人間の尊厳が守られていないと訴えました。

中川健一たじま医療生協常務理事は、介護保険制度改悪のなかで、地域では懸命に介護を支える活動をしているが、国と自治体の公的責任が問われていると報告しました。

ろっぽう診療所の藤井高雄所長(医師)は、「国は精緻な数字で必要病床数の計算を行っているが机上のもので、在宅の受け皿もない住民の命を削るもの。戦争する国づくり優先ではなく、医療と福祉を優先にしないといけない」とフロアから発言しました。
(今西清=兵庫の地域医療をまもる会代表)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

4・17尼崎集会に350人:戦争法阻止へ!安倍内閣は退陣を!

「野党は共闘、市民も共闘」



「戦争・原発・貧困・差別を許さない尼崎共同行動」が十七日、「戦争法阻止へ!安倍内閣は退陣を!4・17尼崎集会」を開き、阪神尼崎駅前に三百五十人が集まりました。

沖縄のエイサーのおどりで始まり、「戦争法は廃止」「武力で平和はつくれない」「野党は共闘、市民も共闘」とコールしながら、三和商店などをピースウォークしました。

集会では、九条の会あまがさきネットワークの高原周治代表世話人が「全国の皆さんと連帯して安倍政権打倒、憲法をまもる国づくりを」と挨拶。「さいなら原発尼崎住民の会」の広畑貞昭代表は「熊本地震のすぐ横に川内原発がある。即時一時停止を要求する」と訴えました。尼崎労連の藤田照人議長は「兵庫の最低賃金は大阪と六十四円も差がある。年収は百六十六万円にしかならず、ダブルワークか生活保護でないと生活が保障されない」と報告し、日本軍「慰安婦」問題を考える会・尼崎の朴パク美ミ香ヒャンさんが「日韓合意は被害者の声を聞いていない。アメリカに軍事利用されてはいけない」と呼びかけました。

また、庄本えつこ・丸尾牧県議、松村ヤス子・まさき一子・辻おさむ・川崎としみ・徳田稔・酒井一・都築徳昭市議が連帯挨拶をし、民進党の水岡俊一参議院議員、日本共産党の金田峰生国会議員団兵庫事務所長(両氏とも参議院兵庫選挙区予定候補)からメッセージが寄せられました。
(辻おさむ=尼崎市議)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

伊丹革新懇総会で元自衛官・泥氏が講演

「米国の手先にされる」―現場自衛官に少なくない不満


伊丹革新懇は四月十七日、伊丹市立図書館「ことば蔵」で第四回総会を開催しました。

第一部は元自衛官・泥憲和さんの記念講演。六十名近い方の参加がありました。テーマは「戦争のつくり方、平和の築き方」です。

泥さんは、「自衛隊の『日本の国土防衛』という任務には大義があり、これに反対する政党はありません。しかし、安保法制は油田をめぐる米国の戦争に参加できるようにするためのもので、何の大義もありません。現場では『俺たちはアメリカの商売人の手先にされるのか』と不満を持つ者が少なくなく、自衛隊の上層部が危険を冒してまで内部資料のリークをするのはこういう理由からです」と語りました。

もう一つ聴衆に感銘を与えたのは、憲法九条の「平和力」が各地で多くの奇跡を起こしているという話でした。

「アフガニスタンの玄関であるカブール空港のターミナル正面にはいくつものアフガン国旗が掲揚されていますが、その一本は日本の国旗。それは日本のNPOが丸腰で行っている平和貢献への絶大な信頼のあかし。現地の人とともに作る、畑、水路、保育所……世界最強の軍隊を持つアメリカが逃げ出すような場所で、現地の人に守られて日本のNPOはよりよい国づくりに貢献している」と紹介しました。

最後に野党共闘の重要性について強調しました。

「初めて聞くような話が多く、本当に時間が短く感じた」というのが多くの参加者の感想でした。

続く総会には複数の会派の伊丹市議にも参加していただきました。

①毎月の宣伝行動②研修旅行③文化活動④学習会⑤請願・要請行動―の五つの柱の活動方針案、予算案、役員案などが提案、承認されました。

会員からも「もっと女性の役員を」「川内原発稼働停止の要請を」など建設的な意見が出され、「川内原発稼働停止」については政府に要請文を送ることとしました。
(中島隆夫=同革新懇事務局)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

