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2016年3月27日日曜日

観感楽学

アベ首相が「一億総活躍」と言い出したとき、年配層がすぐ連想したのは「一億玉砕」。十五年戦争末期、国民の精神動員に使われたスローガンだ。当時、日本の人口は七千万人だったのに一億としたのは、朝鮮・台湾の人口も含めていたから▼ところで「玉砕」の玉とは、もちろん寿司屋で注文する「ギョク」ではなく光沢のある美しい石。中国において古代からとくに珍重されてきたのは翡翠(ひすい)である。一海知義氏の研究によれば「玉砕」が中国で最初に登場するのは『北斉書』という七世紀の歴史書▼「大丈夫(だいじようふ)は寧(むし)ろ玉砕すべし、瓦全(がぜん)する能(あた)わず」―立派な男子は玉がくだけ散るようにいさぎよく死ぬべし、とるにたりない瓦として生き延びるのは恥、と記述されているとのこと。「玉砕」とは、はじめから「国家の大義」のため人間のいのちを犠牲にする言葉として用いられてきた。そのだしに使われた瓦こそいい迷惑だ▼「一億総活躍」なんぞといいながら、国民一人ひとりの活躍にはまったく心を寄せないアベ政治。これに対していま、運動の共同と野党の共闘が画期的に前進中。おおいに頑張ってこの内閣を瓦解に追い込みたい。あれ、ここにも瓦が…… (T)

(2016年3月27日付「兵庫民報」掲載)

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