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2016年3月6日日曜日

観感楽学

敗戦によって日本に進駐してきたアメリカ軍は、日本各地を完全に支配し占領した。この米兵たちの中には無法者がおり、彼らの傍若無人は警察も手出しができずにいた▼戦後四年目の一九四九年、福井県敦賀市で、占領軍兵士による婦女暴行が頻発するという事件が発生、地元住民が自警団を作って自衛し、抗議する事態となった。新聞「アカハタ」はこの事件を詳しく報道、告発した▼神戸でも怒りの声があがり、山陽電鉄板宿駅で二人の青年労働者が「アカハタ」を壁新聞にして訴えていた。すると、たちまち人だかりができ、百五十人もの群衆が拍手を送った。このさわぎに派出所から警官が駆けつけてきた▼それから一週間後、二人は進駐軍に呼び出され、「軍事裁判」にかけられてしまう。「誰が女性を襲ったのか」と尋問した判事に、彼らは「ジープに乗った大男がやった」と答えた。しかし、証言に立った派出所の警官は、「二人が『黒んぼがやった』と宣伝していた」とでたらめを言った▼このうその証言で二人はアメリカを侮辱したとされ「占領法違反」で、最高刑の懲役五年の実刑判決を下される。世にいう「敦賀壁新聞事件」、米軍占領下のひどい冤罪事件であった▼ところで、二月十七日の参院憲法審査会での「アメリカは黒人が大統領になっている。これは奴隷ですよ…」という自民党丸山和也議員の発言は、まぎれもない侮辱で、国会議員資格のみならず、人格が問われる大問題である。 (D)

(2016年3月6日付「兵庫民報」掲載)

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