パート・アルバイトの賃上げを:全世界一斉行動

兵庫労連は三宮で宣伝・集会


兵庫労連は四月十五日、ファストフードなどのパート・アルバイト労働者の賃上げをめざす「グローバルアクション」宣伝を行いました。

マクドナルドなどファストフードで働くものの最低賃金を十五ドル(千五百円)に引き上げることを求める全世界一斉行動に呼応したものです。


三宮バスターミナル東側で行った宣伝では、「兵庫県の最低賃金は七百九十四円、これでは生活はしていけない、一刻も早く最低賃金を千円に引き上げるように国、県に求めていきましょう」と訴え、署名を呼びかけました。

宣伝終了後、近くのマクドナルド店を訪問し、賃金引き上げの必要性を説明した要請文を本社に届けるよう手渡しました。

そののち神戸市勤労会館で「最賃決起集会」を開催しました。


全労連の野村幸裕副議長が最低賃金引き上げについて講演。六月二日の兵庫労働局前座り込みなどの行動の提起が行われました。また、介護福祉分野で働くものの現状や、最低賃金での求人があたりまえになっているなど最低賃金引き上げの重要性を訴える意見や取り組みに対する決意表明が続きました。

全労連では最低賃金引き上げを社会的賃金闘争と位置づけています。あわせて、賃金引き上げを行った企業への助成など中小企業への支援強化を求めています。

働くものの大半は、地域の中小企業、商店で働いています。アベノミクスでのトリクルダウンでは、デフレ不況からの脱却はできません。最低賃金を引き上げれば、GDPの六割を占める個人消費を喚起し、地域経済の好循環が生まれ、日本の景気回復につながることになります。
(岡崎史典=兵庫労連事務局次長)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

民青学生班が労働環境テーマに学習会

民青同盟のA学生班は十一日、「今日の労働環境はどうなっているのか そしてそれをどのように変えてゆくべきか」と題して学習会を開きました。

講師に招かれた神戸大学の岩佐卓也准教授が、パート、請負、派遣などの非正規雇用が正規雇用と置き換えられてきたこと、さらにそれによって正規雇用がブラック化している実態などを示し、「労働基準監督署に訴えることとあわせて、労働組合に加盟し、権利を行使することによってブラックな実態を無くしていける」と語りました。

学生班は引き続き『マルクスと友達になろう』や『君たちはどう生きるか』の読書会など、新入生とともに学ぶ学習企画に取り組んでいきます。

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん〈574〉



(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

桜が散り、目に青葉がとびこんできて野山歩きに絶好の頃。この時期の季語として「青を踏む」があると俳人・坪内稔典さんに教えてもらいました。稔典さんが紙上で紹介した句は「出発の二人に戻り青を踏む」。わが妻に声かけしようと思いましたが…▼この季語の元は「踏青(とうせい)」であり中国の漢詩、たとえば孟浩然の「大堤行」に「歳々春草生じ踏青二三月」とあります。年々春になると若草が萌もえ、郊外に足が誘われる。二月二日・三月三日に催される恒例行事の意味もあったそうです。子どもならずとも裸足で駆け出したくなります▼ところで「踏青」がひっくり返るとセイトウとなり、よく似た単語の「青鞜(せいとう)」を思い出します。一八世紀のロンドンにおける女性運動のシンボルであったブルー・ストッキングの和訳。一九一〇年代前半、平塚らいてうを中心に女性解放運動の先駆けとなった青鞜社はこれをもじったもの、というのはよく知られた話ですね▼さて、国会における多数派・少数派のセイトウが逆転するとどうなるか。戦争法を廃止し憲法にもとづく政治を取り戻す、その道にみんなの足で踏み出すことになります。二千万署名が逆転の確かな力。 (T)

(2016年4月24日付「兵庫民報」掲載)

2016年4月17日日曜日

どんな人?/こんな人!/金田峰生さん〈中〉

国会議員団兵庫事務所長として、04年台風23号水害の被害状況を
井上哲士参院議員(左)とともに現地調査する金田さん
(中央、04年10月、豊岡市内)

県議、国会議員団兵庫事務所長として現場へ行き、要求実現に全力


―県議選に出られました

党から県議立候補の要請があって、実は、「通らんと思うけど」って言われたのですが、「医療をもっと充実させなあかん。それには自民党政治を変えなあかん」と感じていたので、受けました。

もう二十年以上前になりますけど、初めて、たすきをかけて駅頭に立って「日本共産党です」と言うのに、さすがに膝が震えました。反応も冷たくてね。今は隔世の感があります。

―県議の経験が生きている部分というのは

県議二期目の選挙に失敗して〝浪人〟状態になった私に「大沢たつみ参議院議員(当時)の現地秘書」の任務がまわってきて、そのまま国会議員団事務所の仕事を引き継ぎました。兵庫の国会議員がいなくなって、地元と国政をつなぐ仕事、自分で現場へ行って、調査して、当局と交渉するということもやりました。そこで、議員だった経験が少しは役に立ったと思います。

―県議時代は、どういう問題を取り上げられてきましたか

一年目は、健康福祉、二年目が産業労働、三年、四年と建設だったかな。本会議の初質問では、県独自の老人福祉医療制度があって、それを改悪するというので、制度ができた理由や経過を調べて追及し、改悪を一年遅らせることができました。子どもの医療費無料化は、当時は三歳未満まででしたが、新日本婦人の会のみなさんなどが中心になって、就学前まで要求して、六歳未満になりましたが、私は、「保育園でインフルエンザがはやり、五歳児は無料で、六歳児は有料になる。就学前まで無料にしたほうが、整合性がある」なんて論戦しました。

しゃべり方、パネル、笑いなど演説も自分なりに工夫を重ね


―候補者活動は、すごく気が張るでしょうね

二十八歳で立候補して、選挙の種類に違いはありますが、自分が候補者になるのは今回で九回目ですから、ある程度慣れました。そりゃ、苦手なことやしんどいなと思うことも多々あって、今でも候補者には向いていないと自覚はしていますが、候補者ではなく共産党の仕事という意味では、私は自分で選んだ仕事ですし、やりたい仕事をやらせてもらっているわけです。だから、特に癒しが欲しいとかは思わないですよ。インタビューで「ストレス解消法は」とか聞かれるけど、答えに困ります。

―各地で国会議員といっしょに演説されることも多いですよね。

実はね、若い頃は「自分とどこが違うのか、同じことを話しているのに」なんて思っていたんですよ。ただふざけて不破さんの演説のマネしてみたら、あのしゃべり方ってずいぶん合理的なんです。喉に負担がかからない。それでなんか同じような感じになっちゃって、ある人にボロクソに言われて、それからしゃべり方をかえたり、言葉を言い変えてみたり、屋内ではパネルを使ったりして、「共産党のイメージと違うなあ」と言われたこともあったのです。そのうち、「何が違うか」というのがなんとなくわかってきたように思います。

あと、私も以前から演説でも笑いがあった方がいいなと思っていたので、たまに冗談を言ったりしていましたが、やっぱり難しいなと思います。そこへ清水忠史さんが出てこられた。さすがだなと。宮本岳志さんも、私は、笑いあり涙ありの藤山寛美さんの芝居に似ているように思うのです。そして大門みきしさんですよ。面白いことを言っているわけではありませんっていう顔をして、しれっと面白いこと言われる。「もうかないませんわ」って感じですね。

多彩な方々と気脈通じる対話に/「絶対に裏切らない」と決意


―候補者をやってこられてのエピソードとかありますか

またざっくりした質問やね(笑)。

候補者でなかったら、たぶん巡り合えなかった、いままでほとんど交流のなかった、例えば、農協、漁協、宗教者、あるいは中堅企業の社長さんなど多彩な方々と気脈の通じる話ができるというのはうれしいですね。

最近、いちばん印象に残ったのは、ある農協の幹部とTPPをテーマに懇談したとき、「正直、安倍政権に対する不信は拭われへん」と言われました。兵庫の農協の本気さを感じました。色々あっても私は裏切らないぞと思いましたよ。 (続く)

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)
(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

参議院選挙まで3カ月日本共産党がいっせい宣伝

5・22演説会成功軸に:小池晃書記局長きたる!


JR土山駅前での宣伝(左から、大路恒稲美町議、田中久子播磨町議、岸本建樹加古川市議、金田峰生参議院兵庫選挙区予定候補、松岡光子播磨町議と後援会員の皆さん)

日本共産党の近畿いっせい宣伝が四月八日にとりくまれました。
*
兵庫県内では、金田峰生参議院兵庫選挙区予定候補が、加古川後援会と加古川市、稲美町、播磨町の各市町議らとともにJR土山駅前で宣伝したほか、阪神北地区委員会で二十一カ所、神戸西地区委員会で十八カ所、県委員会が、業者・医療・女性各後援会などとともに三カ所でとりくむなど、全県八十八駅、約三百五十人が参加し、全体で約五千枚のビラを配布しました。
*
神戸駅では、女性後援会、業者後援会と県委員会が宣伝行動。五月二十二日に神戸国際展示場に小池晃書記局長・参院議員を弁士に招き開催する日本共産党演説会の告知ビラ、「しんぶん赤旗」特別号外を配布しながら、二千万人署名もよびかけました。特別号外百枚を配布し、七人の署名が集まりました。

通りがかった三十代の男性は「幼稚園の統廃合問題で共産党の人の話を聞き、信頼を寄せている。がんばってほしい」と署名に応じました。宣伝を耳にして「小池さんいつ来るんですか」と尋ねてくる人もあるなど反応が返ってきました。

ほかにも「登校中の高校生が『赤旗』特別号外をうけとり、走って高校に行く」(阪急芦屋川駅)、「チラシを受け取りに戻ってきてくれた」(神鉄山の街駅)などの反応が寄せられました。


小池晃書記局長きたる!

日時:5月22日(日)午後2時
会場:神戸国際展示場(ポートアイランド市民広場駅下車西へすぐ)
弁士:小池晃副委員長・参議院議員、大門みきし参議院議員、金田峰生党国会議員団兵庫事務所長
主催:日本共産党兵庫県委員会(TEL)078-577-6255

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

5・3憲法集会/2000万署名成功へプレ集会

憲法共同センター、1000人委員会、9条の心の3団体が一堂に


森蔭自治労県本部委員長の音頭で団結ガンバローを三唱

「戦争させない、九条壊すな! 5・3兵庫憲法集会成功」「二千万署名の成功」へ向けた「プレ集会」が四月八日、神戸市内で開かれました。

五月三日、神戸・東遊園地を会場に一万人規模で開催する「戦争させない、九条壊すな! 5・3兵庫憲法集会」は、兵庫労連・新日本婦人の会・日本共産党などでつくる「憲法改悪ストップ兵庫県共同センター」、自治労・兵教組など旧総評系労組を軸につくる「戦争をさせない1000人委員会ひょうご」、弁護士九条の会など市民団体でつくる「9条の心ネットワーク」の三団体がこれまでのいきさつを乗り越え、「総がかり行動兵庫実行委員会」(略称)をつくり共同で開催します。

プレ集会では、1000人委員会ひょうごの森哲二氏(自治労県本部)が司会を務め、憲法共同センターの津川知久代表が、「戦争法廃止の共同へ努力するなかで5・3憲法集会が開催されることになった。この集会の成功と二千万署名の成功へのプレ集会だ。歴史的意義を実感している」と開会挨拶をしました。

「憲法を守る力を作る――総がかり行動の意義と課題」と題して講演したのは清水雅彦日本体育大学教授。

清水氏は、戦争法の問題点と憲法を軸にしたたたかいの理論について解明しました。戦争法・集団的自衛権容認がルール破りの解釈改憲であり、「戦争ができる国」をめざす安倍政権の改憲のたくらみをくい止めるには国会で野党が多数になることが必要であり、そのためには国民的運動が必要だと指摘。憲法の持つ先駆性、平和主義を九条だけでなく前文からもつかんで、これこそ日本が生かすべきものだと力説しました。

さらに、1000人委員会事務局長代行として探究している共同について報告し、これまでのいきさつを越えて、全地域に総がかり行動を広げることを訴え、結びついている若者との共同の努力をしようと訴えました。

弁護士九条の会の羽柴修弁護士が、5・3憲法集会の成功へ向け、賛同団体への協力要請、四月十二日の共同宣伝・署名行動などを提起しました。

参加者から、地域での共同の努力(明石・尼崎)や十八歳選挙権についてのアンケートのとりくみ(九条の会)などの交流発言もありました。

「憲法集会後の運動はどうするのか」との会場からの質問には、実行委員会から、「年末から駆け足で共同の運動をつくりあげている途中、今後も兵庫県の護憲勢力の結集に協議をしていく」との答えがありました。

森蔭守自治労兵庫県本部委員長が閉会の挨拶をし、「団結ガンバロー」を三唱して終了しました。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ[25]:私学

狙われつづける私学助成

兵庫県私立学校教職員組合連合副委員長 永島徳顕

兵庫県における私学助成は、2000年度の「行財政構造改革」から始まり、現在の第3次行革プランにおいても、削減の標的とされていると言えます。学園運営の経費(教職員人件費を中心)に対する経常費補助(生徒一人当り単価)は、確かに1999年度の32万3309円から2016年度は34万5786円と増額していますが、県独自の積み上げ分(県単分)は、1999年度の7万2069円から2016年度は3万7614円となり、16年間の県行革で約半分となっています。

2010年度に前年比516.8%?


一方、生徒への直接助成である授業料軽減補助は、2010年度の「高等学校等就学支援金制度」の導入により、学費負担が一定程度軽減されましたが、2009年度まで約12億円だった県予算は、制度の導入により約6億円に減額され、2016年度も約6億円の予算となっています。なお、県はこの大幅な削減をごまかそうとしてかどうか定かではありませんが、2010年度当初予算発表において、国の就学支援金を含むとの表記のもと、2009年度予算額12億1441万3千円に対し2010年度62億7665万4千円、前年度比516.8%と発表しました。後に国庫分と県費を別建て(別項目)にして訂正しました。

交付税措置と一般財源化


経常費県単分の削減について県の説明では――総務省の地方交付税措置単価に生徒の授業料軽減分が含まれており、兵庫県では授業料軽減補助を経常費補助とは別途補助しており、支援措置が重複(額は不知)することから、第3次行革プランでその解消を段階的に図る――としています。しかし、何度、説明を聞いても釈然としません。

表は、私立高校生1人当りの経常費補助に対する総務省からの交付税措置分Aと兵庫県が実際に措置した分Bの金額及びその差額です。また、授業料軽減分は、総務省Aの単価とは別に交付税措置されています。

年度 総務省(A)   県(B) 差額(B-A) 授業料軽減分
2012年度 257,300円 248,845円 -8,455円 9,100円
2013年度 259,900円 253,445円 -6,455円 11,100円
2014年度 263,300円 253,445円 -9,855円 12,800円
2015年度 266,700円 253,445円 -13,255円 12,800円
2016年度 269,900円 253,445円 -16,455円 12,800円

2016年度では総務省から経常費として26万9900円(算定基準額)が交付税措置されていますが、県は25万3445円しか使わずに、1万6455円を授業料軽減補助との重複解消分とされます。また、授業料軽減分は別途1万2800円措置されているので合計2万9255円となります。これに生徒数3万5千人を掛けると、10億2392万5千円となり、単年度の授業料軽減補助予算の6億円を軽くオーバーします。なお、少なく見ても授業料軽減分の1万2800円で計算しても4億4800万円で約75%をカバーしています。

この問題をややこしくしているのは、地方交付税の一般財源化にあります。いわゆるひも付きではない交付税は、その使途が地方自治体に任されています。それゆえ満額使わなくても良しとされます。しかし、交付税措置は、すべての地方団体が医療・福祉・教育等で一定の水準を維持できるように、普通交付税額を算定し、一定の合理的な基準によって再配分するものなので、一般財源化により、算定基準を無視する免罪符とはなりません。

憲法と地方自治


「国がやるべきことは国が、県がやるべきことは県が」、両方がやることは無駄で合理的ではないとよく耳にしますが、本当にそうでしょうか。

一時はやった二重行政の解消は、不要不急のものには大いに歓迎しますが、医療・福祉・教育等の本来国の責務におけるものについては、二重行政大いに結構です。

憲法の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の保障と、国から独立した地方自治が自らの権限と責任において地域の行政を担うことの両立に矛盾はありません。つまり、良質で堅固な土台を国が担い、その上にプラスアルファとして、より手厚い手当や地方に合った施策を自治体が担うことが求められています。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

市民にあたたかい神戸市政へ〈12〉:災害復旧資金

緊急災害復旧資金は返済免除に

兵庫県商工団体連合会事務局長 那須由美子

阪神・淡路大震災から二十一年が経ちました。

「私有財産に公的資金は投入しない」と言った当時の村山富市首相。倒壊した工場や店舗、住居の再建には借入しかありませんでした。

私たちは、震災直後から、中小業者への「個人補償」を求めるとともに、県や神戸市へ「無担保・無保証人、無利子融資をつくれ」と要請を行い、国の復興基金を活用した「緊急災害復旧資金」が創設されました。それは、利子補給を行う実質、無利子融資の実現で画期的な制度でした。十年の貸付期間(据置三年)、利子補給は三年後、市町民税の所得割が課税されていない事業者へと縮小されていきました。県と神戸市などの緊急災害復旧資金の保証承諾は四万七千十一件、五千四百二十一億七千九百万円。十年の貸付期間は私たちの運動も影響し、九回延長され、二十五年返済となりました。

「借りた金は必ず返済して商売を続ける」と決意して営業再建した中小業者。しかし、消費税増税や円高、長引く景気悪化など、きびしさは地域経済を支える中小業者に容赦なくおそいかかっています。

昨年末、災害復旧融資の残高は神戸新聞では「一%を切った」と、報じられました。しかし、信用保証協会が融資先の破綻などで返済を肩代わりする代位弁済は件数で一五%にも及び深刻な現状です。

兵庫区で美容業を営むAさんは、震災で店舗兼自宅が全壊し、自己資金五百万円と信用金庫より一千二百万円の住宅ローンを借りて店舗兼自宅を再建、建設業の夫も災害融資一千五百万円を借入して営業再建しました。住宅ローンは元利五・五 万円を返済、残高は数十万円に。夫の災害融資は据置十年、その後返済をはじめましたが、条件変更を行い、元利四万円を返済するも残高は一千万円以上にのぼります。不動産は担保割れで、夫婦ともに七十歳を超え、「いつまで商売を続けられるか不安で仕方がない。震災で人生が狂ってしまった」と悩みを打ち明けます。

中央区で加工業を営むFさんは、災害融資一千五百万円を借り入れました。当初は借入利息のみを支払い、その後は条件変更しながら少額返済をしていましたが、七年ほど前に得意先が倒産。支払いが滞ることとなり金融機関と話し合った結果、代位弁済に。信用保証協会には毎月一万円を支払うことで話し合いましたが、それすらも滞ることも。現在は少し仕事が安定していることもあり、毎月支払っています。それでも元金の約一割を返済しているだけでまだまだ続きます。自分が亡くなったあとに息子へ債務が及ばないかと不安を募らせています。

久元喜造市長は、「神戸の街の復興は成し遂げられた」「ポスト震災二十年で神戸は新たなステージへ」として、震災復興施策からの撤退や縮小をはじめました。神戸市は、いまだ返済に苦しむ緊急災害復旧資金の借入返済の実態をつかみ、免除を行うなど、対応策を急ぐべきです。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

金田峰生氏と県議団・各市議団が政府へ要請

県内各地の切実な要求実現へ


要請の先頭にたつ金田峰生氏(中央)

日本共産党兵庫県委員会は四月四日、金田峰生参議院兵庫選挙区予定候補と県内の議員団による政府への要請を行い、県内の問題解決に向け、政府当局に実態を示し、要望しました。堀内照文、清水ただし、宮本たけし、こくた恵二各衆院議員も駆けつけ、激励・同席しました。

厚生


まず厚生労働省のうち厚生分野について、
・子どもの医療費無料化を国の制度に
・自治体単独事業へのペナルティをやめよ
・「待機児童の定義」を撤回し実態把握せよ
・公立保育所整備への国の負担も三分の二に引き上げよ
・保育士の賃上げ、過密長時間労働解消を
・国保滞納を理由とした財産差し押さえをするな
・障害者総合支援法七条廃止。抜本改正せよ
・後期高齢者医療制度廃止。それまで保険料軽減措置継続せよ
―など五分野十五項目を要望しました。
*
待機児童問題について「国基準では待機児童数は七十六人だが、じっさいには四百六十九人だった」(西宮市)などの実態を示して要望。当局も「待機児童の定義については見直しを含め検討する」と答えました。また、「保育所耐震化補助も実態を把握する」と答弁がありました。

労働


続いて労働分野は―
・アスベスト労災対策の周知徹底を
・雇用促進住宅からの追い出しを許さない
・労災死傷事故対策の強化を
―など三分野十項目を要望しました。
*
雇用促進住宅廃止問題で当局は「民間売却に鋭意努力する」の一点張りで、「売れなかったらどうするのか」との追及に「まだ検討していない」という無責任ぶりを示しました。金田氏は、「追い出しは絶対に許されない」と述べ、入居者の生活や健康、生命より「最大収益を得る」ことを優先する雇用促進住宅廃止閣議決定は撤回しかないと厳しく指摘しました。

環境


環境省へは―
・アスベスト被害対策の拡充
・降下煤塵対策の強化
・石炭火力発電所新増設について
・安定型廃棄物最終処分場問題
―の四分野八項目を要望しました。
*
クボタのアスベスト被害が、尼崎市の財政を圧迫し、市民に多大な負担となっている実態を示し、企業と国の責任を浮き彫りにしました。

また降下煤塵対策について当局は、現行法制度で十分との認識でした。これに対し、「夏でも窓を開けておけない」「洗濯物を外に干せない」「学校のプールに真っ黒な泥が溜まっていた。ここで子どもたちが目を開けて泳いでいたと思うと怒りを覚える」「体育館の床が常に黒く汚れている。健康に良い訳がない」などの訴えがあることを示し、「問題がなくなった訳ではない。健康影響調査も行い、対策の有効性を科学的に検証するなど、対応を強めるべきだ」と強調しました。

国土交通


国土交通省へは―
・被災者の入居が終了するまで国の家賃補助率を下げるな
・自治体が借り上げ住宅を買い取る際は国も支援を
・「ライドシェア」を認めるな
―など二分野四項目を要望しました。
*
「ライドシェア」(自家用自動車の空き座席に人を乗せて有料で運送するサービス)問題については、兵庫県養父市が特区で名乗りをあげていますが、安全性が確保されず、市長による独断専行もあって、現状では認められないことを確認できました。

借り上げ住宅問題では同席した穀田議員が、「被災者は一体何度転居を余儀なくされているか。七十歳、八十歳の高齢者にまた引っ越ししろ、一からコミュニケーション構築をやり直せというのか。被災者にどういう苦しみを与えているのかということを考えよ」と迫り、金田氏は、「当局は前回に続き今回も自治体の対応を見ていきたいと言われたが、個別事情を考慮した丁寧な対応などされていないことは明白。いつまでも様子見している場合ではない」と、国が責任を果たすよう求めました。

メガソーラー


最後は経済産業省と環境省にメガソーラー問題で六項目を申し入れました。政府も制度改正を進めようとしていると説明しましたが、今最も問題になっている雨水や土砂対策と反射光・熱対策については、対象になっておらず、早急な対策を求めました。

そのほか


この他、個別に「郵便局新設問題」や「地方交付税問題」で総務省や日本郵便にも要請しました。

さらに全体行動終了後金田氏は、タワージャズジャパン問題の経験を踏まえ、外資系企業が労働債権に応じないまま逃げてしまうことを防ぐための対策を講じるよう、外務省、厚労省、経産省の三省に要請しました。

また、参議院選挙区の政見放送には、いまだに手話通訳がついていないことから、今年の選挙からつけるよう総務省に要請しました。

いずれも「難しい」との回答だったものの、問題解決に向けて前向きの努力を行うとの姿勢を引き出しました。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

現場主義で政策通の金田さん:絶対おし上げたい

黒田みち(川西市議)

黒田議員
対政府要請に向け、川西市の保育所待機児童、耐震化未実施などの問題提起の準備をしていたところ、金田さんから電話があり、「耐震化未実施を自治体の責任だけでなく、国の責任として要望したい」と提案がありました。それが公立保育所の新設・改修の支援措置の要望項目となり、政府側から「耐震の把握に努める」との回答を得ました。

要請の場では、各市の実態・要求を私たちが発言した後、金田さんが「耐震化改修を把握するスケジュールは?」と質問、「直接の担当でないので申し伝える」という担当者に「改めて回答をいただきたい」と迫りました。また、「なぜ認定こども園建設だけ国負担が三分の二なのか?」と国の保育についての責任を問い、私たちに発言機会を作ってくれる絶妙さもみせました。

アスベストや降下煤塵の問題については、企業名を明らかにし、現場・当事者の実態を示して要請。事業用太陽光発電の安全確保についても、反射熱・光・倒壊の問題だけでなく、放棄田でのパネル設置が保水や水の管理で大問題になっている実態を伝え、省庁横断的に対策を行うべきと迫る金田さん。

現場主義と勉強の積み重ねで奮闘する金田さんはすごい! 絶対に国会に送り、国民のために働いてもらいたいと切に感じた一日でした。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

多国籍企業の労働債務:政府要請の結果を報告

金田氏がタワージャズ労組と懇談


懇談する金田氏(右)と長谷川委員長(左)

日本共産党の金田峰生参議院兵庫選挙区予定候補は十一日、連合・播労連事務所を訪ね、長谷川英明タワージャズジャパン労組委員長(播労連事務局次長)に、四日におこなった政府要請について報告し、懇談しました。

金田氏は、政府要請でこの間のタワージャズジャパン撤退問題を踏まえて①「OECD多国籍企業行動指針」での発議をワンストップでできる窓口を開設すること、②外資系企業にこの指針を守るよう誓約書を求めること、③交渉に応じられる日本人専任者配置の義務付けを求めたこと、要請に対し政府側からは「難しい」との回答ではあったが、啓蒙活動など前向きな姿勢もあったと報告しました。

長谷川委員長は、「相手は、法は守るが道義的責任などは理解できないという態度。外資が企業閉鎖で儲けるやり方を許してはいけない」と指摘。金田氏も「このままでは労働者の権利が守られません。ルールづくりが必要です」と応じました。

また、西脇市の職業訓練センターの在り方についても話題になり、金田氏が技術継承、労働者の安全のためにも自治体まかせでなく国が責任持つべきと述べると、長谷川氏も、「日本の強みは技術力。目先の利益ではなく、長い目でみると人を育てるために投資するべき」と提起。気脈の通じる懇談となりました。

この懇談には小林明男党県労働部長も同席しました。

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

兵庫若者憲法集会24日開催


「兵庫若者憲法集会」が四月二十四日に開催されます。

安倍政権が憲法違反の安保法制を強行し、今年七月の参院選後にも憲法改悪を狙うなか、「若者と憲法」「若者と政治」が身近な存在であること、憲法をいかす政治に転換することが必要であることを学べる集会です。兵庫労連や兵商連青年部、民医連、民青同盟などでつくる実行委員会の主催です。

集会では、「明日の自由を守る若手弁護士の会」の吉江仁子弁護士と関西勤労者教育協会の中田進氏によるパネルディスカッションや学生・高校生などによるスピーチを行い、終了後にはデモも予定しています。

実行委員会は六日、元町大丸前で戦争法廃止の二千万署名に取り組みました。淡路から遊びに来たという学生は「戦争はいったらあかん」と署名し、一緒にいた友人たちも署名してくれました。

兵庫若者憲法集会&デモ
4 月24日(日)13時30分/神戸市勤労会館308号室/パネラー:中田進(関西勤労者教育協会)、吉江仁子(明日の自由を守る若手弁護士の会)/16時30分デモ出発/参加無料/主催:実行委員会 ☎078‐371‐1971(民青同盟兵庫県委員会)

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

それだけじゃない。TPP交渉過程も明らかにせよ。


段 重喜

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

「あさぎ」四月詠草:姫路年金者組合

雛人形五十年前に父親の子に持ちくれし雨の日の夕べ
暖かき桃の節句に邪気はらい桜餅食む待ちし春なり
藤原信子

記紀の世をまことさながら熱っぽく語る明日香の案内老人
飛鳥寺甘樫の丘石舞台一万余歩をてくてく歩く
衣川有賀子

胸にだき背中に負ぶって手をつなぎ保育園の道十三年終わる
つぼみの中に秘めたる苦み蕗のとう味噌に練り込み朝餉の粥に
山下直子

今年はくぎ煮は無しと思いしがわたしのレシピで娘が作る
小さき庭色どる黄花はカリフォルニアジャスミンと言うも香りは立たず
常田洋子

鶯の初音聞きつつ豌豆の支柱たており友の手をかり
冬を耐え春を謳歌す鶯の声にいやされ励まされ生く
田渕茂美

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

「被爆者は核兵器廃絶を心から求めます」とのよびかけが発表された。日本、韓国、北米、ブラジル、カナダ、メキシコ在住の広島・長崎被爆者九人の連名のよびかけだ▼被爆者みずからの悲惨な体験を述べ、「悪魔の兵器」である核兵器の廃絶を訴える。平均年齢八十歳を超えた被爆者は訴える――後世の人々が生き地獄を体験しないように、「生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したい」と▼核兵器禁止・廃絶条約を求める署名を世界で数億集めるようと提唱。被爆者が呼びかける核兵器署名は初めてのことだ。「もうこんなことは、たくさんです」「あなたとあなたの家族、すべての人びとを絶対に被爆者にしてはなりません」▼日本を訪れたオリバー・ストーン監督は、被爆者が原爆への復讐でなく核兵器廃絶の声をあげ続けたことの道義性を称賛。核兵器の非人道性を告発して核兵器禁止条約を求めることは世界の大勢だ▼被爆者の「心からの叫び」に応えられるかどうか、私たちの人間性道義性が問われてもいる。広島開催の主要七カ国外相会議で、核兵器国に気兼ねし、核兵器の非人道性に触れることを避けた安倍政権は、被爆者の「叫び」に応えられなかった。 (K)

(2016年4月17日付「兵庫民報」掲載)